
1755〜1765年頃の「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」。背中の箱ひだと、パニエで横に広がる優雅なシルエットが特徴。花柄の生地や立体的な装飾が、ルイ15世時代に流行したロカイユ様式を象徴している。
フランス屈指のモード美術館パレ・ガリエラ(Palais Galliera)で「18世紀のファッション。幻想化された遺産」展が開催されている。


左:1778年刊行の髪型図版。当時流行した“ベル・プール風”の髪型では、アメリカ独立戦争でのフランス軍艦「ラ・ベル・プール」の勝利を記念し、髪の上に帆船の模型を載せている。右:極端なプーフヘアが門を通れない様子を描いた風刺版画『Les funestes effets de la coquetterie(虚飾の悲惨な結末)』は、18世紀の過熱したモードをユーモラスに物語っている。
フランスの宮廷文化の最盛期を象徴する18世紀。創造のエネルギーに満ちていたこの時代の装いは、多彩なシルエット、豊かな織物、華麗な装飾や髪型によって特徴づけられ、その影響は現在のファッション界にも色濃く表れている。


左:1770年代に流行した「ローブ・ア・ラ・ポロネーズ」。スカートを左右と後ろの3か所でたくし上げ、ふくらみのある優雅なドレープを生み出している。右:1785〜1790年頃の鯨ひげ入りコルセット。鯨ひげや芯で上半身を支え、逆三角形のシルエットを形作っていた。
本展は、70点を超えるシルエットに加え、ファッション小物、テキスタイル、グラフィック作品などで構成され、18世紀のファッションがどのように後世へ受け継がれ、再解釈されてきたのかを詳細に解説。その中には、通常は公開されることのない王妃マリー=アントワネットのコルセットとされるピースも含まれ、話題を集めている。


マリー・アントワネット着用と伝わる1770〜1780年頃の宮廷礼装用コルセット。1997年にパレ・ガリエラが競売で取得したもので、現存するフランス唯一の宮廷礼装用コルセットとして、現在もマリー・アントワネット研究における重要な資料となっている。
また、18世紀から着想を得た現代デザイナーのセクションでは、ディオール、シャネル、ルイ・ヴィトン、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ドリス・ヴァン・ノッテンなどによる華やかな作品を紹介。18世紀の美意識が、後世のクリエイションの中でどのように生き続けてきたのかを示している。


左:ラフ・シモンズによるディオール 2014-15年秋冬オートクチュールのイブニングドレス。18世紀のローブ・ア・ラ・フランセーズを参照しながら、ミニマルで現代的な解釈を加えた一着。右:ドリス ヴァン ノッテンとクリスチャン・ラクロワによる2020年春夏コレクション。18世紀のリヨン製シルク柄をデジタルプリントで再現し、モダンなデザインへと昇華させている。

ジョン・ガリアーノによるディオール 2000-’01年秋冬オートクチュールコレクションの宮廷風パンプス。


左:ジョン・ガリアーノによるディオール 2007-’08年秋冬オートクチュールの作品。18世紀の画家フランソワ・ブーシェに着想を得て、ポンパドゥール夫人を思わせる優雅な装飾美を現代的に表現した。右:ジャンポール・ゴルチエ 1998年春夏オートクチュールの“ベル・プール風”ヘッドドレス。
●Fashion in the 18th century. A Fantasized Legacy
2026年7月12日(日)まで。
Palais Galliera, Musée de la Mode de Paris
10 Avenue Pierre 1er de Serbie 75116 Paris
公式サイトhttps://www.palaisgalliera.paris.fr/en

パリのモード美術館パレ・ガリエラ。
Photographs & Text:B.P.B. Paris