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新垣結衣インタビュー
「絶対的な正解というものはない」。
映画『正欲』とこの世界を見つめる視点

2023.10.30

『桐島、部活やめるってよ』や『何者』で知られる朝井リョウの小説『正欲』が、『あゝ、荒野』『前科者』で知られる岸善幸監督によって映画化された。横浜で暮らす検事・啓喜(稲垣吾郎)、ショッピングモールの寝具販売員・夏月(新垣結衣)、その同級生・佳道(磯村勇斗)といった人々が内に抱える“欲”が交錯していく物語。一人ひとりの心情を見つめながら、各々の生きづらさを描き、「正しさ」とは何かを問いかける力作だ。

装苑ONLINEでは、新垣結衣さんにインタビュー。新垣さんは、どのような言葉を紡ぐのか。本誌『装苑』「装苑ONLINE」を含めて、初めて新垣結衣さんにご登場いただいた、特別なインタビュー&ポートレートです。

photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) / styling : Yoshiaki Komatsu (nomadica) / hair & make up : Asuka Fujio / interview & text : SYO

『正欲』
横浜地方検察庁の検事、寺井啓喜(稲垣吾郎)は、子育ての方針をめぐり妻と意見が食い違っている。ある日、啓喜は事務官の越川から「新聞配達員が蛇口を盗み捕まった事件がある」と聞かされ、それが性愛に拠るものなのではないかと告げられる。また、広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月(新垣結衣)は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻ってきたことを知り、いてもたってもいられなくなる。さらにダンスサークルに所属する諸橋大也(佐藤寛太)は、学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベント出演をオファーされる。出演を計画した神戸八重子(東野絢香)はそんな大也を気にしていた。家庭環境、性的指向、容姿     様々に異なる背景を持つこの5人の関係が、少しずつ交差していく。
監督:岸 善幸、脚本:港 岳彦
出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香
2023年11月10日(金)より全国公開。
©︎2021 朝井リョウ/新潮社 ©︎2023「正欲」製作委員会

――本作を拝見し、新垣さんの目の演技や佇まい、落とした声が強く印象に残りました。演じる上で心がけていたこと、ポイントにしていたものを教えてください。

夏月という役は、いつも自分の居場所がないように感じている人物だったので、撮影中は常に身体が重くだるい状態で、身体や頭の周りにずっともやがかかっているような感覚が続いていました。そうしたものが声や表情ににじみ出ていたのなら嬉しいです。

ただ、具体的に「こういう風に演じよう」と決めていたわけではなく、“感覚”を大事にしていました。撮影前から「こういう時にこの人はどういう風に感じるのか」をたくさん考えて想像してイメージを膨らませていて。だからこそ、撮影中はあえて何も考えてなかったようにも感じます。

――となると、演じていくなかで発見していくような現場だったのでしょうか。

発見……うーん。「この人物が本当にそう感じるか」というのは私の感覚でしかなくて、絶対的な正解というものはなく、あくまで自分の中での「きっとこの人だったらこうなんだろうな」でしかないんですよね。ただ、お芝居という仕事にはやっぱり相手がいるので、相手がどういう言い方をするかによってこちらのリアクションは変わっていくので、そういった意味でも、そこで初めて生まれるものはありました。

NEXT  役になっていく衣装合わせの過程や、本作でこころがけていたこと。

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