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世界で活躍するANREALAGE(アンリアレイジ)のデジタルを活用した取り組み。服が作れなくてもデザイナーになれる時代が来る?
【ファッションデザインの未来】

©2021 STUDIO CHIZU

『装苑』2022年5月号転載

ファッションデザインの未来

THE FUTURE OF FASHION DESIGN

ANREALAGE 森永邦彦

進化する発信とメタバースで

加速する“非現実”世界の服

「服が作れなくてもデザイナーになれる時代が来ます。それがよいことなのか、そうでないかはわからないんですが」ファッションの未来について、森永さんに尋ねた最初の返事がそれだった。

「3月末に史上初のメタバース・ファッションウィークがあります。(2022年5月号発売時点)ニューヨーク、パリ、ミラノなど世界でコレクションを発表するブランドからNFTをやっているものが選出され、アバターのファッションを提供します。日本からはアンリアレイジのみで約100ブランドが参加。リアルじゃないコミュニケーションが拡張している今、リアルではないファッションが必要になるのは当然だと考えます」

お話を伺ったのは

ANREALAGE 森永邦彦(Kunihiko Morinaga)さん

1980年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会学部在学中にバンタンデザイン研究所に通い、服作りを始め、2003年に“アンリアレイジ”設立。’05年、東京コレクションデビュー。’14年よりパリ・コレクションに参加。’19年、第37回毎日ファッション大賞受賞。

2022年春夏コレクションでディメンションをテーマに、映画『竜とそばかすの姫』とのコラボを展開、2次元と3次元のどちらが入口でも構わない服を提案したアンリアレイジは、完全な2次元の服作りを進めていた。

「リアルではないファッションデザインにはパタンナーも縫製工場もいりません。レザーやファーなど素材に関することや、ごみの問題も生じません。原価を気にすることも、小売との交渉もありませんからファッションデザイナーに挑戦しやすい環境であることは事実ですが、服を知らなくても服が作れる怖さがあります。ゲームデザイナーがアバターの服を売っているところに、ファッションデザイナーはどう参入するべきなのかを考えているところですが、とにかくこの1、2年でアバターでのファッションショーが増えると思います。ですが、同時にリアルの価値も見直されるでしょう。デジタルで伝える表現は色と形しかないから、2次元ではよりコンセプトが際立ちます。ファッションデザイナーが必然的にフォーカスされるので、何を大切に服を作っているかがあらためて問われるでしょう。

もう1回大きなパンデミックが来るとデジタルがリアルを超えると思いますが、デジタル上のファッションが加速すると実際のお店に行くことや、試着をして買ったリアルな体験の価値が上がります。データとしてのファッションも浸透していくのでしょうが、どちらにせよリアルに服を作っている自分たちが、何を大事にすべきなのかが今以上に重要になります。人とファッションとの関係は確実に変わりつつあると思いますが、ファッションの高揚感をつなぐ意味で、今はデジタルが必要なのかもしれません」

オンラインならでは

のランウェイ

2022年春夏、「DIMENSION」をテーマに映画『竜とそばかすの姫』とコラボしたアンリアレイジは、同映画内に登場する仮想世界「U(ユー)」を舞台にコレクションを発表。2次元と3次元のループを表現するためポリゴンで構成された服をパッチワークで表現し、アニメとファッションショーで現実と非現実を交差させた。

東京芸術中学で子どもたちに

デジタルドレスの作成を指導

東京・渋谷パルコで開講しているアートスクール「東京芸術中学」で森永さんが授業。その際、「DIMENTION」に関する説明、VRキットでのメタバース体験をしてもらった子どもたちに、人型のシルエット、三角形の厚紙、アンリアレイジのオリジナルテキスタイルを配布。三角形を人型のシルエットの上に置きながら、服のデザインを指導。実際に子どもたちが作ったデザインをデータに変換し、仮装空間の中でショーを行い、各自がデザインした画像はNFT化されてそれぞれに届けられた。「スマートフォンやPC上のデータに自分が存在するなら、そこでファッションも存在するという思いと、デジタルドレスを制作したことで、普段着ている服がどれだけ計算されて作られているかを知ってもらえたはず」と森永さん。

デジタルショップと

史上初のメタバース・コレクション

2022年、3月に東京・渋谷パルコで開催したアンリアレイジのデジタルショップでは、アニメーションを用いたデジタルコレクションが体験できるショールームを併設。NFTコレクションの展示や、『竜とそばかすの姫』の主人公BELLEとアンリアレイジの限定コラボアイテムも販売した。また、同年3月に開催されたメタバース・ファッションウィークでは、日本人デザイナーのファッションブランドとして唯一参加。仮想空間のショップでは約100ブランドがNFTの服を販売した。

【ファッションデザインの未来】

長見佳祐さんが手がけるHATRA

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