人生の大切な場面で思い出を重ねながら
長く愛される服になれたら
『装苑』2023年9月号 掲載
photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B,still life)
文化服装学院で織りや縫製を学んだ佐藤さんと、ニットを学んだ宮崎さんが今年スタートさせたブランド、ユークロニア。大切な思い出ができる特別な場面で着てほしいという願いを込めたアイテムが展開されている。
編みと織りをミックスした立体的なレースのブラウス。修道女の折りや願いなどを想像して、ところどころにタッセルもつけている。¥93,500、一点物のヘッドピース¥77,000、シルクの糸で編まれたニットパンツ。ウエストの上端には着た人だけが気づくような繊細なレースが施されている。¥99,000
佐藤さんはレースの織り手、宮崎さんは編み手を担当し、それぞれが持つ技術とアイデアを融合させオリジナルのデザインを生み出す。
ユークロニアを象徴するレースドレス。ブランドのシンボルフラワーであるスミレとスズランがモチーフのオリジナルレースをふんだんに使用している。¥159,500
「“ユークロニア”には時間のない国という意味があり、そこで暮らす修道女たちの服がブランドのテーマです。デザインには、レースが発祥した当時、彼女たちが着ていた服のディテールや、見えない部分の秘密めいた要素をイメージして落とし込んでいます。そしてユークロニアらしいレースを作りたいと考え、私たちの思い出の花であるスズランとスミレのモチーフを立体的に手編みしたものを織りの上に重ねることで、凹凸感のある独自のレースを完成させました」
オリジナルレースや、ヴィンテージレースを使用し、すべて手作業で制作された一点物のヘッドピース¥71,500
ユークロニアが考える理想形は、口伝えでブランドの魅力が少しずつ広がり、秘密の花園のような存在になること。 「例えばレースが好きという共通点でコミュニティを作って、出張手芸教室を開催したり、それぞれが今かわいいと思うものについて話せる交流の場などを設け、そういった場面でユークロニアの服を一人一人に自分らしく着てきてもらえたらいいなと考えています。そして、その時々の大切なイベントの思い出が、レースに染み込んでいったら嬉しいです」
オリジナルのレースを使い、ハンドメイドで作られたつけ襟。首回りにはビーズも施し、細部までこだわった一点。¥44,000、ニットトップ¥47,300
大切なものだけをしまえるお守りのようなレースバッグ。持つと立体的な花のモチーフが揺れるのもかわいい。¥44,000、ニットパンツ¥99,000
右:ファーストコレクションのテーマである 「時間のない国に暮らす修道女」が日々つけている頭布をイメージしたレースキャップ。サイドには手編みの花のモチーフが施されているので、かぶると揺れて、ピアスをつけているかのように見えるのもポイント。¥39,600
左:着ている本人だけが特別感を感じられるインナーを作りたいという思いで生まれたガーターソックス。ガーターとソックスの部分は取り外せ、様々な着方を楽しめる。¥39,600
シルクの糸を使用した、無縫製ニットのトップ。着ると独特のドレープが出るのが特徴。 袖口には手編みのニットをあしらっている。 ¥47,300、一点物のヘッドピース¥69,300
ブランドプロフィール
EUCHRONIA(ユークロニア)●文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 @euchronia_official
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日坂 奈央/ hisaka nao デザイナー
大学でファッションを学び、卒業後に大好さな干し芋の聖地、茨城県で3年間、作品制作などをしながら過ごす。その期間中の2021年に初めてポップアップストアを開催し、hisakanaoとして活動を始める。現在は関西を拠点に制作しながら、たまに東京を訪れている。Instagram:@hisakanao