Ayumu Imazu
【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.19】

2025.04.24

真っ直ぐに音楽と向き合い、常に新たな表現を追求するAyumu Imazu。彼を取り巻く環境が変化し、目指すステージがより大きくなろうとも、変わることのない飾らない素直さこそが、多くの人の心を捉えて離さない所以だ。ターニングポイントとなった「Obsessed」から最新作「LIVE IT UP! (feat. Furui Riho)」、そして未来への展望まで。率直な想いを語ってくれた。

Photographs: Josui(B.P.B.)/ styling: Daisuke Araki / interview & text: Mizuki Kanno

「Obsessed」のヒットが、自分を次のステージへと導いてくれた。

——昨年1月にリリースされた「Obsessed」は、世界的にも大きな話題となりましたね。この楽曲の反響を受けて、ご自身の意識や活動にどのような変化がありましたか?

「「Obsessed」のリリースは、自分の活動の幅を大きく広げる転機になったなと、リリースから1年経った今でも強く感じています。初めて韓国のフェスに出演できたのも、昨年末のレコード大賞に出演させていただけたのも、全てこの曲がきっかけでした。念願だった今年のアメリカツアーも、「Obsessed」にMAXが参加してくれたおかげで実現し、彼のツアーに同行させてもらうという貴重な経験もできました。この楽曲が、僕を次のステージへと導いてくれました。」

——「Obsessed」は肩の力が抜けたゆるいR&Bが心地よい、これまでのAyumuさんの楽曲とは少し雰囲気の異なる楽曲だと思います。「Obsessed」という新たな方向性を示された後、Ayumuさんの音楽にどのような進化や変化が生まれましたか?

「意外に思われるかもしれませんが、元々「Obsessed」のような楽曲が、自分にとって一番ナチュラルで心地よいものだったんです。今までは、ダンスを見せられるような楽曲に積極的にチャレンジしてきましたが、「Obsessed」をSNSに投稿した際に、ポジティブな反響ばかりだったので、自分の好きな音楽をAyumu Imazuとして表現することに自信を持てましたし、背中を押してもらったような感覚です」

——今年の2月にリリースされた「THRIFTED」は、恋愛を“古着”に見立てた斬新な恋愛ソングだと思います。改めて、どのような思いやコンセプトが込められた楽曲ですか?

「僕は古着屋巡りが好きで、ニューヨークでも普段からふらっと立ち寄るのですが、古着って恋愛とちょっと似ている部分があるなと感じる瞬間があって。初恋を経験して、失恋して、傷つくこともあるけれど、そうした経験を重ねることで人間として深みが増して、次にお付き合いする人とはまた違う恋愛をする。その愛のサイクルが古着の持つ物語や変化に似ているなと思い、この曲を書きました」

——そういった楽曲のコンセプトは、どのような時に考えることが多いですか?

「「THRIFTED」に関しては、ニューヨークを散歩していた時にふとメロディーが浮かんできたんです。サビのメロディーラインが頭に流れてきたので、すぐにボイスメモで録音して、そこから楽曲の世界観を広げていきました。なので、ふとした瞬間にアイデアが降りてくることが多いですね」

——歌詞は全編英語詞ですが、日本語で歌詞を書く時と言葉選びや書き方など、違いはありますか?

「全く違うかもしれません。日本語の歌詞はどちらかというと、表現をもう一捻り、二捻りして、いかに美しく、深みのある言葉を選べるかを考えています。英語で歌詞を書くときは本当にストレートというか、日常会話で話すような英語をそのまま取り入れていて、そこはすごく意識している部分です。だからこそ、最近書く日本語の歌詞も、英語の歌詞から影響を受けていて、前よりも気持ちを素直に表現することが多くなりました。ストレートに想いを伝えるのは、大切ですよね」

——Ayumuさんはご自身の楽曲制作の他にも、様々なアーティストへの楽曲提供もされていますよね。ご自身の曲を作る時と誰かのために作る時とでは、表現方法に違いはありますか?

「そうですね。自分の曲を作る時は、どうしても「自分だったらこう表現するだろうな」というイメージが先行してしまう部分があるのですが、楽曲提供の場合は、客観的にそのアーティストの個性や強みを捉えて、この方だったらこういう表現が合うだろうな、というアイデアが湧いてきます。自分では使わないような表現を取り入れることができるので、楽しいですし、ある意味作りやすいのかもしれません。いい意味でいつもとは違う姿勢で制作に取り組める感覚があります」

MCや会場の雰囲気作りについても、改めて学び直すきっかけに。

「アメリカツアーは、300〜400人規模のライブハウスが中心で、お客さんとの距離が非常に近い中でのパフォーマンスだったので、とても鍛えられました。MAXは、歌唱力はもちろんのこと、パフォーマンスがすごくかっこいいんです。彼のステージにどうついていくかを常に考えながらのツアーだったので、歌やダンスといったスキルは間違いなく向上しましたし、MCや会場の雰囲気作りについても、改めて学び直すきっかけになりました」

——オフの時間はどのように過ごされたのですか?

「日本からAI’M Creativeのメンバーも同行していて、ニューヨークでは僕のアパートに3人で一緒に住んでいたので、文字通り24時間一緒でした。僕がいつも行く古着屋さんや、お気に入りのご飯屋さんにみんなで行ったり、ロサンゼルスではみんなでハイキングに行ったり、パフォーマンス前にホテルのプールで一緒に遊んだりしていました。楽しかったな」

——ライブもオフも、充実した時間を過ごされたのですね。

「本当に、ライブもオフも楽しい思い出ばかりです。日本でやらせていただいている現在のライブは、ありがたいことに会場も大きくなり、関わってくれるスタッフさんの人数も増えて、その分責任感やプレッシャーを感じることもあります。でも、アメリカでは、ある意味自分一人で戦っていくような感覚だったので、逆に気負うことなく、リラックスしてライブに臨むことができました」

——海外のオーディエンスの反応はいかがでしたか?

「シカゴのお客さんが一番温かく、歓声も大きくて、皆さん優しい印象でした。ニューヨークのお客さんはエンターテインメントに対する目が肥えているので、ハードルが高いんです。LAはその中間といった感じ。ニューヨークでは初めて、観客席へのダイブも経験できました。3都市に共通していたのは、パフォーマンス中は常に身体を揺らしたり、歓声を上げてくれたりと、とにかく盛り上がりがすごかったことです。日本のお客さんは、盛り上がる曲では一緒に楽しんでくれて、バラードなどはじっくりと聴き入ってくれる。そこは日本と海外でのライブカルチャーの違いなのかもしれません」

——先日、LINE CUBE SHIBUYAで開催されたHALL TOUR 2025 “ERA”に伺いました。ライブ中、お客さんの声に応えて即興で楽曲を披露されるなど、Ayumuさんのライブは、会場全体が一体となって作り上げているような、非常に温かい空気感を感じました。

「アメリカツアー中、MAXがお客さんのリクエストに応えて即興で曲を披露するのを目の当たりにして、これは日本のお客さんもきっと楽しんでくれるだろうと思い、自分のライブにも新しい試みとして取り入れることにしました。アメリカツアーを通して感じたのは、向こうではファンとの距離がとても近いということ。ステージ上からお客さんと話していたり、ライブ後もファンの方と交流したりしているんです。僕もいつも応援してくれている皆さんと直接話したいと思い、今回のツアーではお客さんとの交流を大切にしています」

——アメリカツアーを通して、ご自身のパフォーマンスや音楽に対する考え方に何か変化はありましたか?

僕一人の視点だけでは生まれないような歌詞を、書いてほしいと思った。

Furui Rihoさんとは元々友人として交流があり、日本に帰国した際などには一緒に食事に行く仲で、お互いの音楽のファンでもあります。「LIVE IT UP! (feat. Furui Riho)」はユニクロさんとのタイアップ楽曲ということもあり、より多くの方に共感していただけるような楽曲にしたいと思い、Rihoちゃんに一緒に曲作りをお願いしました。僕一人の視点だけでは生まれないような歌詞を彼女に書いてほしいと思ったんです。楽曲のベースとなる部分は僕が先に作り、Rihoちゃんのパートは空白のまま彼女に渡し、自由に書いてもらいました。

——Furui Rihoさんとの制作過程で、特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

「今回、僕が最も大切にしたかったのは、Rihoちゃんが作り出す音楽の一ファンとして、彼女の個性をそのまま楽曲に活かすことでした。なので、Rihoちゃんのパートは完全に、彼女の感性に委ねた結果、本当に素晴らしい楽曲になりました。制作期間中は、ニューヨークと日本という遠隔での作業が中心でしたが、とてもスムーズで。レコーディングもオンラインで繋ぎながら、お互いの意見を交換して一緒に作って行ったのですが、意外にそういった方法が初めてだったので、新鮮でした」

——ミュージックビデオは、初の全編アニメーションとなるそうですね。

自分が思い描いていたゴールを突き抜けていきたい。

「久しぶりに日本のファンの皆さんに直接お会いできて嬉しいですし、アメリカツアーから帰ってきたばかりということもあり、実家に帰ってきたような安心感があります。これまでで一番大きな規模感で、日本でライブができていることが嬉しいですし、感謝しています」

——Ayumuさんのライブは、本当に老若男女問わず、幅広い層のお客さんがいらっしゃいますよね。

「そうですね。親子連れで来てくださる方や、最近は男性のファンの方も増えてきて。すごく嬉しいです」

——ファイナル公演となる日比谷野外音楽堂という開放的な空間でパフォーマンスすることへの意気込みと、楽しみにしていることを教えてください。

「今回、初めて生バンドでのライブを予定しています。念願だったので、すごく楽しみです。今までは、ダンスや演出など、視覚的に楽しんでいただくのが僕のライブのメインだったと思いますが、今回は音楽そのものをじっくりと聴いて楽しんでいただけるライブになると思います。新しい僕のライブの形を、ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいです」

——「Obsessed」で世界への扉を開き、アメリカツアーも経験されたAyumuさんですが、今後、アーティストとしてどのような目標や展望を持っていますか?これから挑戦してみたいことや、表現してみたいテーマはありますか?

「これまで、一人で部屋にこもって楽曲制作をする時間が本当に多かったのですが、最近、一人で作り続けることへの限界を感じ始めています。なので、今後はより多くの人とコミュニケーションを取りながら、一緒にスタジオに入って曲を作っていきたいです。様々な感性や意見を取り入れることで、可能性が無限に広がっていくと思います。あとはやはり、色々な場所でライブを開催し、経験を重ねていきたいです。日本にも、まだ訪れたことのない地域がたくさんあるので。経験を積んで、自分が思い描いていたゴールを突き抜けていきたいと思っています」

——最後に、装苑の読者に向けて、メッセージをお願いします。

Ayumu Imazu着用
シャツ¥30,800 ANCELLM/その他 スタイリスト私物

SHOP LIST
ANCELLM
TEL086-250-4893

Ayumu Imazu
2000年5月12日生まれ、大阪府出身。6歳よりダンスをはじめて、’14年、アメリカ最大級のスポーツ「スーパーボウル」にて、Bruno Marsのハーフタイムショーに感銘を受け、単身で14歳より約3年半アメリカ・ニューヨークのアーティスト留学を経験。その後、活動の拠点をアメリカと日本において活動するアーティスト。’19年3月にダンスパフォーマンスを交えたBruno Mars「Fitness」のカバー動画がYouTubeで100万回再生越えを記録。’21年8月に「Juice」でメジャーデビューし、同年9月30日にリリースした配信シングル「Stranger」で、人気TVアニメ『SCARLET NEXUS』第二クールEDテーマ曲を担当。‘24年1月24日にリリースした配信シングル「Obsessed」がSNSを中心に話題となり、アジア各国のチャートを座巻し、同年末に「第66回輝く!日本レコード大賞」で企画賞を受賞。世界を舞台にこれからの活躍がますます期待されるZ世代のグローバルアーティスト。

公式サイト https://ayumuimazu.com/
X @ayumu__imazu
Instagram @ayumu_imazu
TikTok @ayumu_imazu
YouTube @ayumuimazu8790


Ayumu Imaze
「LIVE IT UP! (feat. Furui Riho)」

4月23日(水)配信リリース Warner Music japan
自身も出演するユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」のWEB CMタイアップ曲。
FuruiRihoをフューチャリングに迎えた、明るくポップなポジティブな一曲。
https://ayumuimazu.lnk.to/liveitup

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