
2026年3月16日(月)〜21日(土)の会期で開催した「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」。JFWO設立20周年を迎え「世界の継ぎ目となれ」というテーマを掲げる今季では、全33ブランドによる新たな20年への一歩を刻むクリエイションが披露されました。
装苑ONLINEでは、東京のファッションシーンを牽引する実力派から、今季デビューする注目のニューカマーまで、個々の美学が放たれる最新のコレクションを、独自の視点でお届け!
毎シーズン、“ホウガの国の物語”という独自のテーマでコレクションを展開するホウガ。2026-’27年秋冬は、ニューヨークの演劇文化における「オフ・オフ・ブロードウェイ」に着想を得た。これは、ブロードウェイにある小規模な劇場「オフ・ブロードウェイ」よりもさらに小規模で、商業性にとらわれず自由で実験的な表現を追求する舞台のこと。今回のショー会場となったのも東京・南青山にある小さなギャラリーだ。


ショーがスタートすると、劇場の中心にある無骨な螺旋階段から「ダンダンダン!」と勢いよくモデルが駆け下りてくる音が聞こえた。視線を上げるとボリュームのあるダスティコーラルの彫刻的なドレスが現れた。起毛したジャカード生地には細やかな織り柄が施され、首元にはラッフル状のタイが鎮座する。階段の途中で手すりに足をかけて大胆なポージングをとり、これから始まる自由な物語を予感させた。


その後も、ブランドを象徴するフリルベルトを用いたドレスや、ホウガらしいドレッシーなディティールをスポーティに落とし込んだ新鮮なルックが続く。
ニットアイテムにはブルーをベースにラメ糸が織り込まれ、冬の澄んだ空を思わせる透明感のあるスタイルを提示。カーディガンに合わせたプリーツスカートは、揺れ動くたびに独特のリズムを生み出し、ルックに軽やかな表情を添えていた。


モデルは観客に花を手渡したり、本を開いたり、目を合わせてほほえみ合ったりする場面も見られた。真っ直ぐに前を見つめ決められたランウェイを歩く王道のスタイルとは異なり、見る者と見られる者の境界を曖昧にする自由度の高い動きによって、ホウガの衣服が日常へと自然に溶け込む様子が表現されていた。
今回、ショーの演出を担当した俳優で演出家の曽我潤心さん(弓畑根劇団代表)のコメントが印象的だ。
人格形成とは、一種の役作りではないでしょうか。人は『自分』という役について学び、そして一人の役者としてどういう人物を演じたいのかを追求しながら、成長してゆく生き物なのかもしれません。
今回のショーのために石田さんと対話を重ねていくうちに、彼女は服を着せる人ではなく、服を脱がせる人なのではないかと感じるようになりました。生涯同じ人物を演じ続けるのは大変なことです。
そして人生という演劇には幕間の休憩もなければ、休演日もありません。そんな私たちに石田さんは服を着せることで、普段は脱ぐことのできない舞台衣装をそっと脱がせてくれようとしているのかもしれません。
HOUGAは役者を裸にし、長年築き上げた『役』から束の間自由にしてくれるブランドなのかもしれません。
































デザイナー 石田萌
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