●SIDE COREと共に進化、拡張する美術館の活動
2024年、学芸員の髙木さんは、自主企画で、「Everything is a Museum」を企画、当館のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)のプログラムにSIDE COREを招聘し、共に能登を訪れ、新作の制作依頼をした。その時、生まれたのが《new land》(2024)だ。

SIDE CORE《new land》2024 © SIDE CORE
美術館敷地の中ほどにある屋外に組まれた高さ4メートルの足場。登っていくと、美術館の屋上に設置されたスクリーン。そこに映像作品《new land》が繰り返し映し出されている。これは、地震から4ヶ月経った2024年5月に撮影された輪島の鹿磯(かいそ)漁港の光景。岩礁が最大4メートル隆起してできた岩場で一人の女性が魚を持ち、鳥笛を吹いて鳥を呼び餌付けをしている。岩礁隆起4メートルの高さで鑑賞することで、現場にいるような臨場感を味わえる。
石川県のイカ釣り漁船の拠点だった鹿磯漁港は、4メートル近い地盤隆起で、海岸線200メートルの海底が露出、海藻などが乾燥して岩場が白く変色した異様な光景が広がっていた。
「海中にいた海洋生物があがって死んで真っ白になって、海底の環境そのものが丸ごと化石になってしまったような光景だった。能登半島地震による地質変化で、新しく陸地が生まれていた。ぼくらは、その漁港で、鳥に餌をやる映像を撮りました。鳥が種を運んでくることで、環境も変わっていく。自然のサイクルの中に自分たちも入っていくという作品です」と松下さん。
《new land》は、地震や鳥や人間などの営みにより更新されていく土地の様子を謳っている。
能登半島地震以降、奥能登豪雨にも見舞われた能登半島に、ボランティアやリサーチ活動で何度も足を運んできたSIDE COREのメンバーたちは、道が更新されていく有り様も目の当たりにしてきた。能登への道における、彼らの経験や体感を最も顕著に投影しているのが新作の映像作品「Living road, Living space /生きている道、生きるための場所」の《living road》(2025)だ。

SIDE CORE,living road,2025 © SIDE CORE
Installation view: SIDE CORE: Living road, Living space, 21st Century Museum ofContemporary Art, Kanazawa, 2025
photo: Kohei Omachi(W)
Courtesy: 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
「自分たちの日常生活や東京と能登の接続を探しに行く」という目的で撮影されたロードムービー形式の映像作品で、制作には、映像ディレクターの播本和禰さんが加わり、意欲的な作品に仕上がった。能登半島地震の復興ボランティアで出会った坂口彩夏さんが東京から珠洲まで車を運転しながら移動していく情景をベースに、現実と想像が入り混じりながら、日本における戦後の道路史をたどるような作品だ。
金沢21世紀美術館は、今までも公園のように街に開かれた存在として、人気もあり、高く評価されてきたが、能登半島地震後の変化を受け、新たな決意で挑んだ本展で、SIDE COREと共に、さらなるアートの可能性を広げ、美術館の新しい形を見せてくれた。
SIDE CORE●2012年より活動を開始、東京都を拠点に活動。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。映像ディレクターは播本和宜。近年の展覧会に「開館5周年記念展 ニュー・ユートピア ―わたしたちがつくる新しい生態系」(2025年、弘前れんが倉庫美術館)、「SIDE CORE 展|コンクリート・プラ ネット」(2024年、ワタリウム美術館+屋外)、「百年後芸術祭」(2024年、千葉県 木更津市/山武市)、「第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」(2024年)他、多数。
SIDE COREをきっかけに能登に行こう!
「ROAD TO NOTO」 能登半島と美術館をつなぐビジティングプログラム開催中。
展覧会期間中、金沢の美術館から能登を訪ねるプログラムも開催されている。「Road to Noto」は、金沢21世紀美術館と石川県珠洲市を “道” でつなぐことをコンセプトとした地域連携型のアートプログラム。ここでいう “道”とは、観客が能登を「知る」「訪れる」「関わる」ためのきっかけや経路そのものを意味している。 会期中、月1~2回、SIDE CORE制作のオリジ ナルガイドブックを手に、スズレコードセンター、ラポルトすず、海浜あみだ湯、大谷地区 などを巡るビジティングプログラムを開催予定。美術館をハブとして能登半島の先へ。展覧会は街や地域に広がるプログラムへと発展していく。
WEB:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=2247
「SIDE CORE Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」
会期:3月15日(日)まで。
※月曜日休み。(ただし2月23日は開場)2月24日は休み。
時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで
場所:金沢21世紀美術館
石川県金沢市広坂1-2-1
料金:一般¥1,200、大学生¥800、小中高生¥400/、65歳以上の方¥1,000
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
問い合わせ先:金沢21世紀美術館 TEL: 076-220-2800
WEB:https://www.kanazawa21.jp/



