第27回を迎えるピクト・ファッション写真賞(Prix Picto de la Photographie de Mode)の受賞者が、パリ市立モード美術館「パレ・ガリエラ(Palais Galliera)」で発表された。
この賞は、世界的に広告、ファッション誌、アート分野など、幅広いビジュアル制作を手がけるピクト・ラボ(Laboratoires PICTO)が、若手ファッションフォトグラファーの支援と、そのキャリアのスタートを後押しする目的で1998年に創設。現在は同ラボの文化活動を担うピクト財団(Picto Fondation)が主催し、今年は4名のフォトグラファーが栄誉に輝いた。

©Arash Khaksari
ピクト・ファッション写真賞2025グランプリ(GRAND PRIX PICTO DE LA PHOTOGRAPHIE DE MODE)
イラン出身でパリを拠点に活動するArash Khaksariが「Symbiose(共生)」と題した作品でグランプリを受賞。自然に還る素材で作られた服を通して、「人と自然の関係性を見つめ直すこと」がテーマ。副賞にはLeica SL3-SカメラおよびSL 24-70 mmレンズと、展覧会開催のための支援金2,000ユーロ(約33万円)などが贈与された。

授賞式
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©Jean Marques
Le 19M メティエダール写真賞(DOTATION le19M DE LA PHOTOGRAPHIE DES MÉTIERS D’ART)
グラフィックデザインと写真を手がけるビジュアルクリエイターのJean Marquesが、ファッションショーの舞台裏のリアルな瞬間を映し出したシリーズ「Call Time(コールタイム)」で受賞。シャネルが職人技術の継承を目的に設立した複数のアトリエの集合施設「le 19M」より副賞として、アトリエの一つとコラボレーションの機会が与えられた。

©Steve Ney
フィリッポ・ロヴェルシ賞(DOTATION FILIPPO ROVERSI)
インドにルーツを持つパリ生まれのSteve Neyが、ドキュメンタリー的なファッション表現が評価されて「Our India(僕らのインド)」で受賞。作品には、インドのありのままの美しさを世界と分かち合いたいという想いが込められている。副賞として、パオロ・ロヴェルシ氏によるポートフォリオ・レビューと、氏のサイン入り作品が贈られた。

©Anna Leonte Loron
LGAマネージメント / JANVIER賞(DOTATION LGA MANAGEMENT / JANVIER)
「Les femmes ont faim(女性たちは飢えている)」でAnna Leonte Loronが受賞。自身の経験である“節制と暴食を繰り返す「食」との葛藤”を出発点に、女性が「他人にどう見られるか」を常に意識させられ、自由に食べることをためらうようになった社会的背景に目を向けた。本作では、そうした視線から解き放たれ、自らの喜びのために食べる女性たちの姿を記録している。副賞として、LGAマネージメントによるファッション写真のビジュアル戦略サポート(ポートフォリオの編集や方向性の整理など)と、JANVIERラボによる静止画および動画作品のレタッチ、カラーグレーディング、編集などの技術支援が提供される。

四人の受賞者、左からArash、Anna、Steve、Jean
ピクト・ファッション写真賞オフィシャルサイト
Artwork photographs courtesy of PICTO Foundation
Text and additional photographs : Chieko HAMA