カメレオン・ライム・ウーピーパイ
【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.09】

カメレオン・ライム・ウーピーパイが1stアルバム『Orange』を完成させた。
2016年に始動、2019年末に初めてのシングル「Dear Idiot」をリリースし、
精力的にキャリアを積み重ねてきた中で、待望のアルバムとなる。
全17曲、どれも特定の音楽性や時代性などの枠組みに収まり切らないものばかり。
ヴィヴィッドに、エモーショナルに振り切った表現は、
聴き手の心を解放し、自由なダンスへといざなうはずだ。
このたび、オレンジの髪の毛がトレードマークのChi-にインタビュー。
アルバムや楽曲のことはもちろん、
ポップで刺激的なアートワークやファッションについても深掘りした。

interview & text: Miho Takahashi
Hair & Make Up: Kazuki Seino(cyez)
衣装: RBTXCO

『Orange』だけのインパクトのほうが自分たちらしいと思ったので。

――『Orange』は、どんなアルバムになったと思いますか?

このアルバムには、2019年12月に初めてリリースした「Dear Idiot」から最新曲まで(今までリリースした楽曲が)ほぼほぼ全曲入っていて。曲ごとにジャンルとかはバラバラですけど、通して聴いたら、カメレオン・ライム・ウーピーパイっぽさが感じられる作品になったと思いますね。

――その「カメレオン・ライム・ウーピーパイっぽさ」って、言葉にするとどうなりますか?

かっこいいだけじゃない、ダサくてかっこいい、みたいなところとか。私とWhoopies1号、2号で全部を作っているんですけど、私が「こういう曲を作って」って言ったとき、Whoopies1号から、想像していなかったトラック、メロディが来たりして。そういうことやミスがあっても楽しめるし。私たち3人が自然に作ったものがカメレオン・ライム・ウーピーパイっぽさだと思っています。

――その、多彩な「っぽさ」が詰まった1stアルバムを、ズバリ『Orange』と名付けたわけじゃないですか。Chi-さんの髪の色に由来しているのかもしれないですが、改めて名付けた理由をうかがえますか?

最初は、アルバムにも入っている「Stand Out Chameleon」の曲名をタイトルにしようと思ったんです。でも、ずっとオレンジ髪でやってきていたので、ジャケットは文字とかも入れずにオレンジ髪にして、タイトルも『Orange』でいいんじゃない?って、急に変更したんです。言葉で表すよりもパワーで伝えるっていうか、『Orange』だけのインパクトのほうが自分たちらしいと思ったので。

――ジャケットもタイトルも、過去イチでシンプルですよね。

ですね(笑)。今までやってきたアートワークも好きなんですけど、アルバムっていうモノ(フィジカル)になると考えたときに、インパクトを残すにはできるだけシンプルにしたいと。技術を駆使するより、リアルな自分の髪の毛で、っていうのが重要だったので。

「SXSW 2023」

――カメレオン・ライム・ウーピーパイといえば、Chi-さんといえばオレンジという印象もありますが、Chi-さんにとって「オレンジ」ってどういう色なんでしょう? どんな理由で、その髪色を貫いていらっしゃるんでしょうか。

以前は、青とか水色とか紫とか緑とか、いろんな髪色にしていたんですけど、たまたまお世話になっている大宮の美容室・cyezの学さんに「次は髪の毛、何色がいいでしょうね?」って聞いたら「オレンジ」って言われて。そこでオレンジにしてから、曲をリリースしたり、活動が軌道に乗り出して。だから、オレンジに意味があるというより、勝手にオレンジのイメージが付いちゃって、そこから変えられなくなったっていう(笑)。でも、「オレンジの髪の毛の奴」って知ってもらっているところもあるので。自分たちの中では意味はないんですけど、ラッキーカラーだとは思っていますね。

――なるほどね! 初めてのリリースが2019年、始動まで遡ると2016年で、満を持してのフルアルバムですが、このタイミングでリリースすることにした理由はあるんでしょうか。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ自身というよりは、周りの環境がすごく変わって。ここから、このチームでがんばっていこうっていうので、アルバムを作ることになった。それが、いちばん大きい理由かもしれないです。

自分たちが相当気に入っている曲ばかりだと思います。

――ひとつアルバムという形になって、達成感もあるんじゃないんですか?

そうですね。3人でやっていること自体は、ずっと変わらなくって。自分たちが好きなものを作っていこう、みたいな感じでやってきたんですけど。やっぱり、CDを出せる状態になったというか――「Dear Idiot」をリリースした2019年は、自分たちの曲を誰が聴いているんだろう?って思うぐらい、なんにもない状態からはじめたので。環境が変わったなあ、そんな中で続けてこれたんだなあって思うし。曲自体も、どんどん変わってはいるんですけど、ブレずにやってこれたとは思います。

――これまで発表してきた楽曲がほぼすべて入った、全17曲収録のアルバムになっていて。それは、今までの歩みを1stアルバムに収めたかったから?

そうですね。一度Spotifyの企画でアナログ盤(『MAD DOCTOR Xtra』)を出したんですけど。自分たち発信でモノ(フィジカル)を作るのは初めてだったので。だったらせっかくだし、ってどんどん入れていったら17曲になっちゃった感じです(笑)。

――ここまで入っていると、逆に、発表したけど今作には入っていない楽曲も気になりますね(笑)。

選んだものは、自分たちでもお気に入りというか。今聴いてもイケてるよね、っていうところで入れていって、曲が増えていっちゃったんです。入れていない曲が嫌い、っていうわけじゃないんですけど、やっぱり、その時の気分っていうのもあるので。だから、(収録されているのは)自分たちが相当気に入っている曲ばかりだと思います。

――これだけバラエティーに富んだ楽曲をまとめ上げるために、最初の1曲目「CHAMELEON LIME WHOOPIEPIE’s THEME」と最後の17曲目「Whoopie is a Punkrocker(CLWP ver.)」に、自分たちの名前が入った名刺的なナンバーを持ってきたのかな、って思ったんですが。曲順も含めて、アルバムならではの作り方は考えましたか?

そうですね。私たちの曲は1曲1曲が短くてするっと聴けちゃうんで、一枚を通して盛り上がりどころと落としどころを考えて、トータルで楽しめるように曲順は決めました。

――そもそもカメレオン・ライム・ウーピーパイは、どのように楽曲を作っていくんでしょうか。

私がWhoopies1号、2号に「こういう曲を作りたい」って、ざっくり伝えて。で、トラックを作って、メロディを歌って送ってくれるんですけど、Whoopies1号がめちゃくちゃ音痴で(笑)。なんだこのメロディ?みたいな。だから私が歌詞を付けると同時にメロディを整えて、話し合いながら作っていく。だいたいそういう感じですね。

――ある種、音痴なのが功を奏しているところもありそうですね(笑)。よりChi-さんの色が反映されて、化学変化が起きていくというか。

そうですね。不思議なメロディも、音痴だからこそできると思うし(笑)。それも楽しんでやっています。

――作ってほしい曲の雰囲気って、どんなふうに伝えるんですか?

音数が多いものとか、少ないものとか、「最初はドンドンドン!ってはじまる曲」とか、ざっくり伝えています。

――それで返ってきたものに対して、最初のイメージとバッチリ嵌っていると思うことがほとんどなのか、思っていたものと違うけどこれはこれでいい!っていうこともあるのか、どうなんでしょう。

音数少ないのを作ってって言ったときに、逆に音数が多いのが来たときがあって(笑)。あれ? これどういうこと?って言ったら、少ないのを作ろうとしたけど、いいと思うものを詰め込んでいったらとんでもないものができた、みたいな。それはそれでいいんですけどね。私の想像とバッチリ嵌ることもあるし、半々ぐらいなんですけど。でも、かっこよかったらそれでいいんで。私の想像したもの100%で作ってほしいとは、まったく思っていないです。

――それも、共同作業ならではの醍醐味ですもんね。

そうですね。これを言ったらどういうトラックが来るんだろう?っていう。想像以上のものができるように、お互いフワフワ、曖昧に言っています。

言葉じゃない部分も伝えたいと思って作りましたね。

――アルバムを聴かせていただいて、様々な時代の様々なジャンルを昇華して、振り切った形で表現している印象を受けました。Chi-さんご自身は、どんな音楽を聴いたときにグッとくるんでしょうか。

踊れる曲、リズムとかグルーヴがある曲が好きですね。それプラス、その人にしかできない音楽を聴いたときにいちばんグッとくるというか。洋楽も邦楽も聴くし、ジャンルもバラバラなんですけど、共通しているのは、オリジナリティがにじみ出ているものっていう。作り込むことなく自然な形で、人間性がにじみ出ていているもの。この人は奇天烈なことをやろうとしていないのに奇天烈になっているな、って感じる曲とか。コラボしたいって思う人も、ほかにない魅力がある人ですね。

――カメレオン・ライム・ウーピーパイも、そういう、自分たちにしかできないことをしたい、っていうのがひとつのコンセプトというか?

そこも、「オリジナリティを出そう!」みたいにやってはいなくって。3人で自然にかっこいいものを作ればオリジナリティは出る、みたいな感じで。いろいろ考えすぎちゃうと、きれいなものになっちゃう気がするし。

――今「きれいなものになっちゃう」っておっしゃっていましたけど、ちょっといびつなぐらいが面白い、っていう感覚でしょうか。

そうですね。まとまっちゃうのが怖いというか(笑)。こだわりも必要なんですけど、凝り固まったものしかできなくなる場合もあるじゃないですか。3人で作るスタイルを変えなければ、「っぽさ」みたいなものは失われないと思うので。ジャンルとか、そういうのは何も意識しないでやりたいと思っています。

――たくさん楽曲がある中で抜粋すると、8曲目「Where Is The Storm」と9曲目「Love You!!!!!!」の流れは、いちばんパンクでクレイジーに感じられました。

ここは、すごくエネルギーが溢れているところなので。カメレオン・ライム・ウーピーパイとは?みたいな2曲でもあると思っていて。歌詞も2曲とも短くって、ひと言にかける熱も高いし、私もお気に入りですね。

――カメレオン・ライム・ウーピーパイの楽曲って、どれも中毒性が高いんですが、特に「Where Is The Storm」は格別で。聴いている自分も叫びたくなるし、野性に戻るみたいな感覚を覚えるというか(笑)。Chi-さん自身は、歌っていていかがですか?

ライブでも毎回歌う曲なんですけど、いつもシャウトしていて。考えて何かやるよりもエネルギーが伝わるんで、気持ちいいし。うまく歌うとか、そういう邪念もなく、感覚でできる曲です。

「SXSW 2023」

――「Love You!!!!!!」もライブ映えしそうですね。

これは、サビが言葉じゃない曲にしたいね、って言って作ったんです。なので、《Ah!!!!!!!!!》って言っているんですけど、これも、感覚的に伝えたいと思って。アメリカでライブをやったときも、お客さんの熱がブワッと上がりましたね。

――言葉にならない思いが詰まっていますよね。

そうですね。言葉でごちゃごちゃ難しく言うより、言葉にできないことも伝えたいというか。言葉じゃない部分も伝えたいと思って作りましたね。

――それでいて、歌詞もいいんですよね。《愛せるまで死ねない》っていう。

自分自身にも思うことというか。人を愛する前に自分を愛さないと、っていうところもあると思うので。

――エネルギーっていうところで言うと、最後の3曲「Crush Style」「Indie Slime[CLWP×PARKGOLF]」「Whoopie is a Punkrocker(CLWP ver.)」にもあふれていて。最後まで出し尽くすというような意思を感じたんですが、いかがですか?

やっぱり、「Crush Style」「Whoopie is a Punkrocker(CLWP ver.)」は、自分たちもすごくお気に入りで。「Whoopie is a Punkrocker(CLWP ver.)」は、狂気的にキャッチーな曲、っていうテーマで作ったんで、アルバムのラストにもってこいだと思って。「Indie Slime」は、めちゃくちゃ好きなトラックメーカーのPARKGOLFさんと一緒に作ったんですけど、抜けている(曲調)というか、「Crush Style」「Whoopie is a Punkrocker(CLWP ver.)」の勢いある感じの間で腰を折る感じ(笑)。そこでカメレオン・ライム・ウーピーパイの変なところが出せるのかな、って入れました(笑)。

――カメレオン・ライム・ウーピーパイの楽曲は、振り切っているイメージもあるんですが、歌詞はシリアスなものが多いと思っていて。ふんばったり、あきらめたり、様々な姿勢で生きることに向き合っているように聴こえてくるんですが、どんなことを考えながら歌詞を書いていらっしゃるんですか?

やっぱり、私が音楽をはじめたきっかけが、人生の最後にがんばろう、みたいな感じだったので。このまま人生を終わらせようかな、みたいにネガティブになったときに、最後に音楽をやってみようってはじめたんです。なので歌詞には、ネガティブからポジティブへの変わり目を書いていて。ネガティブとポジティブのバランスは違ったりするんですけど、全曲、ほぼほぼおんなじことを歌っていいますね。

――そこもカメレオン・ライム・ウーピーパイをはじめてから、ブレていないところですね。

私がいちばんリアルに書ける歌詞は、今の時点ではこれしかないっていうか。めちゃくちゃポジティブな歌詞を書けって言われても、嘘になっちゃうんですよね。

――歌詞のみならず、さきほどから「リアル」ということをたくさんおっしゃっていますけど、リアルなものを表現したいという気持ちがすごく強い?

そうですね。Whoopies1号、2号とかは、「ファンタジーのバケモノです」って言ったりしますし、私の髪の毛も含めたキャラとかは、作られたものではあるんですけど、曲やライブや歌詞は、リアルなものじゃないと伝わらないというか。そこに嘘を入れてしまうと無茶苦茶になっちゃうので。ファンタジーの部分とリアルな部分をごちゃ混ぜにして、奇妙な感じになっているんですけど(笑)。それが、カメレオン・ライム・ウーピーパイだと思います。

――「Unplastic Girl」という曲もありますしね。

〈寝て起きて食べてただ転がっていくだけ〉という歌詞があるんですけど。本当にそれだけだな、って思って生きているので。リアルなものになっていますね。

お客さんの熱につられて相乗効果で、今までにないライブができました。

「SXSW 2023」

――アメリカでライブをしたということもおっしゃっていましたが、3月にSXSW2023に出演されましたよね。そのときの手ごたえはいかがでしたか?

カメレオン・ライム・ウーピーパイを知っている人はまったくいなかったと思うんですけど、ライブをはじめた瞬間からすごい盛り上がってくれて。私も、お客さんの熱につられて相乗効果で、今までにないライブができました。やっぱり言葉じゃないというか。自分たちがいつも伝えたいと思っているエネルギーや熱が、歌詞とかがわからないぶんダイレクトに伝わったと思うんです。すごい楽しいライブになりましたね。SXSWには1000組くらいのアーティストが出ていたんですけど、アメリカの音楽メディア「VIBE」で、ベストパフォーマンス10選に選出されて。知名度がないのに、純粋にパフォーマンスで選んでいただいたことに希望を感じました。

――すごいですね!堂々とパフォーマンスできたということの証ですもんね。

2019年にリリースするまでの期間、ほぼ毎日ストリートライブをやっていたんですよ。そこで「やってきた」っていう気持ちは、今に繋がっているのかもしれません。

――海外でもライブをやりたい、海外にも表現を届けたいっていうのは、当初から考えていらっしゃったんですか?

海外に向けてとは意識していなくって。ただ、日本に向けてとも思っていなくって。私が生活で使っているのが日本語だから、日本語を使うのが自然だからっていう理由で歌詞を書いていただけで。ただ、私たちっぽさを日本のメジャーシーンのスタンダードに持っていくことは、最初から目標で。それをずっと続けていたら、海外から見ても奇妙な感じに意識しなくても勝手になっていったので、よかったと思います。

――さっき「踊れる楽曲が好き」という話もありましたが、アメリカのお客さんも思いっきり踊ってくれました?

そうですね、めちゃくちゃ踊っていましたね。リズムを感じたまま動いてくれて、見ていても楽しかったし。私たちが、みんなで踊りたいなって思っていた曲で踊ってくれていたので、うれしかったですね。

――改めてですけど、Chi-さんはなんで踊れる楽曲が好きなんですか?

私、踊るのが好きで。すごいネガティブだったときに聴いていたのも踊れる曲で。歌詞に救われるっていうより、踊れる曲を聴いたほうが自分的にはいいほうに行けたんですよね。

――理屈じゃなくってエネルギーで引っ張ってくれる曲が好き、というか。

自分はひねくれているので(笑)。人から何か言われても、そうじゃないんだよなって思っちゃう。だから、「かっこいい!」とかっていう感覚のほうが納得いくし、そういうふうに思える曲が好きですね。

――アートワークやファッションも本能的に決めていらっしゃるんですか?

アートワークも、そのときの思いつきですね。歌詞も、Whoopiesから送られてくるトラックを聴いてコンセプトを決めるんですけど。「LaLaLa」のMVだったら、キャンピングカーで撮ったんですけど、いい感じにはなるけどちょっと違うなって思ったから、前日にバナナで遊ぶ内容にしようって決めたんです(笑)。

――これもインパクトありますよね。「なぜ!?」っていう(笑)。

そうそうそう(笑)。意味はまったくないんですけど、自分の中ではバッチリ嵌っているんです。だいたい感覚でやっていますね。

――ということは、視覚的にも聴覚的にもヴィヴィッドな表現になるのは、メンバーみなさんの趣向が大きいんでしょうか?モノクロの表現って、あまりないですよね。

そうですね。モノクロは、自分たちの好みじゃなくって。今後、やるときもあるかもしれないですけど、今はバキバキしているほうが好きですね。あと、私の髪色とかはわかりやすいので、できるだけジャケットで活かしています。

――以前、装苑の誌面に出ていただいたときも、ヴィヴィッドカラーを着こなしていらっしゃいましたが、ファッションも髪色に合わせているんですか? 今(インタビュー中)のファッションは、意外とシンプルですけど。

私服は正直、まったくこだわりなくって。できるだけ地味な服装で生きていきたいんですけど(笑)。

――そうなんですね(笑)。

でも、衣装に関しては、今、私たちが好きなのは、ごちゃごちゃしている感じや違和感というか。渋いセットアップにポップなアクセサリーを付けるとか、そういうところは意識していますね。かわいい服も好きですけど、プラス変なところも入れるようにしています。

――その違和感って、ヴィジュアルだけではなく音楽にも通じている考え方ですよね。

そうですね。かっこいいだけじゃなく、若干、変なのが好きで。曲でも、ここにもうちょい変な音を入れたいとか、ピコピコさせたい、ゲームの音を入れたいとかは、リクエストしますね。

――そういう、いい意味での違和感、ごちゃ混ぜ感って、日本っぽいですよね。特に都会の風景を見ていて感じますけど、いろんな文化を分け隔てなく取り入れていることで起こる、凸凹な色合いや形があるっていうか。

いわゆる日本っぽい、「富士山」や「お寿司」みたいな要素も、入れるときは入れるんですけど、さっき言っていただいたような、ごちゃごちゃしている感じっていうか。日本に住んで、日本のもので作っていると、そういう日本っぽさが自然に出て。以前TCTSっていうイギリスのDJの方とコラボしたときに(TCTS×CLWP「Rich Girl」)、わかりやすい日本語じゃなくって、本当に使っている日本語で歌詞を書いてほしいってリクエストがあって。わかりやすい日本っぽさじゃないところを本当は(海外からは)求められているんじゃないかって、そのときに思って。だから、「日本ってこうでしょ」っていうものを提示するよりも、自分たちがかっこいいと思っているものが日本っぽいとされるんだろうな、だから受け入れられるんだろうなって思いましたね。

――まさにカメレオン・ライム・ウーピーパイの表現は、ほかの国では生まれ得ない、いい意味でごちゃっとしたカルチャーの塊、っていうイメージがあります。

ありがとうございます。その感じで伝わっていたら、めっちゃうれしいです(笑)。

「SXSW 2023」

――よかった(笑)。でも、さっきおっしゃっていましたけど、普段は地味な服装が好きなんですね。

そうなんです。この髪色で生きていると、朝、起きたときに「マジ、この髪色うるさいな!」「また今日もオレンジの髪の毛だ」って思うんですよ(笑)。なので私服は、オレンジの髪の毛にしてから水色が好きになったりして。自分で勝手に緩和させようとしているのかもしれないです(笑)。

――7月には待望のワンマンライブ(「1ST ONE-MAN LIVE “Orange”」)が東京と大阪でありますね。

ずっとワンマンできていなくって。私たちが初めてリリースした2019年末からコロナが流行っちゃって、活動期間がごっそり被っちゃったんです。だから、アルバムのタイミングでやっとワンマンをやろうってなって。初めて長い時間ライブできるので、今までミュージックビデオとかでやっていたアイデアも、ライブバージョンで考えられるっていう。めちゃくちゃ楽しみですね。

――カメレオン・ライム・ウーピーパイのワンマンって、2パターン想像できて。めちゃくちゃ演出にこだわったものか、ナチュラルなライブ感あふれるものか。どちらになりそうですか?

それがミックスされている感じになるだろうなとは、自分たちでは思っていて。引き込むところは演出が必要だし、伝えるところはフィジカルでやっていく。そこはうまいことごちゃごちゃにして、いいバランスでやりたいですね。

――1stアルバムを出すと一区切りというイメージもありますが、これからカメレオン・ライム・ウーピーパイで、どういう表現を追求していきたいと思っていらっしゃいますか?

今まで通り変わらず、自分たちがイケてると思うものを、そのまま作るっていう。仲間が増えていくと、そこを貫くのもパワーが必要になってくるんですけど、これからも3人で作っていくっていうのは思っていて。最終目標は、さっきも言ったように、日本のメジャーシーンのスタンダードにこのまま(のカメレオン・ライム・ウーピーパイ)を加えるっていうものなんですけど、最近は海外に向けた動きもあって。自分たちでは想像していなかったんですけど、日本とか海外とかこだわらずに展開できたらいいなと思っています。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
オレンジ色の髪が特徴的なChi-と、仲間のWhoopies1号・2号から成る。楽曲制作やライブに限らず、ミュージックビデオやアートワークなど、自分たちの活動にまつわるすべてのクリエイティブを3人のみで手がけている。
2016年に始動。2019年12月に初めてリリースしたシングル「Dear Idiot」が、ノンプロモーションながら日本国内のみならず、海外でも大きな話題となり、その後もコンスタントにリリースを重ね、リリースから半年で総再生回数100万回を突破。2021年にはSpotifyの「RADAR:Early Noise 2021」に選出される。2022年8月には「SUMMER SONIC 2022」東京・大阪に出演。2023年3月には、アメリカ・テキサス州オースティンにて開催された世界最大級の複合フェスティバル「SXSW 2023」に出演。
公式サイト:https://clwp.jp/
Instagram:@chameleon.lime.whoopiepie  
Twitter:@chi_clwp   
Youtube:@CHAMELEONLIMEWHOOPIEPIE   


カメレオン・ライム・ウーピーパイ
1stアルバム『Orange』
¥3,300 CLWP records
2019年に初めてリリースしたシングル「Dear Idiot」を皮切りに、ここまでのカメレオン・ライム・ウーピーパイの歩みがわかる全17曲を収録。バラエティーに富みながらも、オルタナ・ヒップホップ・エレクトロなど、様々な時代の様々な音楽を「混ぜるな危険」という警告を振り切ってごちゃ混ぜにしたことで表れたような、いびつだけど癖になる、クレイジーだけどポップな、ビビットすぎて刺激的な楽曲ばかりだ。ぶっ飛んだシャウトに秘められた、シリアスで誠実な歌詞からにじみ出る人間性にも注目。
配信リスト:https://clwprecords.lnk.to/OrangeID

おしゃべりしたい音楽のこと CHATTING MUSIC
Vol.01 さとうもか はこちら
Vol.02 Maika Loubté はこちら
Vol.03 水曜日のカンパネラ はこちら
Vol.04 ELAIZA はこちら
Vol.05 長屋晴子(緑黄色社会)はこちら
Vol.06 塩塚モエカ(羊文学)はこちら
Vol.07 beabdobeeはこちら
Vol.08 DYGLはこちら

RELATED POST

RIIZEが待望の日本デビュー決定!意気込みを語った公開インタビュー会の全文レポートと...
上白石萌歌のぐるぐるまわる、ときめきめぐりVol.16  歌人 伊藤 紺
imase【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.15】
WEDNESDAY【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.14】
シンガーソングライター 澤田 空海理×映画監督 枝優花【CHATTING MUSIC おしゃべりし...
NEW COMER期待のニュークリエイターファイルEMILY YV(エミリ ユィ)
NEW COMER期待のニュークリエイターファイルD.Nart .Ampta(ディー・ナート・アンプタ...