トレンドが一方向にまとまりにくい昨今。素材や柄、アイテムに目を向けることで、その輪郭がよりはっきりと見えてくる。

左から、ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)、ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)、ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)。
機能性と装飾性を備えるファー
複数の価値観が併存し、単一のトレンドが弱まる中、明確に浮上した素材はファーとシアリングだった。リアルファー、フェイク、リサイクルと、その種類は様々だが、いずれも防寒性に優れ、視覚的なインパクトもある。機能性と装飾性を兼ね備えたこれらの素材は、身体を包み込むコートから小さなアクセサリーまでバリエイション豊かに展開され、今シーズンを彩った。



左から、アライア(ALAÏA)、ホダコヴァ(HODAKOVA)、ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)。
スタイリングの決め手はシースルー
次に注目したいのは、シースルーとトランスペアレント。春夏に用いられることが多い素材だが、スタイリングの仕上げに足すことでシルエットを曖昧にし、重くなりがちな秋冬の装いに軽やかさをもたらしている。今シーズンの気分を高めるレイヤードの要素として、活躍しそうだ。



左から、ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)、トム フォード(TOM FORD)、アランポール(ALAINPAUL)。
ドラマチックに広がるフラワーモチーフ
柄に目を向けると、ドラマチックなフラワーモチーフが存在感を見せていた。繊細なプリントにとどまらず、ブロケードやジャカードなど、宮殿の装飾を思わせる重厚なテキスタイルで表現されたものが目立ち、立体的な装飾や大胆なスケールで配された花が、ロマンティックでありながらも力強さを感じさせた。



左から、ディオール(DIOR)、ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)、ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)。
クラシックなチェックへの回帰
対して、チェックも豊富に登場した。秋冬に顕著なトレンドではあるが、今シーズンはとりわけクラシックなパターンが多く採用されていた。スタイルが多様化する中、確立されたモチーフに立ち返ることで、安定感を求める傾向が強まっているといえる。



セリーヌ(CELINE)、アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)、シャネル(CHANEL)。
温もりあるノスタルジックなニット
デザイナー自身のストーリーを反映したノスタルジックなコレクションが目立っていた今シーズン。アイテムでは、古い引き出しから見つけたかのような田舎風ニットが印象に残った。素朴なカントリー調の模様やおじいちゃんのジレのようなピースなど、どこか温もりを感じさせる。



ジュリ ケーゲル(JULIE KEGELS)、ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)、ヴォートレ(VAUTRAIT)。
定番シャツの進化
先シーズンに続き、定番のワイシャツも重要な役割を担っている。スクールユニフォームやビジネススーツに欠かせない清潔感のあるアイテムだが、パーツを反転させたり、華やかな刺繍を施したりと、ディテールのデザインや着こなしによって個性を際立たせている。



ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)、ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)、ウジョー(UJOH)。
Text:B.P.B. Paris