HIZUME

日爪 ノブキ
Nobuki Hizume
2004年、文化服装学院を首席にて卒業後、渡仏。パリを拠点に活動する日本人帽子デザイナー。数多くのパリのオートクチュールブランドとコラボレーションをした後、’20年春夏シーズンより自身の帽子ブランド、HIZUMEをスタートさせる。’19年、日本人として初めて、帽子職人部門におけるMEILLEUR OUVRIER DE FRANCE(フランス国家最優秀職人章)を受章。

第78回候補作品のデザイン画。テーマは「Hair Style」。"ヘアスタイルを洋服のシルエットへ"という思いから制作。
夢を憧れで終わらせない、その一歩が装苑賞
中学生の頃から、日本人デザイナーがパリで活躍する姿に憧れ、とにかく海外へ行きたいと思っていました。具体的な道筋は見えていませんでしたが、自分にしかできないクリエイションを続けて世の中に発信していけば、いつか世界へつながる糸口が見つかるはず。その思いから装苑賞に挑戦しました。
装苑賞はデザイナーの登竜門。最初に応募した第77回の「人間花束」は、自分でも予想以上の作品になりました。作品を世の中に問いかけ、審査を通して反応が返ってくる。その面白さを知り、「どうせ挑むなら一番をとりたい」と3度挑戦しました。当時はライバル同士の緊張感も強く、クラスにノミネートされた人がいても負けたくないという思いが常にありました。

2004年7月号「コルセット復活」特集の扉を飾った、第77回候補作品。photo : Satoshi Minakawa
でも、順位をつけられ、誰かと比べられながら評価される経験は、プロとして生きていくための大切な訓練だったと今は思います。パリでは世界中のクリエイターが限られたチャンスを競い合う。その環境で仕事を続けられているのは、学生時代の経験があったからです。
装苑賞を通して学んだのは、基礎を身につけ、それを壊し、最終的には自分だけの表現へ昇華するという守・破・離の考え方。これからデザイナーを目指す人には、正解を探して立ち止まるより、自分で考え、まず一歩踏み出してほしい。試行錯誤を重ねた先にしか、自分だけの表現も未来もありません。装苑賞がこれからも、世界へ羽ばたく才能の入口であり続けることを願っています。

「最高の帽子職人=デザイナー」という独自の哲学のもと、有機的かつ都会的な造形を追求し、表現する帽子ブランド。’26年秋冬のテーマは「EROSION(侵食)」。赤を象徴色に、再構築と変容の帽子表現を展開。デイリーライン「YsAE」では、アップサイクルと異素材融合による象徴的アイテムで構成される。