
スマホを置いて、本を開く時間は、どこかの誰かの考えや世界に触れながら、
自分自身の感性とも向き合える豊かなひととき。
今回は、ファッションやアート、カルチャーを愛する装苑読者におすすめしたい、
東京の個性あふれるブックショップをご紹介。
店主やスタッフの方に、とっておきの3冊をセレクトしていただきました。
本との出合いは、新しい価値観や創作のヒントをもたらしてくれるはず。
世界を広げてくれる一冊を探しに、街の本屋へ出かけてみませんか?
photographs :Jun Tsuchiya (B.P.B.)
/ text : SO-EN
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書店、カフェ、ギャラリー。
ふらりと訪れれば、新しい世界に出会える店
本を買うだけでなく、ドリンク片手にまったりしたり、ギャラリーで新しい作家に出会ったり、ときには著者に直接話を聞けるトークイベントや朗読会に参加して、作品の世界をより深く味わったり。
そんな、本から始まる豊かな体験をできる場所が、twililight(トワイライライト)だ。

三軒茶屋駅の北口から商店街のメイン通りを歩くこと4分ほど。雑居ビルの3階、光がたっぷり差し込むこの書店には、国内外の文学やエッセイ、詩集、写真集、ZINEまで、オーナー・熊谷充紘さんの視点で選び抜かれた本が置かれている。
店をオープンしたのは、2022年3月11日。10年前の2011年3月11日は、東日本大震災が起きた日であると同時に、偶然にも会社員時代の最終出社日でもあった。震災を機に「これからどう生きるか」を見つめ直し、紆余曲折。その象徴的な日付をオープン日に選んだ。
店名は、夕暮れを意味するトワイライトに、「ライ」を一つ加えた造語で、間違えを恐れないこと、そして人生に余白をもたらす”少し余計なもの”の大切さを表わしているそう。



上 個性あふれるZINEもさまざま。 左 『装苑』本誌でコラムを連載中の俳優・坂口涼太郎さんのエッセイ&アクスタを発見! トワイライライトの屋上スペースで執筆していたこともあるそう。 右 twililightは出版社でもあり、これまでに書籍を15冊、ZINEを7冊ほど刊行。店頭にも並ぶ。
米国の作家、ポール・オースターの小説との出会いをきっかけに翻訳小説にのめり込んでいったという熊谷さんは、「日本の小説は、自分の内面の深いところにひたすら向き合う作品が多い気がするんですが、海外の小説は外に開いたものが多い。読めば世界中にいろいろな人がいることが分かって、視野が広がると思います」と話す。
本屋&ギャラリー&カフェの他に出版社としても活動していて、オリジナルの翻訳小説も充実するほか、トワイライライトを舞台にした小説や、お店にゆかりのある作家のサイン本など、この場所ならではの出会いも魅力のひとつ。

もともと住宅だった建物を生かし、お風呂のタイルをそのまま残したカフェスペース


物語を運ぶ衣服がコンセプトのブランド「witten by」や、YUKI FUJISAWAなど、アパレルアイテムも一部取り扱う
定期的に行われるイベントには、作家や翻訳者、詩人、ミュージシャンなど、ジャンルを横断したゲストが集う。過去には音楽家の蓮沼執太さん、詩人の伊藤紺さん、小説家の古川日出男さんなどが登場。トークイベントや朗読会のほか、ニットの「編み会」が開催されたことも。
イベント中も店は通常どおり営業していて、あえてクローズドな空間にはしない。ふらりと立ち寄った人が「何かやっているな」と足を止め、思いがけない本や人との出会いにつながるような場づくりを大切にしているんだそう。

ギャラリースペースにはこの日、画家であり漫画家で随筆家の小林紗織さんの作品が並んでいた
一角にはギャラリースペースがあり、そのときどきの展示を開催。天窓からやわらかな光が差し込む空間は、本屋やカフェを訪れた人に、新たな作家や作品との出会いをもたらしてくれる。

さらに階段を上がると、小さな屋根裏部屋のような空間が現れ、写真集や古本が所狭しと並ぶ。奥の扉の先には屋上があり、コーヒーやスイーツを楽しみながらゆったり本を読んだり、夏の夕暮れにはビール片手に街を眺めたりと思い思いの時間を過ごすことができる。
本、人、アートなど、カルチャーとの思いがけない出会いが待つトワイライライトへ、気軽に足を運んでみて。

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—— 装苑読者におすすめの3冊 ——

OWNER
熊谷 充紘さん
「こうあるべき」から
自由になるための本
オーナーの熊谷さんが『装苑』を読むあなたにおすすめの3冊をピックアップ。

「つながるからだ」シシヤマザキ
¥3,850 光文社
シャネルやプラダのプロモーションフィルム、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』のOPアニメーションなどを担当したアーティスト、シシヤマザキさんの作品集。イラストや写真、陶芸作品、文章がぎゅっと詰まった一冊。
自分の体を見つめ直すことで、生きる喜びを見つけていく作品。さまざまな表現が響き合いながら、一人の作家の世界観をまるごと味わえます

「色と形のずっと手前で」長嶋りかこ
¥2,530 村畑出版
グラフィックデザイナーである著者が、妊娠・出産・子育てを経て、仕事との両立についてつづった本。
子育てと仕事を両立することが、どれほど難しく、困難なものなのかを、率直な言葉で描いています。子育てをするのか、仕事を続けるのか、どちらかを手放すのか、どちらもやるのか。それらの選択肢の間で立ち止まり、模索する過程に寄り添ってくれる本

「なめらかな人」百瀬文
¥1,650 講談社
パートナー、そして元パートナーを含む4人で共同生活を送る気鋭の現代アーティストのエッセイ。
家族の在り方やアイデンティティ、資本主義など、世の中の“当たり前”を疑う視点をもたらしてくれる一冊。いろんな人に出会って傷ついて、でもだからこそ新しい自分の皮膚に出会うことができる。そんな作品です
INFORMATION
twililight(トワイライライト)
場所:東京都世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル3F
営業時間:12:00~21:00
休日:火、第一・第三水曜日
Instagram:@twililight_
WEB:https://twililight.com/