
photographs : Kei Kondo(3rd) / styling : JUN ISHIKAWA /
hair & makeup : Chie Ishizu / interview & text : Mizuki Kanno
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中 島 健 人
Kento Nakajima
アイドルとしての経験を誇りに。
ソロアーティストとして、
自分にしかできない表現を届けていきたい。
アイドル、役者、アーティストとして、常に新しい扉を開き続ける中島健人が、世界観の全く異なる両A面シングルをリリースする。TVアニメ「逃げ上手の若君」の第二期オープニングテーマ「鬼事」と、自身の主演映画『ラブ≠コメディ』の主題歌「Fiction Love」。世間が求める完璧なイメージと、その裏にある表現者の葛藤を描いた同映画で、主人公・神崎麗司を演じ切った彼自身の心の内は、その役柄と鮮烈にシンクロしている。アーティストとして次なるフェーズへと進む彼が自身の表現の核をひもとく。
「麗司という役を演じる上で、『認められたい』という、泥臭くも人間らしい部分。そこが、自分自身と深くリンクしているなと感じました。実は劇中の冒頭、ラジオ局のシーンで、麗司がマネージャーに対して『賞欲しい!、― 賞欲しい!』って駄々をこねる場面があるんですけど、あれ、僕のアドリブなんです。今回の紙谷監督は、以前、ドラマ『彼女はキレイだった』を一緒に作った、僕が全幅の信頼を置いている方。彼女なら、僕が投げるアドリブを全部受け止めて、面白く料理してくれるだろうなという確信があったので、思い切ってカメラの前でぶつけてみました。そうしたら、現場の反応が良くて。『あ、これはOKだな』と手応えを感じました」
映画のストーリーや主人公たちの関係性と美しく連動する主題歌「Fiction Love」。歌詞の世界観があまりにも作品そのものであるため、役柄に寄り添ったものかと思いきや、そこには意外にも中島自身のノンフィクションな本音と、緻密なプロデューサー視点が反映されている。
「この曲は、サビの頭で主人公とヒロインが会話しているような構成になっているんです。ヒロインが『愛じゃないよ』と言って、それに対して主人公が『愛じゃないの?』と返す。これは、台本には用意されていないけれど、『愛してる』って思わず言ってみちゃダメなのかな、という、フィクションの中で本当に相手のことを好きになってしまった、二人の関係性を描いています。僕がこの楽曲のギミックとして一番こだわったのが、サビ前などに入るギターの弦の音を、映画の『カチンコ』の音に見立てているところなんです。『アドリブっぽく愛してるなんて囁き合っているけれど、カチンコが鳴れば、それすらもすべてフィクションですよ』という仕掛け。つまり、中島健人自身が一つの作品として『フィクションラブストーリー』を描いているという、二重の構成になっています。
サビのダンスでは、『F』と『L』の文字を表現するハンドサインを入れています。ライブやSNSも含めて、みんながマネして一緒に踊りながら歌ってくれたら嬉しいです」

映画のセリフの中にもある「分かりやすい表現がカッコいいのか、それともカッコ悪いのか」という、大衆性と芸術性のバランス。「Fiction Love」も「鬼事」も、どちらもフックのある強烈な個性を放ちながら、耳にスッと入ってくるポップさがある。その絶妙なバランスこそが、今回の両A面楽曲のどちらにも共通する魅力だ。
「『鬼事』に関しては、アニメが持つ和のテイストや古典的な世界観に寄り添って、いわゆる日本の『歌謡曲』のような、重心の低い力強い歌い方を意識しました。 『歌謡曲らしさって何だろう?』って考えた時に、ただ綺麗にメロディーをなぞるのではなく、あえてこぶしを回したり、声にドスを利かせたりすることがフックになるなと思って。そうして力強さを見せることで、『Fiction Love』とのコントラストがより鮮明になったと思います」
表現の世界に身を置いていると、時に「違う自分」や「まだ見ぬ評価」を求めて心が揺れる瞬間もある。そうした葛藤を抱えながらも、彼がステージ衣装やアートワーク、楽曲プロデュースも含めて圧倒的なこだわりを持って世界観を発信し続けられる、その「譲れない核」はどこにあるのだろう。
「僕は『未来までずっと歌われ続ける楽曲』を作り続けたいし、それが自分の『夢』でもあります。日本全国の、あらゆる世代の人が自然と口ずさめるような曲。そして、そういう強度を持ったポップス作品を作りたいからこそ、どんなに葛藤があっても、折れずにずっと前を向いて進み続けられるんだと思います。自分の表現の核であり、一番の原動力になっているものは、シンプルに夢そのものなのかもしれないです」
自分でペンを執り、音を紡ぎ、視覚表現までセルフプロデュースする中島健人。彼が体現するアイドル像は、単にパッケージされたキラキラした王子様だけではない。時代のアイコンとしてこれからもシーンを牽引していく彼が見据える、未来の展望とは。
「『アイドル界の中のNo.1アーティスト』になりたいと思っています。僕はミュージシャンとしてデビューしたわけではないし、俳優としてキャリアをスタートさせたわけでもない。歌って踊れる『アイドル』というバックグラウンドがある。だけど、人から与えられた物事だけを、ただ淡々とこなすことが苦手で、10代の頃から作詞や作曲、ステージの振り付けといった『ゼロからクリエイティブをすること』に向き合ってきました。
15歳くらいからノートに歌詞をずっと書きためていて、そこにメロディーをつけてみたり。それがようやく実を結び、世の中に発表できたのが21歳くらいの時でした。グループにいた頃も、メンバーのために曲を書き下ろした経験もありましたし、そうやって一歩ずつ積み重ねてきた経験が、間違いなく今のソロ活動の大きなベースになっています。
今も思ったことやフレーズがあれば、すぐにスマホのメモ機能に入力します。メロディーの断片が頭に浮かんだ時はボイスメモに録音したり、あとはその浮かんだメロディーに対して、パズルのようにカチッとハマる言葉を当てはめていく。その作業が、純粋に楽しいんですよね。実は、頭の中にはまだまだ外に出していないメロディーのストックがたくさんあります。これからも、自分にしかできない表現を届けていくことこそが、僕の使命なのかなと思っています」

ジャケット、トップ 参考商品 エムエーエスユー/その他 スタイリスト私物
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中島健人
『鬼事 / Fiction Love』
通常盤¥1,650 Sony Music Labels
8月19日リリースの3rdシングル。TVアニメ「逃げ上手の若君」第二期OPテーマ「鬼事」と、自身の主演映画『ラブ≠コメディ』主題歌「Fiction Love」を収録。雰囲気の異なる2曲をそれぞれに異なるジャケット仕様でリリースする。
Kento Nakajima
1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年にSexy ZoneのメンバーとしてCDデビューを果たす。24年12月にアルバム『N / bias』で待望のソロデビュー。翌年の初アリーナ単独公演で6万人を動員し、国内外でのツアーや香港の大型フェス「Clockenflap」への出演を果たす。’26年2月にリリースした2ndアルバム『IDOL1ST』では、オリコン週間音楽ランキングで自身初となる3冠を達成した。役者として国内外の映像作品で存在感を放つ一方、アーティストとしても作詞・作曲、ステージ演出までセルフプロデュースする。主演映画『ラブ≠コメディ』が公開中。
Instagram:@kento.nakajima_313
『装苑』2026年9月号掲載





