2023-’24年秋冬パリ・ファッションウィークより。
左から、Loewe、Miu Miu 、Louis Vuitton、Chanel、Issey Miyake。
多様性の時代とはいえ、社会のムードを反映するファッションには、常にトレンドが存在するもの。2023年-24年秋冬では、不安定な世界情勢とエコ・フレンドリーへの関心の高まりから、長く着られるシンプルなデザインが目立ちましたが、その中で浮上した8つのキーワードを解説します。
1. 新しいコンサバティブ
シンプルで無難、でもどこか新しいのが今シーズンのコンサバ・スタイル。ベーシックなジャケット、クルーネックのセーター、ツインセットなど、ワードローブに一着はありそうなアイテムを組み合わせ、アレンジを加えたり、ユニークなスタイリングをしたり。アイデアひとつで、新鮮なシルエットに変化させています。
Miu Miu
Ami Paris
Dries Van Noten (©Imaxtree), Coperni
Dior, Chanel (©Chanel)
2. 見せるアンダーウエアの進化
ポジティブでエネルギッシュなY2Kブームの台頭で、健康的な肌見せがファッション界に定着。際どいカットアウトの服やブラトップが今や当たり前になりましたが、今シーズンは一歩進化して、ショーツやトランクスを大胆に見せたルックも登場しました。セクシーというよりエキセントリックな個性派のイメージです。
Maison Margiela (Photo: Giovanni Giannoni)
Loewe, Miu Miu
Rokh, Kenzo
Dries Van Noten (©Imaxtree), Vaquera
3. ドレープとトレーンで優雅さアップ
ポストコロナのお祭り気分が落ち着いたとはいえ、イベントやナイトライフの復活でドレスアップする機会が増えた昨今。ドレープやトレーンといったクチュールの要素は欠かせませんが、シャツやセーターなどのデイリーアイテムにも取り入れるなど、肩の力を抜きつつ優雅さがプラスされているのが今シーズンの特徴です。
Loewe
Undercover, Marine Serre
Dior, Sacai
Victoria Beckham, Balenciaga
4. 存在感あるパファー
大きな動向として、外せないのは優れた機能性。中でも防寒になる羽毛や中綿を入れたパファーアイテムがバリエイション豊かにそろい、寒い冬を快適に過ごせそう。ダウンのアウターはもちろん、キルティングのスーツやパンツ、ふっくらと仕上げたジャケットなど、ボリュームで遊んだ存在感あるデザインに注目を。
Rick Owens (Photo: Owenscorp), Comme des Garçons Homme Plus
Junya Watanabe Man, Junya Watanabe
Undercover, Rains
Maison Mihara Yasuhiro, Paul Smith
Chanel (©Chanel), Stella McCartney
5. ユーティリティなフード
ユーティリティ(役立つもの)が次々にトレンド入りしているパリのファッション界。先シーズンはポケットがスポットライトを浴びたシーズンでしたが、今シーズンは雨風を防ぎ、プロテクション効果のあるフーディやパーカが大活躍の予感。スポーティなスタイルにとどまらず、シックな雰囲気をまとっているのも印象的です。
Yohji Yamamoto, Givenchy
Dries Van Noten (©Imaxtree), Doublet
Y/Project, Courrèges
Louis Vuitton, Homme Plissé Issey Miyake (©Issey Miyake INC.)
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