
『装苑』2026年9月号「装苑男子」に登場した、お笑いコンビ・たくろう。昨年の『M-1グランプリ』で優勝を果たし、一躍お笑い界の中心へ。誌面ではファッションストア「彼岸」とコラボレーションして『装苑』だけの特別な漫才衣装を制作しました。
装苑オンラインでは、彼らのトレードマークでもあるお馴染みの衣装に注目。
今のスタイルに行きついた経緯やそれらに込めた思いを教えてもらいました。

たくろう
NSC大阪校36期生のきむらバンド(トップ画像:右)、37期生の赤木裕(画像:左)が2016年3月に結成したお笑いコンビ。結成からわずか5カ月で大阪・よしもと漫才劇場のネタバトル「Kakeru翔グランプリ」で優勝。2019年に「第8回 ytv漫才新人賞決定戦」、2024年に「第54回 NHK上方漫才コンテスト」で準優勝。2025年、「M-1グランプリ」で優勝。2026年3月に大阪・よしもと漫才劇場を卒業し、4月には活動拠点を東京へ。
photographs:Josui Yasuda(B.P.B)、styling:Higan
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「自分にはファッションセンスがない」10年続く衣装が生まれた理由。
—— “漫才衣装”というには、かなり日常的なスタイルですよね? どういった経緯があったのでしょうか?

きむらバンド(以下:きむら) 基本的に僕は身に付けるものに対してこだわりがなくて、自分を全く信じていないというか……。
昔は自分で服を買っていたんですけど、愛媛から大阪に来た時に、同期から「もう信じられへんぐらいダサいぞ」って言われて。当時の私服を着られる服と着られない服に分けてもらったら、100%着られない方に入れられて、結局、全部捨てたんですよ(笑)。それで、自分にはファッションセンスがないなと思ったので、それからは衣服は全て誰かに選んでいただくようにしていて。今の衣装も同期の芸人に選んでいただきました。
——デビュー当初から衣装が変わってきていますか?
きむら 最初はTシャツにジャケットを羽織るだけだったんですけど、もうちょっと衣装っぽい方がいいと思って。2人で心斎橋あたりをうろうろして、なんでこれにしたのかは覚えてないんですが、セーターを着ていた時期もあります。
赤木 裕(以下:赤木) 2、3パターンくらいやと思います。コンビを組んで3年目ぐらいからは、もう今の衣装です。
きむら 「第39回今宮子供えびすマンザイ新人コンクール」で優勝した時の賞金で買いました。だから、もう10年ほどこの衣装ですね。

赤木 僕の方が変って言われがちですけど、きむらさんもよく見たらやばいですよ。ピチピチのジーパンですからね。
きむら これだけはねぇ〜、これだけが、“こだわり”かも知れない。
赤木 10年前(購入時)は結構みんな着てたんですか?ピチピチ。
きむら いや、その時でもほぼいなかったですよ。17年前、僕が20歳ぐらいの時ですね。世はもう、大ピチピチ時代だったんですよ。僕もね、その当時は、ピチピチパンツに湯葉ぐらい薄いカーディガンを羽織ってた時期があって。お兄系と呼ばれるような、ギャル男的な人が流行った時代。あの時代の最後の生き残りです!!
赤木 (笑)ピチピチの。もう誰も履いてないけど、だけど、まだ履いてるんですね。
きむら あの文化を俺が守る。もう一周するかもしれないからね!
赤木 あ、そんな……そんな熱い思いを持って(笑)この文化を消してはならぬという並々ならぬ思いなんですね(笑)
きむら そう!ともしびを……!俺が、今!と思って一応ね。

——赤木さんはずっと同じシャツですよね。きむらさんからのプレゼントとのことですが。
きむら 商店街で買ったやつですよね。
赤木 そう!大阪・塚本にある商店街で買いました。何してた時かはわからないんですけど、歩きながら適当にお店に入って。
きむら 確かライブの空き時間があって、楽屋も狭いし、うろちょろしよかって言って2人で商店街を歩いていて。誕生日も近いし、衣装も決まってないから「買おうか」ってなったんですよ。
赤木 ちょうど良さそう。ほんまに。僕が着てみて「ちょうど良さそうやん」でしかなくて。
きむら なんか、ちょうど良さそうやん。ってほんまに直感でしかない。コンセプトがあったわけでもなく。なんっか直感です(笑)
「何も分かってない顔でいたかった」衣装に込めた“素人っぽさ”
——漫才の内容やキャラクターを加味してというよりは感覚的だったんですね。
赤木 似合わなさそうって言ったらアレですけど、目的が分からない衣装というか。「なんでこいつこれ着てんねん」っていうのが分からんような服にしたかったんです。何も分かってないんやろな、っていう顔でいたかったんで。決まりすぎてない、訳の分からない衣装にしたかったですね。
きむら 意味が分からんもんね。
赤木 何が良くてそれを着てんの?って言われても、僕も答えられないみたいな。でも今はM-1優勝してある程度、箔がついてしまったというか。
きむら 一応チャンピオンというのをいただいていますから。
赤木 今までは素人っぽさがあった方がいいかなと思って、この格好にしていたところがあるんで。でも、優勝したらもう、プロじゃないですか(笑)。さすがに素人っぽくしててもしゃあないというか。もう、そろそろスーツのようなかっちりしてもいいのかなっていう。
きむら でも、僕は皆がかっちりしていく中で、“逆に”というのもあるんじゃないかとも思っているんですけどね。少しずつ布を短くとか……。
赤木 布を短く?(笑)どこを!? 丈を??(笑)
きむら そう。(笑)逆により分からんくしていくっていうね。「どういう意味やねん!その七分丈!!」みたいな。
きむら 僕らだけ、ずーっと衣装を全然変えてないんですよ。「よしもと漫才劇場(マンゲキ)」に所属していた時は、周年のたびに動画が上がるんですけど、僕らだけ毎年ずっと同じ衣装。何の代わり映えもない。
赤木 せいやさん(霜降り明星)とかには、「考えられへん。一端の芸人としてありえない。M-1という舞台でもあの衣装で出るなんてありえない」って言われてましたね(笑)。テロテロですもんね(笑)。

きむら 変えるとしたら、今やろうな。
赤木 M-1で優勝して1年はとりあえずこれでやって、こっから話の説得力を上げていくような衣装にね。出演も寄席だったり年配の方が見るような舞台も増えていくでしょうし、となると僕ですよね。あのシャツを変えてしまうと、僕のしゃべり方が腑に落ちなくなるか……。やっぱりずっとあの衣装ちゃう? 結局(笑)。
きむら その可能性は全然あるよ。
赤木 シャツは変えずに、パンツをめちゃくちゃ高級なものに変えていくとかね。少なくとも、きむらさんはジーパンは変えるべきちゃいます?
きむら 真っ白とかに? 真っ白の細身ってこと?
赤木 (笑)いや、絶対違います。ジャケットの色に合わせるとかあるじゃないですか。
きむら ほんまのこと言うとね、あのピチピチは卒業したいなと思って。
赤木 (笑)めっちゃほんまのこと言うたやん。
きむら 普段はピチピチのは履かへんし、ゆったりしたのが好きなのに。本当は変えたいんです。でも、俺が変えた時に、あの時のギャル男たちが寂しがらへんかなって。
赤木 いや、思わんでしょ。寂しがらない(笑)。ギャル男の票、入ってないですよ(笑)。
きむら 多分ね、ファンの方の1、2トップがギャル男なんで……。
赤木 「あの頃のピチピチジーパン、まだ履いてる芸人いるらしいぞ!」っていうことで応援されてるわけではないと思いますよ。そんな層は多分いない!
きむら え……大丈夫? 40代から40代半ばの人たちをちょっと切り捨てる形になる……んだけど(笑)。元ギャル男たちを。
赤木 気にしないでください(笑)。何を言うてるんですか。すごいギャル男背負ってるじゃないですか。
きむら 勝手にギャル男背負ってるんですよ。
——髪型もすごくアイコニックですよね。
きむら NSCの頃から、スタッフさんに「覚えにくいし、なんかした方がいい」って言われていて。同期の宗ちゃん(チェリー大作戦・宗安 聖)とタケヤ(イチオク)にパーマを勧められたんです。僕もこだわりとかないんで、素直に受け入れて。「めっちゃ似合ってんで」って言われたから、今に至ります。
赤木 僕は全く知らなくて、ある日突然、パーマになってやってきたんですよ。衣装もそうですよ。ある日突然、あの衣装になってやってきたんで、僕は何も知らなくて。ほんま急に(笑)。
――赤木さんは、ずっとその髪型なんですか?
赤木 大学からこれですね。こだわりも理由もなくて、髪で遊びたいという気持ちもないので、床屋さんに「とにかく違和感のない髪型にしてください」って……。
きむら 違和感はあるやろ。めちゃくちゃ(笑)。
赤木 (笑)床屋さんのナイスチョイスということで。
「結局、ヤンキーが一番かっこいい」憧れのファッションはIWGPと昭和のプロ野球選手
——ちなみにファッションについても少しお伺いしたいのですが、チャレンジしてみたいスタイルはありますか?
きむら 僕ら、ほんっまにファッションが分からんのですよ(笑)。
赤木 ほんまに私服すら買ってなくて……。最後に自分で服を買ったの、いつやろ……。楽天が日本一になった時。相当前ですよ。大学に入学した年ですね。
きむら もう終わったやん、大学の時って。
赤木 (笑)。楽天市場で日本一セールが行われて、その時にTシャツを大量に買いました。
きむら マジで15年以上前ですよ。まだピチピチが流行ってた頃ですよ(笑)。
僕は結局、ヤンキーが一番かっこいいと思ってるんで、IWGP(ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』)みたいな、鼻からチェーンみたいなのをつけたいですね。
赤木 僕はね、野球が好きやったんで、昭和のプロ野球選手みたいな、セカンドバッグ片手に……。
きむら ええなぁ〜〜!
赤木 当時のプロ野球選手って、ずっとスーツを着て移動してたじゃないですか。あの謎のファッションをやってみたいですね。
——ありがとうございます!最後に4月から拠点を東京に移されたと思います。東京でやってみたいこと、チャレンジしたいことがあれば教えてください。
きむら ドライブが趣味なんですが、今は行けていなくて。鎌倉、茅ヶ崎あたりにとにかく行きたくて、ずっとうずうずしています。本当はサーフィンもやりたいんですよ。大ファンの木村拓哉さんも27歳でサーフィンを始めたんですよね。僕も27歳で始めようとしたんですけど、当時は近くに海がなかったので諦めました。今からやってみようかな……。
——赤木さんはいかがですか?
赤木 二郎系ラーメン(を食べること)ですね。
きむら いやぁ、あれいける? 結構厳しいよ。
赤木 昔、大阪で何回か食べたことがあるんですけど、食べきれなかったですね。
きむら 一緒に行った時、とんでもなかったんですよ。赤木の隣にいたサラリーマンの人が「ごちそうさまでした」って店を出ようとしたら、店主の人が「まだ残ってるやんか、食え」と。「うちは食べきらないと出さない。泣いてでも食わしとるから、食わへんのはないで?」って怒られてて。そのサラリーマンがギリギリの状態で食べきって、逃げるように帰っていったんですよね。ほんで、パッと横の赤木を見たら、まだ7割ぐらい残ってるのに箸が止まってました。「いや、どうすんのこれ」と思いましたね(笑)。
赤木 (笑)
きむら まあ、よくよく聞いたら、大盛りにしたのに残すのはダメだと言われていたみたいで。赤木は大盛りにしてなかったから、そんなに怒られはしませんでしたけどね。あんなの見てたら、「赤木、行くなよ」って思っちゃいますけどね。
赤木 いやでも、味は好きで! 味はね。東京は本場やし……。優しい店があったら教えてください、皆さん(笑)。
——お二人でやってみたいお仕事はありますか?

赤木 NHKで深夜に世界遺産をずっと流してるみたいな番組あるじゃないですか。あれ、何か好きで寝れない時によく観ているんですよ、あれに出たいなっていう。
きむら 無理です。あれ風景やから(笑)無理です。
赤木 何かどうにかして出たいですね。
きむら そうかも知れんけど、無理やって!(笑)。風景やから。
赤木 世界遺産、全部にさりげなく映っているみたいな。
きむら 僕は動物がすごく好きなので、ナショナルジオグラフィックみたいな番組。ヌーの大群とかいいですね。あれに出たいです。
赤木 (笑)いや、っちょ一緒やて(笑)。無理やって。むしろそっちの方がハードル高いですよ。
きむら (笑)無理かな。ヌーの大群の端っこをよく見たら、たくろうとかね(笑)『装苑』さんに作ってもらった衣装を着て。
赤木 余計、目立ってヌーから狙われますよ!(笑)リスキーすぎる(笑)。
——素敵なお話ありがとうございました!
きむらさん着用:シャツ リメイクアイテム/パンツ¥57,200 フミトガンリュウ、レザーシューズ ¥32,780 (すべてヒガン)
赤木さん着用:シャツ リメイクアイテム/インナー¥25,080、パンツ¥30,580、レザーシューズ¥36,080、シャツリメイク (すべてヒガン)
ヒガン問い合わせ先:higantokyo@gmail.com
「たくろう万博」
日程: 2026年11月7日(土)・8日(日)
時間:9:30開場/11:00開演 /18:30終演(予定)
会場:万博記念公園もみじ川芝生広場(大阪府吹田市千里万博公園)
料金:一日券:大人9,000円/高校生4,500円/中学生3,000円
通期パス(2日券):大人16,000円/高校生7,500円/中学生5,000円
夜間券:大人4,000円/高校生2,000円/中学生1,000円
WEB:https://takuro-expo.com/
