蜷川実花、二つの現在地。下北沢での原点「mirror, mirror, mirror」と、京都・北野天満宮でのDAZZLE×蜷川実花 with EiM イマーシブ公演《花宵の大茶会》

写真家であり映画監督・現代美術家の蜷川実花さんの新たな表現を楽しむことができる二つの展覧会が、東京・下北沢と、京都・北野天満宮で開催中だ。アート・エンタメの世界の第一線を駆け抜けながら、創作の熱を燃やし続け、常に新たな試みを続けている蜷川さん。その二つの「現在地」をご紹介する。

「mirror, mirror, mirror mika ninagawa」

蜷川実花さんの創作活動の源「破壊、再生、また破壊」をテーマに、7 冊の本、ポスター、ステッカー、ポストカードなどを風呂敷状の表紙で包んだ、書籍という概念をも〈破壊、再生、また破壊〉した合本となる同名のアーティストブックを起点とする展覧会。会場となるのは、蜷川さんが十数年にわたり活動の拠点としていた下北沢にある古民家を再生したギャラリー。表現の原点である写真を中心に、近年手がけているアート作品なども組み合わせ、空間上に大胆にコラージュしたようなエネルギッシュな内容に。縁のある下北沢の店舗とのコラボレーションも。

KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026
DAZZLE×蜷川実花 with EiM 
イマーシブ公演《花宵の大茶会》

蜷川実花さんとクリエイティブチームEiM、ダンスカンパニーDAZZLEのコラボレーションによる新たなアート体験。天正15年に豊臣秀吉が催し、わずか 1 日で幕を閉じたとされる「北野大茶湯」にインスパイアされ、その幻の 2 日目を描く物語。観客が演者と同じ空間に入り込み、物語の登場人物として参加する没入型の「イマーシブシアター」形式の表現に、蜷川さんが初挑戦。鮮烈な色彩の中、現在と過去、現実と非現実が交錯する特別な世界を味わう体験を創出している。セリフを用いないノンバーバルな演出は、観客の想像力と感性をいっそう研ぎ澄まさせる。

時々、自分の中からどうしてもあふれる何かを形にしたくなることがあります。それは、決められた目的のために作るというよりも、やらずにはいられない初期衝動のようなものです。『mirror, mirror, mirror』はそうした展示で、新しい写真集のためのちょっとした展示のつもりが、写真集の熱量に呼応するように発展していきました。

この写真集は大小7冊から構成されていて、それらはリボンでとじられ、リボンをほどくとバラバラになる。私の創作の根底にある『破壊と再生、また破壊』を体現した作りで、読者の方が自分でページを組み直すこともできます。

30年以上、風圧の高い場所を駆け抜けながら創作を続ける日々の中で、自分を保つために必要だったのが、発表するためではなく写真を撮ったり、何かを作ったりする行為でした。それは私にとって、聖域とまでは言いませんが、非常に重要な部分です。日常と創作活動がマーブル状になる日々の中でこぼれ落ちてしまう、どうにもならないカオスなエネルギーがそこに立ち現れました。

パーソナルな『mirror, mirror, mirror』に対し、『花宵の大茶会』は、近年、EiMというクリエイティブチームで取り組んでいるプロジェクトの最新形です。チームだからこそ挑戦できることがあり、今回は、初めてイマーシブシアターで舞台演出を行いました。全力を尽くして、新たな体験を創造しています。北野天満宮 風月殿という歴史ある舞台で、身体ごと物語に入り込むような非日常の世界に、ぜひ没入してください。

(蜷川実花)

 武内直子(漫画家)

夫婦で見ました。
我々漫画家だと思い付かない新鮮な世界と夫が驚いていました。
自分から動かないと面白さが分からないシステムにも動揺していました。
イマーシブシアターとは知らずに何のキャラクターが出るかも知らず。
行きの新幹線で突然新撰組の本を読まねばと思い付きました。
(たまにそう言う直感的な予言が降りてきます、久々です)
行く前から興奮していて
ゲネプロは更に興奮しました。
いつもみかちゃんの作品には創作意欲を掻き立てられます。
北野天満宮もパワーある場ですよね。
みかちゃんの花と映像はエネルギーに満ちていて元気になります。
こんなに元気になる女子の作品は
みかちゃんの作品と私の作品位では!
元気を貰い過ぎて
夫は翌日懇々と寝ていました。

強烈な8人のキャラクター、
暫く忘れられないです。
夫は彼岸花が好きで。
赤いガラス窓の庭園の場が好きで、
一面彼岸花があるシーンを描きたくなりました。

 丸山敬太(ファッションデザイナー)

イマーシブがあまり得意ではなかったのですが、みごとに裏切られました。よく知る歴史上の6人の影、そのドラマを体験し、見届ける……。感情や音楽、光、香りや空気の流れまでもが、めくるめく量感で降り注いでくる。すべてが「本当」ですべてが「嘘」、まさに夢のごとし。

 古市憲寿(社会学者)

「日本型イマーシブ」の一つの完成形を見た気がします。北野天満宮という由緒ある場所で、日本史上の重要人物が織りなす物語は、懐かしくも美しいものでした。つかの間だけ現れる花園は、蜷川実花ワールドそのもの。やりきった実花さんも、許した北野天満宮も偉い。

Mika Ninagawa ● 写真を中心に映画、映像、空間インスタレーションを多く手がける。クリエイティブチーム「EiM(エイム)」としても活動中。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。写真集120冊以上を刊行、個展150回以上開催と精力的に作品発表を続ける。

「mirror, mirror, mirror mika ninagawa」
 5 月31日(日)まで。
会場:「DDDART」 東京都世田谷区代沢 4 – 41 – 12 11:00 〜 19:00
料金:当日券 一般 ¥1,200、大学・専門学校生 ¥1,100、中高生 ¥800
※日時指定制

「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 DAZZLE×蜷川実花 with EiM  イマーシブ公演《花宵の大茶会》」
 5 月24日(日)まで。
会場:「北野天満宮 風月殿」 京都市上京区馬喰町
公演回:全日11 : 30 / 14 : 00 /16 : 30 /19 : 00
休演日:5 月13日、19日
料金:前売り券 平日 一般 ¥10,000、プレミアム ¥15,000/土・日曜・祝日 一般 ¥11,000、プレミアム ¥16,000
※インスタレーション+イマーシブシアター鑑賞チケット。当日券はプラス1,000円

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