気楽に生きることを
肯定できるような作品を作りたい
『装苑』2023年9月号 掲載
photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B,still life)
独自のユーモアと愛嬌のあるデザインで、見るたびにときめきをくれるブランド 、hisakanao。デザイナーの日坂奈央さんは、芸術大学を卒業した後、茨城県へ移住(理由は干し芋愛の強さから)。地域おこし協力隊の一員として、地元の人たちと交流していく中で作品制作を行ってきた。
茨城県に移住していた時に制作した本『愛まみれ』。布団サイズの大きな作品。
「地元のおばあさんに人生のことや、今、興味があることなどをインタビューし、その内容から着想を得て、服や新聞を作り、展示していました。それがきっかけとなって、東京・原宿にあったセレクトショップ 『WALL』にお声がけいただき、プランドとしての活動がスタートしました」
愛まみれに収録されている作品。スカートには散歩中のメモなどの刺繍が施されている。
日坂さんの作品には、その時々の自分自身の気持ちが、テーマとして色濃く映し出されている。 「初めてのポップアップストアでは『ホームシック』をテーマにしました。たとえネガティブな気持ちでも作品にすることで昇華されていく感じがします。これも作品になると考えたら、まぁいいかって思えるんです。だからこそ、作るものは、かっこつけず、完璧じゃなくてもいいから、等身大の自分でいられるものを目指しています。そして服だけにこだわらずいろんな作品を作り、いつか個展ができたらと思います」
ニットや刺繍でリメイクしたジャージー。音符は日坂さんが好きなモチーフの一つとのこと。
犬のモチーフや刺繍があしらわれた柔らかなデザインのミニポシェット。
少しハリのある素材で編まれた繊細なニットワンピース。
干し芋のために服を作り、着せて撮影したものをまとめた本『紅はるか』。日坂さんの干し芋愛が詰まった一冊。
好きな歌手、小田和正さんをモチーフに制作した人形と椅子。タイトルは「my angel」。
お母さんと共に作ったdog bag。不定期で一緒に作品を制作している。
ブランドプロフィール
Nao Hisaka 日坂奈央 ● 大学でファッションを学び、卒業後に大好さな干し芋の聖地、茨城県で3年間、作品制作などをしながら過ごす。その期間中の2021年に初めてポップアップストアを開催し、hisakanaoとして活動を始める。現在は関西を拠点に制作しながら、たまに東京を訪れている。@hisakanao
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official