北山宏光
【CHATTING MUSIC おしゃべりしたい音楽のこと vol.17】

2024.08.26

新天地でアーティストとして新たな歩みを進める北山宏光さん。アグレッシブに楽曲制作や活動に取り組むチャレンジングな今を支えるのは、内側に燃える音楽への情熱に他ならないであろう。そんな北山宏光さんの1st アルバム『ZOO』が8月26日(月)遂にリリース。そのほとんどの作詞を自身が手掛け、制作を共にする盟友たちとは丁寧にその一つ一つの言葉と音を紡いだ。細部までこだわり抜いて創り上げられた『ZOO』について、北山さんにお話を伺いました。

photographs: Jun Tsuchiya(B.P.B) / styling: Kei Shibata(tsujimanagement) / hair & makeup: Chiemi Oshima / interview & text: Mizuki Kanno

何が入っていても、『ZOO』という器が受け入れてくれるので、とことん冒険できる。

どんな種類の音楽が入っていても違和感がないように、音楽を動物に例えて『ZOO』と表現しました。もちろん、統一感のある楽曲でアルバムを構成することも大切ですが、自分がまだ挑戦したことのない音楽を突き詰めてみたくて。その外枠なんです『ZOO』は。

「いつか世に出したい」と、昔からあたためていたデモ曲たちと再び向き合い、改めて、いつも協力してくれるミュージシャンの皆さんにお声がけをして、一緒に作り直した作品も多いんです。斎藤宏介くん(UNISON SQUARE GARDEN / XIIX)との楽曲はまさにそうで、今回、改めて歌詞を書き直しました。斎藤くんが半分書いて、僕が残り半分を書く。そんな感じで制作を進めていきました。

「JOKER」を作った時は、斎藤くんから「メロディーを作っていたら浮かんじゃった」って、ワンコーラス分くらい書かれた歌詞も一緒に送られてきたので、僕が、斎藤くんが書いた歌詞の世界観とはまた異なる方向に想像を膨らませて歌詞を書き足して、それを斎藤くんに説明したら「そんなの思いつかなかった」って褒めてくれて。2人の視点で書いていくからこその新たな発見や意外な広がりが楽曲に生まれるので、楽しいんです。いつもお互い褒めあって制作を進めています(笑)。

普段からメモ癖があって、誰かの言葉も、自分が思ったことも、漫画の好きな言葉も、路上で見かけた言葉も、いいなと思ったものは全てメモしています。作詞自体は、まず楽曲のテーマを考えて、そのメモ書きを参考に、言葉を肉付けしていく感じです。書き始めたら、2日くらいで出来上がりますが、その前の楽曲の構想を考えるのに、1週間程度必要ですね。

アルバム制作のタイミングでよりくん(藤家和依さん)に「一緒にやろうよ」と電話をしたところ、二つ返事で引き受けてくれました。僕の1st シングル「乱心-RANSHIN-/JOKER」に収録されていた「NE:Ø era」もよりくんと一緒に作った楽曲で、ライブで一番盛り上がる楽曲なんです。一緒にステージに立ってきたことがあるよりくんだからこそ、そこを汲んだ楽曲を作ってくれるんですよね。今回も、アルバムのスパイスとなる楽曲として「COMIC」の作曲を相談しました。最初によりくんから送られてきた曲を聴いて、もっと上を目指せる曲だなと感じたので、途中からメロをガラッと変えてみたり、実は冒頭の「コミック」をよりくんの甥っ子が言っていたり(笑)、いろんなギミックを加えました。慣れ親しんだ漫画の登場人物や彼らの必殺技が、楽曲の中に散りばめられていて、とてもキャッチーな楽曲に仕上がったなと思います。

何が入っていても、『ZOO』という器が受け入れてくれるので、とことん冒険ができるんですよね。「Wobble」は“Gwing gwing gwing gwing gwang ”という中毒性の高い歌詞に惹かれて採用した楽曲で、二日酔いの曲なんです(笑)。映画『ハングオーバー!』のような世界観をイメージして詞も書き下ろしました。

実は、以前にデモとして聞いたことがあって、そのうちの1曲が、すでにリリースされている「赤い夜に」。そしてもう1曲が、「in the Moonlight」です。いつか絶対に発表したいと思っていたので、今回改めて斎藤くんにお願いしました。歌詞も新たに書き直してくれて、1コーラス目を斎藤くんから受け取って、2コーラス目を僕が書いて、また斎藤くんに渡して。美しいメロディーに情緒的な歌詞がマッチした、とても優しい曲になりました。

そうなんです。斎藤くんから映画のような歌詞が送られてくるから、僕もその物語を想像しながらまた歌詞を渡して。聴いた人それぞれの自由な解釈ができるように、ストレートな言葉は使うけど、余白も持たせる。そのバランスを考えながら物語を広げていく作業は面白かったです。でも、本当に伝えたいことはどの曲も一言でまとまっていて、「in the Moonlight」では、ラストの“君の明日でいたい”という言葉が、僕の中でのテーマですね。

今の自分が思っていることを記録するという意味でも、制作活動は大切。

「乱心-RANSHIN-」は、自分のやりたいことを詰め込んだ作品です。日本から発信する楽曲だからこそ、和を感じさせる歌詞やメロディを意識して入れています。実は“4,3,2,1 宴だ”というフレーズは、当初はもっと、聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームだったんです。でもマスタリングの時に滝沢くんが、「ここはもっとあげよう」って提案してくれました。サビの“ゆらゆら”という言葉も英語では存在しない、日本ならではの表現なので、あえてサビのあたまに持ってきたり。歌詞の内容も説明し始めたらキリがないくらい、いろんな意味やギミックを詰め込んでいるので、面白い楽曲になったんじゃないかなと思います。

りゅうちゃん(今市隆二さん)が6月にリリースしたアルバム『R』で声をかけてくれて、「REALLY LOVE feat. HIROMITSU KITAYAMA」に参加させてもらいました。じゃあ、僕もアルバムを出すから一緒にやろうよということで、りゅうちゃん自らが希望してくれた「THE BEAST」の高速ラップパートをお願いしました。本当に、全然違う曲になっていますよね。

この曲は、実は21歳の時に作った楽曲で、音源にしたのが27〜8歳くらい。ギターで弾いたメロディから出来上がった曲で、初々しさだったり、当時のストレートな感情が歌詞に表れていて、これは21歳だった当時の僕にしか書けなかったなと思います。当時は本名を隠して制作活動をしたいなと思っていたんです。だから、HusiQ.Kを使っていましたが、今はあえて別名義は使わなくてもいいかなと思って。今後、もし誰かに楽曲提供などをすることがあれば、またHusiQ.Kが出てくるかもね、という感じですね。この『ZOO』という作品も、今の自分の素直な思いや言葉が詰まった作品だから、多分来年の自分は、もう同じ曲は書けないんです。その時々で自分が思っていることを記録するという意味でも、制作活動は大切だなと改めて思います。

初めてきてくださる人も、そうでない人も、楽しんでくれるのが一番。フィナーレを迎える日には、どの曲も最初よりも成長していたいなと思うし、そのためにもみんなで一緒にステージを作っていきたいなと思います。もちろん、どのステージも事前に演出は考えていますが、たまにはサプライズで全然違うことをやってみる日があったり⁉︎。どの公演も一度きりなので、大切にしていきたいです。

北山宏光着用
ニット¥167,200、ボクサーパンツ¥82,500、パンツ¥201,300、ボディーチェーン¥270,600、ブーツ¥282,700 すべてAnn Demeulemeester(M)/リング¥594,000、イヤリング¥649,000(セット価格) 共にMESSIKA(MESSIKA JAPAN)/その他 スタイリスト私物

カーディガン¥38,500 PERVERZE(PERVERZE CUSTOMER SUPPORT)/シャツ ¥50,600、シースルートップス¥33,000、スカート ¥88,000 すべて(un)decided、パンツ¥35,200 VEIN (すべてSakas PR)/シューズ¥97,900 steven ma、ブレスレット¥99,000 The/Independence/Day(MATT.)/イヤリング¥36,300(セット価格)、短いネックレス¥22,000、長いネックレス¥59,400、リング¥34,100 すべてBONEE(EDSTRÖM OFFICE)/その他 スタイリスト私物

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Hiromitsu Kitayama
1985年9月17日生まれ、神奈川県出身。2023年9月17日にTOBEとともに新しいエンターテイメントに挑戦することを発表。アーティストとして楽曲制作やプロデュース業などにも積極的に挑戦していく。
2024年1月31日に1st シングル「乱心-RANSHIN-/JOKER」、4月5日に2nd シングル「BET/THE BEAST」をリリース。そして待望の1st アルバム『ZOO』を8月26日にリリースした。
公式サイト https://tobe-official.jp/artists/hiromitsukitayama
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通常盤JK

北山宏光
1st Album『ZOO』
<通常盤>CD ¥3,300 
<初回生産限定盤 A>CD+GOODS ¥4,400
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