撮影・竹内章雄
口に爽やかさが残るチーズのデザートはいつの季節も人気です。今回ご紹介するのは、オーブンや火を使わずにできるフレッシュなスイーツ、クレメ・ダンジュー。材料のフロマージュ・ブランが手に入らないときは、プレーンヨーグルトを代用として作ることが出来ます。いただく直前に、好みによってさまざまなフルーツソースをかけるのも楽しみの一つです。
〈クレメ・ダンジュー〉
フランスのアンジュー発祥のフレッシュチーズを使用したデザートです。もともとは生クリームにメレンゲを加えたものだったようです。19世紀のこと、あるお屋敷でデザートが足りないことに気づいた料理人、マリー・ルネオムによって考案されたといわれています。現在ではフロマージュ・ブランをベースに生クリームやメレンゲを加えて作ることがほとんど。ベリー系のソースと相性がよく、白と赤の色彩も美しいのが特徴です。
―――下園昌江―――
材料(作りやすい分量)
フロマージュ・ブラン ・・・ 100g
*プレーンヨーグルトを1日水きりしたものでもよい。
生クリーム(乳脂肪分42%) ・・・150g
レモン果汁 ・・・ 7g
卵白 ・・・ 70 g
グラニュー糖 ・・・ 18 g+18g
好みのフルーツソース ・・・ 適量
*ここではラズベリーを使用
準備
・生クリームにグラニュー糖18gを加え、ハンドミキサーの高速でツノの先端がおじぎをするくらいまで泡立てて冷蔵庫で冷やす。
・卵白は冷蔵庫で冷やす。
作り方
1 ボウルにフロマージュ・ブランを入れ、泡立てた生クリームを2回に分けて加え、その都度ゴムべらでボウルの底から返すようにして混ぜる。
2 別のボウルに卵白を入れ、ハンドミキサーの低速で30秒攪拌する。グラニュー糖18gを加え、高速でツノの先端がおじぎをするくらいまで泡立てる。
3 1に2を2回に分けて加え、ゴムべらでボウルの底から返すようにして混ぜる。
4 容器にガーゼ(またはさらし)を敷き込み、3を入れて(写真a)、ガーゼ(またはさらし)で覆ってからラップをかけて冷蔵庫で3時間以上冷やす。ボウルにフロマージュ・ブランを入れ、泡立てた生クリームを2回に分けて加え、その都度ゴムべらでボウルの底から返すようにして混ぜる。
a
5 器にスプーンで適量すくって盛り、好みのフルーツソースをかける。
~食べごろと保存~
当日が一番フレッシュ感と軽さがあっておいしい。保存容器に入れて冷蔵庫で2日間保存可能。
下園昌江
お菓子研究家。1974年鹿児島県生まれ。筑波大学卒業後、日本菓子専門学校で製菓の技術と理論を2年間学ぶ。その後パティスリーで約6年間修業。2001年からスイーツのポータルサイトSweet Cafeを立ち上げ、幅広い視点でスイーツの情報を発信する。国内外のさまざまなお菓子を見て食べる中で、フランスの素朴な地方菓子や伝統的なお菓子の魅力にひかれるようになり、そのおいしさを伝えたいと2007年、自宅で菓子教室を開く。著書(深野ちひろさんと共著)に『フランスの素朴な地方菓子~長く愛されてきたお菓子118のストーリー』(マイナビ出版)、『おいしいサブレの秘密』『アーモンドだから、おいしい』『4つの製法で作る幸せのパウンドケーキ』(いずれも文化出版局)がある。
Instagram @masaeshimozono
〈クレメ・ダンジュー〉は下園昌江さんの著書『まだ知られていない物語のあるお菓子』からピックアップしました。下園さんがフランスの地方で出会った、素朴なお菓子のレシピが多く掲載されています。クリームやフルーツ、チョコレートなどを使った繊細なお菓子というよりは、むしろそれらと対極にある焼きっぱなしのフランス菓子。例えばカヌレやサブレ、ガトー、タルト、クラフティなど。それぞれのお菓子に発祥の由来やエピソードが添えられているのも楽しい。
『まだ知られていない物語のあるお菓子』
下園昌江
文化出版局
1,700円(税別)
WEB:https://books.bunka.ac.jp/np/isbn/9784579214495/
簡単スイーツレシピ
#1 柳谷みのりさんの〈白くま風牛乳寒天〉
#2 福田里香さんの〈いちじくとはちみつのレアチーズケーキ〉
#3 中川たまさんの〈焼きいもタタン〉
#4 下園昌江さんの〈ジャムサンドサブレ〉
#5 小堀紀代美さんの〈ベイクドスライスアップル〉
#6 若山曜子さんの〈フレッシュベリーの型なしタルト〉
#7 坂田阿希子さんの〈オーブン焼きのころころフレンチトースト〉
#8 渡辺麻紀さんの〈マンゴーバー〉
#9 下園昌江さんの〈チョコレートパウンドケーキ〉
#10 坂田阿希子さんの〈フルーツポンチ〉
#11 渡辺麻紀さんの〈パイナップルケーキ〉
#12 小堀紀代美さんの〈ノスタルジープリン〉
#13 中川たまさんの〈レモン寒天〉