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パーソンズ・パリの卒展で、大森美希先生に聞く
「削ぎ落とすことが大切」

2025.05.31

「パーソンズ・パリ(PARSONS PARIS)」が、年次ファッションデザイン展を開催。卒業制作に加え、企業とのコラボレーションプロジェクトの成果を発表しました。

メインで展示されるのは、BFAファッションデザイン(BFA Fashion Design)の学生17人と、MFAファッションデザイン&アーツ(MFA Fashion Design & the Arts)の学生18人の作品。それぞれの集大成ともいえる個人コレクションです。

「パーソンズ・パリ(PARSONS PARIS)」は、2020年秋より新たにクリエイティブディレクターのトーマス・ライティネン(Tuomas Laitinen)先生を迎えて、指導方法を刷新。その後、日本人の大森美希先生も加わり、業界における評価を格段に高めるなど、両コースを盛り立てています。

アイデアを削ぎ落とすことが大切

「みんなアイデアはすごくいいんですよ。でも最初のインスピレーションをどうプロダクトに落とし込むか、という作業がなかなかできないんですよね」そう話すのは大森先生。

「決められないというか、うまく編集できない。自分が一度出した案は、すべて取り込みたくなってしまうので、削るのがつらいんですよね。だから、その作業をサポートするのがとても重要で、それはその人自身を否定するのではなく、コンセプトを強調するためにアイデアを削ぎ落とさせなければならない。それができないと、色々なものを盛り込みすぎて、輪郭がわからない曖昧なコレクションになってしまいます。そのあたりを重点的に指導してきたので、学生一人ひとりが何を表現したいのか、はっきりと伝わる内容になっていると思います」

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「ウィメンズウェアをしたいという学生でも、見ていてメンズのほうが向いていると思ったら、それを勧めることもあります。ダイバーシティの時代だから両方でもいいですしね。プリントが得意な学生にはそれを伝えるなど、学生それぞれに向き不向きを分かってもらうように努めています」

「そして、やっぱり着られる服でないといけないですよね。ラグジュアリーを目指すというのがベースにありますが、アーキタイプや定番の服をきちんと理解することが大切なんです。例えば、トレンチの定番だったらバーバリー、デニムジャケットだったらリーバイスなど、そういう定番を見に行くように言うと『コピーはしたくない、独自のものを作りたい』と返ってきます。でも、それを知っていないと、自分の発想をどんな風に服に落とし込んでいったらいいのか、わからなくなるんですよね。そのあたりを徹底的に教えています」

実際に、学生たちのスタンドをまわると、明確なコンセプトを打ち出すコレクションが多数。ユニークなアイデアに満ちた彼らの力作をぜひご覧ください!

ANN DEMEULEMEESTER x MFA Fashion Design & the Arts

また、MFAコースの1年生はステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)率いるアン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)とのコラボレーションを実施。アントワープのアーカイブ訪問などのプログラムに参加し、学生一人ひとりが同ブランドをリサーチし、作品制作を行う課題に取り組みました。

KIKO KOSTADINOV x BFA FASHION DESIGN JUNIOR

BFAファッションデザイン・ジュニア(3年生)の学生たちはキコ・コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)とコラボレーション。同ブランドのアーカイブから提供された生地を使い、各自のリサーチに基づいて、カプセルコレクションを制作することを課されました。

Photography for Exhibition:Chieko Hama
Text:B.P.B. Paris

関連記事:【From パリ支局】パーソンズ・パリ、卒展2021とポストコロナに向けて教えたいこと

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