CFCL

高橋 悠介
Yusuke Takahashi
1985年生まれ、東京都出身。2010年、文化ファッション大学院大学修了。三宅デザイン事務所入社。’13年、ISSEY MIYAKE MENのデザイナーに就任。’20年、CFCL設立。’21年、第39回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。同年、FASHION PRIZE OF TOKYO 2022受賞。’22年よりパリ・コレクションに参加。ンド、フォトコピューを始動。


第83回装苑賞受賞作品のデザイン画(左)とポートフォリオ(上)。「Blobitecture Form」をテーマに、当時流行した曲線的な建築に着目し、体系に沿わない有機的なフォルムを無縫製ニットで表現した。

ブランド設立5周年を記念した展覧会で、3Dコンピューター・ニッティングと出会った原点として展示した第83回装苑賞作品。
キャリアも、デザインも、
装苑賞は自分の原点
すべては自分の将来につなげるために
もともと大学でテキスタイルデザインを勉強していて、3年次にロンドンのゴールドスミス・カレッジに留学しました。2000年代に入った頃のイギリスは、アレキサンダー・マックイーンやジョン・ガリアーノ、フセイン・チャラヤンたちが活躍していた勢いのある時代。そのままイギリスに残るか、日本に戻るか……。自分の将来を考えた時、ファッションと建築、インテリアデザインを横断できるような仕事がしたいと思いました。その当時、ちょうど「21_21 DESIGN SIGHT」(三宅一生が創設したデザインミュージアム)がオープンする頃で、三宅デザイン事務所に就職することが自分にとって最善だと思い帰国しました。
その後、文化ファッション大学院大学(BFGU)に入学し、装苑賞に応募したのも、すべて三宅さんのもとで働きたい一心で進んだ道だったんです。そのためには"コンテストで1位をとらなければ!"と必死でした。ロンドンではコンセプト至上主義の授業を受けていたので、本格的に服作りを学んだのはBFGUに入ってから。そこで出会ったのが、コンピューターニットの技術でした。その頃はニットに進む人は少なくて、毎日、夢中になって先生に教えていただきながら実験を重ね、たまたまコットンとテグスを編むことができ、ニットで構築的な形を編み出せるという手応えを感じました。
見たことがない作品を追求し、装苑賞を受賞!
装苑賞の作品は、布帛では出せないシルエットを作るために、編み組織や糸の組み合わせの研究を重ねて無縫製ニットで創作した有機的フォルムが特徴です。"新しい服の表現を追求して今っぽく仕上げること"を常に意識して納得できるバランスに仕上げました。装苑賞を受賞できたことは、自分のクリエイションの方向性が間違いではないという自信につながり、本当に嬉しかったです。
卒業後は、夢だった三宅デザイン事務所に入社することができ、10年間、自分の器を超えるような仕事に挑戦する機会を数多くいただきました。でも、いつか自分でブランドをやる時は、装苑賞の作品の時のテクニックをベースにブランドを立ち上げたいと思っていたんです。まさに自分の原点となった作品でした。
コンテストに挑戦する意味
BFGUの学生時代は、とにかくコンテストに応募し、確か10個くらい予選を通過していたと思います。装苑賞については、やはり現役で活躍されているデザイナーたちに見てもらえることが何より大事。私自身、作品の悩みを学校の先生に聞くだけでは視野が狭くなると思ったので、審査会終了後の懇親会の時にいろんな先生に話を聞きました。田山淳朗さんにディベロップメントポイントを教えてほしいと伺った時に「テクニックに頼りすぎているのが気になる」と言われたことを、今でもよく覚えています。
今、私は、NFDT(Next Fashion Designer of Tokyo)で審査員を務めているのですが、そうした経験を踏まえて、厳しいかもしれませんが、できるだけ候補者に改善点を明確に伝えるようにしています。審査をしていて感じるのは、その課題にどれだけ真剣に向き合ったかという熱量は一瞬にしてわかる、ということです。ちゃんと見てほしいと思っている人の提出物は、プレゼンテーション資料として仕上がっています。テキスタイル、色、形、ディテール、パターン、アクセサリーに至るまで、作品と向き合った時間がそのまま反映されるわけです。学生たちは、まだ自分の中だけで作品を作っているわけですが、それをコンテストという公の場で評価されるという経験を通して成長する機会になるのだと思います。だから、まずは挑戦すること。そして、もし入賞できなくても、審査員に話を聞かないともったいない。どんどん挑戦しようとする人は周りも応援したくなるし、将来的にきっと伸びると思います。

「Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」の頭文字をブランド名に、現代を生きる人々の道具としての衣服という視点でニットウエアを提案。衣服としての機能性、環境への配慮、最適な素材の選択、流通経路の透明性を追求する。最新のコレクションVOL.12は、ヨーゼフ・ボイスのフェルト作品群の無造作なドレープやミニマル表現に着想を得て、「社会彫刻」という概念をニットウエアに重ね合わせた。