『装苑』2026年9月号より掲載
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アイドルとしてステージに立ちながら、
アーティストとしてアートの世界でも活動する
KEY TO LITの中村嶺亜さん。
表現者として彼の才能と可能性は果てしない。
今春開催した初めての個展
「REIA NAKAMURA 1st EXHIBITION ReBELiUM @SHIBUYA」
を終えたばかりのタイミングでお話を伺った。
アイドルとしての中村嶺亜、
アーティストとしての中村嶺亜
――二つの表現はどう生まれ、どう交わり、どこへ向かうのか。
中村嶺亜、
伝えたいのは
「愛」。
「僕がアートに目覚めたきっかけは、幼い頃に長野のスキー場のホテルで過ごした日々にあります。父がスノーボード好きで、家族でゲレンデの横にあるホテルで暮らすという、東京との二拠点生活をしていました。そのホテルの社長さんの奥さんがすごく絵が上手で、寒くてゲレンデに行きたくない日は、こたつで昆虫図鑑や恐竜の図鑑を一緒に模写していたんです。ある日、僕が平面的にティラノサウルスを描いていたら、『尻尾をこうやってぐにゃっと描くと手前に来て見えるよ』って教えてくれて。自分の絵がちょっと立体に見えた瞬間が不思議で面白くて、どっぷりはまってしまいました。生まれも育ちも東京ですが、感性のベースは全部そこで受け取った気がしています」
—— アイドルという並々ならぬエネルギーを要する立場でありながら、アートと対峙し続けてきた原動力はどこから来ているのだろう。
「『好きだから』という、ただそれだけです。僕は一度好きなものが決まったらずっとやり続けてしまうタイプで、子どもの頃から好きなものの系統はほとんど変わっていません。その根っこには、好きなことをやり続けることを体現していた親の背中があると思います。幼い頃にたくさんの習い事をさせてもらい、いろいろなものに触れたからこそ、自分が本当に好きなものを確認できたし、今の自分がある。両親には本当に感謝しています」
——アイドルとアート。異なる表現を、中村嶺亜さん自身はどのようにとらえているのか。
「アイドルって、『人気者』なんです。もちろん表現者ではあるけれど、僕がアイドルである以上は、人気になりたいし、スターになりたい。そのためには『見られ方』を意識する必要があります。一方でアーティストというのは、時代に対して一種のアンチテーゼを掲げなければいけないと思っていて、その意味では正反対に見えるかもしれません。でも僕自身は、人を『多面体』として捉えているんです。アイドルの自分とアーティストの自分が、裏と表のような極端な関係にあるわけではなくて、多角形の中でちょっと隣り合っている面みたいな感覚。光が当たる方向が変わるから見え方が変わるだけで、僕自身は何も変わらない。だからどちらも嘘じゃなくて、どちらも本当の、リアルな自分です。だけど、それぞれの場所でしかできない表現も確かにあります。アイドルとしては少し言いづらいこともアートの形ならアウトプットできるし、その逆もしかり。それぞれの表現に適切な場所があって、それが自分の表現の幅を広げてくれていると感じます」
——表現者、中村嶺亜が作品やパフォーマンスを通して伝えたいこととは。
「……『愛』が、自分の人生のテーマだと思っています。アイドルとしてはステージを通してファンの皆さんと感情を渡し合うことで『愛』を確立できる。一方で僕が描くアートは、少しサイバーで荒廃した世界観なんですけど、そこには『愛って機械化できないよな』という自分なりの問いをのせています。答えが見つかるから楽しいのではなくて、その探求のプロセスそのものが僕の経験値になるし、難しいから楽しい。まさに人生をかけて追いかけるべきものだなと思っています。
アイドルもアートもどっちもやることで、『どっちも大好きなんだ』と再確認できたことが、今回ものすごく大きかった。個展をやり遂げたことで、逆に心からアイドルの仕事への愛も感じられたし、アートという別のベクトルの『好き』があることで、お互いを支え合ってどちらの自分も肯定できる。二つの表現軸を持っていることは、これからの僕の大きな財産です。僕のどちらの面も受け止めてくれるファンの存在にも、感謝の気持ちでいっぱいです」
——10年後、20年後……その先の未来へ。表現者、中村嶺亜が向かう先は。
「アイドルもアートもどちらも続けながら、人の背中をポンと押せるような力を持った〝影響力〟のあるスターになっていたい。夢を追いかけている人の背中を押すのはもちろん、誰かが『これは違うかも』と悩んでいる時に『じゃあ、やめちゃえ!』って言ってあげられる力も大事だと思っていて。続けることも、辞めることも、停滞よりはずっといい。誰かの人生が動くきっかけになれる存在になりたいんです。10年後、20年後には自分がたくさんの人を支える側にいたい。僕は欲張りだから、自分の表現をどんどん広げたいし、それをグループにも還元していきたいです」
愛って難しい。
だからこそ一生をかけて
向き合いたいし、
表現の仕方はいろいろあっても
いいんだと思う。

ニットベスト ¥22,000 ザイカ/シャツ ¥55,400 ウーヤー(ピーアールワントーキョー)/パンツ ¥60,500 イサ ボールダー、ローファー ¥100,100 アデュー(共にバウ インク)/眼鏡 ¥82,500 ハフマンス&ノイマイスター(コンティニュエ)
Reia Nakamura
1997年4月2日生まれ、東京都出身。幼少期より始めたスケートボードでは競技にも参加し、数々の大会にて活躍。2009年に事務所に入所。’25年2月にKEY TO LITのメンバーとなる。アートの分野でもその才能を発揮し、コンサートグッズのデザインなども担当。





