Frankie Cosmos(フランキー・コスモス)
【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.27】

ニューヨークを拠点とするインディーポップバンド、Frankie Cosmosが9年ぶりの来日を果たした。Frankie Cosmosは、俳優のケビン・クラインとフィービー・ケイツを両親に持つグレタ・クラインがDIYのベッドループポップを生み出すソロプロジェクトとして始動。その後、バンド編成へと発展し、作品リリースとツアーを重ねながら、人間的、音楽的に成長、成熟を続けてきた。2025年の最新アルバム『Different Talking』は、成長、成熟をテーマに、バンドサウンドに深みをもたらす一方で、音楽に取り組む喜びが一音一音から溢れ、初期の作品に感じられた初期衝動性がよみがえってくるようでもある。Frankie Cosmosにとって、音楽と共に成長、成熟するとは、どんな意味を持つものなのだろう。4人のメンバー、グレタ・クライン(Vo, G、写真右)ケイティ・フォン・シュライヒャー(Key、写真左)アレックス・ベイリー(Ba、写真右から2番目)ヒューゴ・ステンリー(Dr、写真左から2番目)に話をうかがいました。

Interview & text: Yu Onoda / photographs: Jun Tsuchiya(B.P.B.)

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15年以上ツアーを続けてきた私たちにあるのは、強い団結力。

グレタ:私はすべてのチャンスに『YES』と言い続け、想像もしていなかった機会に恵まれて、とても圧倒されました。すべてがあっという間に進んでいき、日本でパフォーマンスができるなんて夢にも思いませんでした。ただ、前回はオーストラリアとニュージーランドから来て、わずか4日間で4回の公演をこなしたので、本当にとても慌ただしかった。でも、今回は奈良の鹿公園や兎島を訪れ、東京でも数日間と、とても楽しい時間を過ごしています‎。

ヒューゴ:そして、素晴らしい地元のバンドに出会う機会もありました。ライブ後に彼らと車で移動して、深夜に地元の人しかいかないようなお店で話し合ったりするなかで、機材の運搬方法やそのセッティング、会場の違いに驚かされたり、言葉の違いを超えて冗談を言い合ったり、同じ目標を持つ音楽家と会うのは楽しいですね。

グレタ:15年以上ツアーを続けていますが、バンドとして、私たちは常に強い団結力を保ってきました。メンバーの中にはずっとその生活を続けたいと思わない人もいて、だからこそ、ラインナップが変わったんですけど、メンバーは変わっても、固い結束をもって活動しています。

スタジオで急かされるように制作するのではなく、時間と自由が欲しかった。

ケイティ:私たちは録音スタジオに行かず、外部のエンジニアも使わずに、家で40日間共同生活をおくりながら、一緒にアルバムを作りました。時間に余裕があり、外部からのノイズがなかったことで、アルバム全体に強い一体感が生まれ、一貫したサウンドを用いることで、まとまりのある作品を実現できました。‎

グレタ:ずっとやりたかったんです。時間に制約があり、お金もかかるスタジオで急かされるようにレコーディングするのではなく、もっと時間と自由が欲しかった。そして、以前のレコーディングでは、これまで挑戦したことのないことに挑もうとしましたが、今回は自分の得意なことに集中しました。完璧にやろうと無理をするのではなく、音楽に自然に身を任せて演奏を楽しみました。

アレックス:家で録音する利点は、自分が持ってきた機材だけを使うことにあるのかも。あらゆる機材が揃ったスタジオでそのチョイスに気持ちが散漫になることなく、限られた機材をどう使うのか、意識をフォーカスすることで、自分にとってはやりやすい環境だと思いました。

ケイティ:最終的には、トラック数やレイヤー数が減りました。たくさん時間をかけたにもかかわらず、全体の仕上がりはよりシンプルで洗練されたものになりました。40日間もレコード制作に取り組んだのは初めてでしたが、プロセスがこれまでと違ったため、まるで初めてレコードを作っているかのように感じました。

グレタ:スタジオにいるときは、いつもコストや時間のことを考え、絶えず時計を気にしていました。それが不安な雰囲気を生み出すこともあります。でも、今回は、時間やお金を全く気にせず、妥協することなく、間違えたらやり直せて、行き詰まったら一時停止できる環境にいました。そして、録音を始める前、このラインナップではツアー経験が浅かったので、バンドとしての絆を深める感情的なやりとりも同じくらい大切でした。一緒に料理をしたり、夕食を共にする時間は、ギターの録音と同じくらい重要でした。美しい場所で、季節は夏だったので、泳いだり散歩したり、たくさん休憩を取りました。

ケイティ:時間こそが最も価値のあるものだと私は信じています。録音を重ねるほど、時間が何よりも大切な要素だと実感しています。素晴らしい作品を作るのに、豪華なスタジオは必要ないなって。

格好つけるプレッシャーから解放され、のびのびと楽しんでいます。

グレタ:私はまだ若いので、本当の意味で年齢を重ねることの困難さはまだ経験していません。ただ、この仕事では、年を重ねても続けていく自分を想像するのはなかなか難しいですし、だからこそ、長年に渡って活動を続けられていることに対する感謝の念も深まっています。

グレタ:アメリカでも年を重ねるにつれて音楽から離れる人は少なくありません。特に女性は、家族に専念することが期待されるため、年齢を重ねると音楽活動から離れる傾向があります。同じ世代の音楽業界の男性は子供がいてもツアーに出るのに、女性にとってはそれが非常に難しかったりします。ただ、私たちは多くの若者のために演奏を続けてきたし、年を重ねても私たちのファンでいてくれる人もいて、多くの人が私たちの音楽と共に成長してきたと感じてくれていると思います。

グレタ:年を重ねても、再び若々しい喜びを感じることができると思います。恥ずかしがったり、格好つけようとせずに、ただティーンエイジャーのように自由にふざけて挑戦できるんです。今は30代になり、格好つけるプレッシャーから解放されたので、恥をかくことを気にせず、ティーンエイジャーのようにのびのびと楽しめます。

グレタ:次のレコードを作るのが本当に楽しみです。ロウアーイーストサイドにスタジオスペースを確保して、今は配線やセットアップを進めています。家に帰ったら、『Next Thing』の曲を演奏できるように練習するつもりです。それはリリース10周年を記念するための公演のためで、どんな仕上がりになるのか楽しみです。

フランキー・コスモス

ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター、グレタ・クライン率いるインディーロックバンド、Frankie Cosmos(フランキー・コスモス)。当初はグレタのソロプロジェクトとして始動し、2010年代のDIYシーンにおいて宅録による膨大な楽曲を発表して脚光を浴びました。2014年に『Zentropy』でデビューして以来、日常の機微を鮮やかに切り取った短く詩的な歌詞と、飾り気のない誠実なメロディで世界的な支持を確立。現在は、グレタ・クライン(Vo./Gt.)を中心に、アレックス・ベイリー(Ba.)、ケイティ・フォン・シュライヒャー(Key.)、ヒューゴ・スタンレー(Dr.)という鉄壁の布陣で、親密かつ独創的なバンドアンサンブルを構築している。2025年には、バンド自身でレコーディングを手掛けた6枚目のアルバム『Different Talking』をリリース。今年2月には、約9年ぶりとなる待望の来日ツアーを開催し、成功裏に収めた。アンチフォークの精神を継承しながら、現代インディーポップの最前線を走り続けている。


FRANKIE COSMOS
『DIFFERENT TALKING』

CD ¥2,750 BIG NOTHING / ULTRA VIBE

ベッドルームで生み出されたポップスが瞬く間に世界的ヒットになる現代において、その遥か前からDIYポップスらしいエッジを維持したまま、バンドとして発展を続けてきたFrankie Cosmosの通算6作目となるアルバム。本作は、成長、成熟をテーマに、メロディとリリシズムを際立たせたシンプルなバンドアンサンブルが深い味わいと瑞々しい響きを奇跡的なバランスで見事に共存させている。

Streaming&Download: https://music.subpop.com/frankiecosmos_differenttalking


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