
スマホを置いて、本を開く時間は、どこかの誰かの考えや世界に触れながら、
自分自身の感性とも向き合える豊かなひととき。
今回は、ファッションやアート、カルチャーを愛する装苑読者におすすめしたい、
東京の個性あふれるブックショップをご紹介。
店主やスタッフの方に、とっておきの3冊をセレクトしていただきました。
本との出合いは、新しい価値観や創作のヒントをもたらしてくれるはず。
世界を広げてくれる一冊を探しに、街の本屋へ出かけてみませんか?
photographs :Jun Tsuchiya (B.P.B.)
/ text : SO-EN
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フェミニストのためのBOOKSHOP
編集者の松尾亜紀子さんによるフェミニズム出版社が運営する書店「エトセトラブックスBOOKSHOP」は、2021年1月にオープン。書籍販売やイベントを通じて、フェミニズムの思想を身近に感じ、理解を深める場を提供している。
新代田駅からすぐのショップは、アート作品やオリジナルグッズが店内を彩る、明るい空間。ポジティブな気持ちで本を選べる場所だ。



展示ごとに変わるアーティストの作品や、フェミニズム関連のグッズが棚や壁を彩る。
右上 ロンドンにあるヴァギナ博物館の子宮を模したぬいぐるみ。作家の柚木麻子さんからのお土産だそう。
店長を務める(26年7月まで)のは寺島さやかさん。寺島さんが下北沢の「本屋 B&B」勤務時代に手がけたフェミニズム関連のブックフェアに、松尾さんが感激して声をかけたのが縁になったという。
「まずは自分たちが安心できる場をつくる。その上で、来てくれる人達にとってリラックスして本と向き合える場所にしていきたい、と試行錯誤してきました。」という寺島さん。その言葉通り、店内のあちこちに飾られているフェミニズムに関連したグッズや、丁寧に作られた陳列棚からは、あたたかな想いのエネルギーが満ちているよう。


書棚には、エトセトラブックスが刊行する書籍をはじめ、専門書やエッセイ、小説、詩集、コミック、絵本など、多種多様なフェミニズムに関する書籍が新刊・古書にかかわらず並んでいる。取り扱うトピックも、ルッキズムやケア、身体の健康と権利にまつわるものをはじめ、デザイン、建築、ファッションに至るまで幅広いラインナップ。




選書や陳列には、フェミニズムの道を切り拓き、受け継いできた先人たちへの深いリスペクトと、「はじめてフェミニズムに触れる人でも気軽に楽しめる棚にしたい」という想いが込められている。
「ジェンダーやフェミニズムの問題は非常に幅広く、すべての人々の日常に関わってくるものです。そのため、’フェミニズムをとおしてこそ感じられる世界の豊かさ’を具現化できるよう心がけています。また、フェミニズムに興味を持って来てくれても、専門書ばかりだと『もっと勉強しなきゃ』と責められているように感じて、へこんでしまう人もいると思うんです。そういった気持ちを、絵本や小説、詩はやさしく掬い取ってくれる。だからこそ、そうした本も多めに取り揃えています」と寺島さん。
「なぜ男性はスカートをはかないんだろう?」という素朴な疑問からフェミニズムに興味を持ち、お店を訪れた男性もいるという。
自分にとって身近なトピックや興味がある分野から、気負わずフェミニズムに触れることができるのが魅力的だ。

取材時には、写真家の古里裕美さんと作家の齋藤寛子さんによるふたり展「TIDE 交差する私たちの存在」が開催されていた。古里さんが約10年にわたり、宮城県石巻市に住むひとりの女性を中心に、同時代を生きる人々や広がる光景、風景へとカメラを向け続けてきた作品集「TIDE」。
被写体であり、自身も表現者である齋藤さんが、今回、写真集をモチーフに木版画と絵画を制作した。
現在は、政治的な手芸部による2026年のバナー「非戦」が展示中。
定期的に開催されている展示やトークショー、ワークショップといったイベントも外せないポイント。
「アクティビズムに関わっていると、みんな傷だらけになってしまうんです。傷を癒すまでのことはできなくても、ここに来れば楽しい気持ちになれるし、一緒に頑張ろうと背中を押される。そんな場をつくりたくて、読書会やワークショップといったイベントを定期的にひらいています」と、スタッフのほたてさんは語る。


Tシャツやトートバッグ、タトゥーシールなどのオリジナルファッショングッズも必見。ロゴやグッズのデザインは、デザイナーの福岡南央子さんによるもの。どれもおしゃれで可愛い。
I read feminist booksトートバッグ(黒×青、黒×黄) ¥1,540
I read feminist booksトートバッグ(赤、白、緑)¥2,400 フェミニストタトゥーステッカー ¥1,600
フェミニズムに興味がある方はもちろん、ファッションやクリエイティブが好きな方、日々の「なぜ?」を抱えている方にぜひ訪れてほしい「エトセトラブックスBOOKSHOP」。気持ちに寄り添い、新たな道標となる一冊にきっと出会えるはず。
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—— 装苑読者におすすめの3冊 ——
私らしく、自由に装うパワーをくれる
店長の寺島さんとスタッフのほたてさんが『装苑』を読むあなたにおすすめの3冊をピックアップ。

『マリはすてきじゃない魔女』柚木麻子
¥1,320エトセトラブックス
柚木麻子さんがエトセトラブックスのために書き下ろした、初めての児童文学。魔女の娘である主人公のマリを中心に、マリにふりまわされながらも、町のみんなが自分のための魔法を見つけていく物語。
登場人物が本当に多様に描かれていて、私たちの社会にはこれだけ色んな人たちが一緒に生きているんだ、ということがすっと入ってくる小説です。児童書ですが、大人が読んでも楽しめると思います

『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』ロレッタ・ナポリオーニ (著)、 佐久間 裕美子 (翻訳)
¥2,970 岩波書店
フェミニズムや社会運動を支えるツールでもある編み物。個人と政治、経済などから、編むことのパワーが紡ぐ歴史を辿るエッセイ。
手芸は家庭で女性がやるものというイメージが長らくありましたが、近年、「政治的な手芸部」などの運動を通して手芸を政治的なものとして再定義されています。手仕事をアクティビズムに生かしていく動きの中で出版された一冊。とても面白いのでおすすめです

『ノンバイナリー・スタイルブック』山内 尚
¥1,650 柏書房
ノンバイナリー(男性・女性という性別のどちらか一方にはっきりと当てはまらない、または当てはめないというあり方)を自認するファッションを愛する著者が、日々のコーディネートをどのように選んでいるのかをエッセイとイラストで綴る。
ファッションで自分をどう表現していくのかということと、ジェンダーは強く結びついていると思います。この本は、装いに対する思い込みに気づくきっかけを与え、もっとおしゃれを楽しめるようになる一冊です
INFORMATION
エトセトラブックスBOOKSHOP(etc.books)
場所:東京都世田谷区代田4丁目10-18 ダイタビル 1F
営業時間:12:00〜20:00
休日:月、火、水、土曜日
Instagram:@etc.books_bookshop
WEB:https://etcbooks.co.jp/