
パーソナルなスタイルが息づく東京のストリート
―― 今回10年ぶりの来日とのことですが、久しぶりに日本の街や人々を見て何を感じましたか?
クリス:滞在期間が短いので分析するようなことは言えませんが、今回も本当にたくさん街中を歩いていたら、先日、 4 人の男性を見かけました。彼らは全員、ヨウジヤマモトの黒いスーツを着ていて、なんと素敵なのだろうと思いました。
―― そのスタイルに惹かれたのですね。
クリス:非常にパーソナルなスタイルだと感じました。今や世界中のどこにでも同じラグジュアリーストアがあり、ファッションは世界的で画一化した「ユニフォーム」になり得ます。すべての店の見た目が同じになってしまう。しかし、東京のストリートで、このような非常に典型的な日本のスタイル、パーソナルなスタイルに気づくとき、私はそのほうがずっと好きだと感じるのです。

未来のデザイナーたちへ。
「焦らないで、学ぶプロセスを楽しんで」
―― 最後に、『装苑』の読者にはデザイナーを目指す若い世代が多くいます。世界最高峰のメゾンから、世界中で愛されるブランド、そしてご自身のブランドまで、様々なフィールドでファッションデザインを担ってきたクリスさんから、未来のファッションデザイナーたちにアドバイスをいただけますか。
クリス:幸運を祈ります。そして、大事なことは、焦らないことです。
―― 焦らないこと。
クリス:ソーシャルメディアと溢れる情報によって、若い人々は非常にせっかちになっていると思います。誰もが即座の名声や認知されることを求めるため、成功さえもすぐに手に入れるべきだと考えています。しかし、ファッションの世界においては、それはあまりに危険です。学ぶプロセスは重要であり、そのプロセスを楽しむことが大切です。
―― 具体的には、どのような学びが重要でしょうか。
クリス:ファッションを応用芸術の一形態として真剣に捉えることです。それは単にTシャツやスウェットシャツにプリントを施すだけではありません。ファッションはもっと多くの可能性を秘めています。パターンメイキングを学び、ファッションの歴史を学ぶプロセスを受け入れること。これまで何がなされてきたかを知り、それを次にどこへ持っていけるかを考えること。そして、自分のブランドを立ち上げる前に、他のブランドで実務経験を積むことは将来の大きな糧になるでしょう。せっかちになりすぎないことが、とても重要なのです。

Kris Van Asshce
クリス・ヴァン・アッシュ●1976年生まれ、ベルギー出身。アントワープ王立芸術アカデミー卒業後、エディ・スリマンの右腕として「イヴ・サンローラン」や「ディオール オム」で経験を積む。2007年、エディの後任として「ディオール オム」のクリエイティブ・ディレクターに就任。約11年にわたり、伝統的なテーラリングにストリートの感性を融合させた独自のスタイルを確立した。その後「ベルルッティ」のアーティスティック・ディレクターを経て、現在は家具やプロダクトのデザインなど多角的に活動している。2026年に、「フレッドペリー」との初のコラボレーションを発表。ブランドの象徴であるポロシャツに、自身のシグネチャーである「花」のバッジやタイを添えるなど、ユースカルチャーのユニフォームをエレガントに再構築し、大きな話題を呼んでいる。
Instagram:@kris_van_assche
FRED PERRY
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