
スマホを置いて、本を開く時間は、どこかの誰かの考えや世界に触れながら、
自分自身の感性とも向き合える豊かなひととき。
今回は、ファッションやアート、カルチャーを愛する装苑読者におすすめしたい、
東京の個性あふれるブックショップをご紹介。
店主やスタッフの方に、とっておきの3冊をセレクトしていただきました。
本との出合いは、新しい価値観や創作のヒントをもたらしてくれるはず。
世界を広げてくれる一冊を探しに、街の本屋へ出かけてみませんか?
photographs :Jun Tsuchiya (B.P.B.)
/ text : SO-EN
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行く度に新たな発見を得られる、
建築とアート、人をつなぐ書店
建築書を手がける新建築社と、アート専門書店「POST」の経営やTOKYO ART BOOK FAIRの運営を行うlimArt社がタッグを組んだ「新建築書店 | POST Architecture Books」。
それぞれのジャンルに深い造詣をもつふたつの企業がタッグを組むことで、新たな視点から建築とアートを横断的につなぐ書店だ。

店名が入った大きなガラス窓がお店の目印。
オープンは2022年。停滞する紙の出版業界を盛り上げるため、新建築社がlimArt社に「建築に留まらず、ジャンルを超えた書店を作らないか」と持ちかけたのが始まりだそう。
当初は南青山に構えていた店舗は、今年の6月に表参道駅から徒歩10分ほどの「ミナガワビレッジ」内に移転。「ミナガワビレッジ」は、1957年に個人邸として建てられ増築や改修を重ねてきた木造建築群を、再生建築研究所が「変わり続ける場所」をコンセプトに改修・再生した建物。四季折々の緑が広がる築山や庭を備えた建物もみどころのひとつ。



左 「パターン」の棚には、書体デザイナーや、建築の再解釈とその歴史を書き換を行うアーティストの作品集などが並んでいる
1階と2階の2フロアで構成される店内には、国内では手に入りにくい希少な建築書をはじめ、グラフィックデザインや民芸など多岐にわたるジャンルの、洋書を中心としたアートブックが並ぶ。
特徴的なのは、その分類方法。「環境」「都市」「構造」といった建築にまつわるキーワードで区分けされた書棚には、それぞれのワードから着想を得て選ばれた本が置かれている。
「棚は建築用語で区分けされていますが、どの分類に置くかはスタッフそれぞれの感性に委ねられています。だからこそ、その時々によって本の配置が変わり、訪れるたびに思いがけない本と出会っていただけます」とスタッフは語る。何度足を運んでも、新しい視点で楽しめるところが「新建築書店」の魅力だ。

新建築社が発行する書籍を集めたコーナー
建築雑誌「新建築」や「住宅特集」のバックナンバーをはじめとした、新建築社が刊行する書籍を購入できるのもうれしいポイント。バックナンバーを購入するために訪れる方も多いのだそう。
また、移動型書店や建築家を招いたトークショーなどのイベントも度々開催する。特に、建築家を招いたトークショーは、様々な建築家の人と書籍の発行を通じて繋がりをもつ新建築社ならでは。イベントには、建築関係者だけでなく、幅広い分野のカルチャー好きが集まるという。
建築やアートのイベントが各地で盛り上がる今、「書店も待っているだけでなく、本を必要とする場所へ自ら出向いていけばいい」。そんな発想から生まれた移動型書店も魅力的だ。
「洋書やアートは難しい、と一歩引いてしまう方でも、実際に手に取って制作の背景を知ると意外と身近で面白い存在だと気づいてくださることが多いんです。敷居が高く見えがちなアートや建築を、もっと身近に感じてもらえる架け橋のような存在でありたいです」と、今後の展望を語ってくれた。

『Manual for Designing Urban Imaginaries: Colombia』¥12,320 Hubert Klumpner
ArchiTangle GmbH
移転後はじめて開催されたのは、オーストリア出身の建築家フーベルト・クルンプナーによる作品集『Manual for Designing Urban Imaginaries: Colombia』の出版記念イベント
建築とアートが本を通してゆるやかに混ざり合う、新建築書店 | POST Architecture Books。
建築好きはもちろん、ファッションやアートをはじめ、構造美に興味があるカルチャー好きはぜひ訪れてみてほしい。
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—— 装苑読者におすすめの3冊 ——
感度が高く、クリエイティブなあなたに!
「新建築書店 | Post Architecture Books」のスタッフが『装苑』を読むあなたにおすすめの3冊をピックアップ。

「North」Sean Perkins, Jeremy Coysten, Stephen Gilmore
¥15,840 Thames & Hudson
1995年にショーン・パーキンスによって設立されたイギリスのデザインスタジオ「North」がこれまで手がけてきた、パッケージ、展覧会、書籍、ポスター、ロゴといった豊富な作品を紹介した一冊。
代表のショーン・パーキンスは、公式サイトやSNSをほとんど更新しない謎多き人物。それでも「手がける仕事がとにかくかっこいい」と、次々に依頼が舞い込む不思議なデザインスタジオです。一般的な作品集には詳細な解説文がつきますが、この本にはテキストが一切ありません。見れば伝わる、という圧倒的な自信が滲み出るかっこいい1冊です

「Yoroke よろけ織」Åsa Pärson
¥12,650 Göteborgstryckeriet
スウェーデンのテキスタイルデザイナー、オーサ・パーション(Åsa Pärson)の作品集。彼女が1997年からの23年間で生み出してきた、波のようにうねりのある織柄が特徴的な日本の伝統技術「よろけ織り」による、多彩な織物作品を収録。

「CLU++ER – Creativity + Collaboration in Fashion Education」
Andrea Cammarosano
¥6,600 Van Zoetendaal
教育者でもあるイタリア人デザイナーのアンドレア・カンマロサノによる、ファッション教育のあり方とその影響をまとめた本。工芸と創造性を育む授業プログラムのマニュアルから、ワークショップで制作された刺激的な作品群、学生・教員のリアルな体験談が掲載されている。
装苑読者のような、感度の高いクリエイティブな若い世代にぴったりの1冊です
INFORMATION
新建築書店 | Post Architecture Books
場所:東京都渋谷区神宮前4丁目9-13 ミナガワビレッジ #1
営業時間:11:00~19:00
休日:月曜日
Instagram:@post_architecture_books
WEB:https://post-architecture-books.com/