TAAKK

森川 拓野
Takuya Morikawa
1982年生まれ、秋田県出身。文化服装学院卒業後、文化ファッションビジネススクール(現・文化ファッション大学院大学)を経てイッセイ ミヤケに入社。装苑賞に初めてノミネートされた第78回は、応募システムがデザイン画からポートフォリオ形式になった最初の回だった。2012年にメンズブランド、タークをスタート。’20-’21年秋冬よりパリ・コレクションで発表を続ける。

タークは、「見たことがあるようで、近づくと何か違う。きれいだけど少し変」という絶妙なズレを、素材への探求と独創的なデザインによって形にするブランド。2026-’27年秋冬シーズンでは縄文時代をインスピレーション源とし、縄文土器に見られる縄目模様を立体刺繍で表現。情熱的なカラーを随所に配し、力強い世界観を打ち出した。
完璧じゃなくても挑戦する。
その勇気が、未来を変える
どうしたらファッションデザイナーになれるのかわからなくて、装苑賞に挑戦することで、その夢が少しでも具体的になるんじゃないかと思っていました。学生時代から社会人になってからも、半ば無理やり応募を続けていましたね。仕事が終わってから作る、寝る時間を削る、休みの日もずっと考える。今思うと効率は悪かったけど、その効率の悪さの中からしか出てこないものもあった気がします。
装苑賞って少し独特なコンテストだと思っていて、ただうまい服を選ぶというより、その人が「何を見ているか」「どこに引っかかっているか」を見られているような感じがありました。なぜそれを「気持ち悪い」と思うのか、なぜそれを「美しい」と思うのか。そういう個人的な感情を深掘りしたほうがいいと思います。当時のことで強く覚えているのは、自分の服が初めてちゃんと外に出たような感覚です。学校や自分の周りだけじゃなくて、知らない人に見られるということ。選ばれるかどうか以前に、それがすごく怖かったし、嬉しかったです。
服って、自分の中では理由があって作っていても、外に出た瞬間に勝手に見られるし、勝手に解釈されます。そのズレも含めて面白いんですが、コンテストではそこをすごく意識させられました。あとは、締め切りがある中で形にすること。完璧じゃなくても一度出すこと。今も、ブランドを続けながら、毎回「これでいいのか」と思いながら作っています。外から見ると順調に見えることもあるかもしれませんが、全然そんなことはなくて、いつもギリギリ。
ただ、世界の舞台で活動していて感じるのは、結局どこに行っても、自分が本当に見ているものしか通用しないということです。"海外だから"とか、"有名な人に見られるから"こうしよう、というより、「自分たちが何を面白がっているのか」という軸をしっかりと持っていることが重要なんです。