東京の注目ブランド5
アヤカ オオシタ（AYAKA OSHITA）
第96回装苑賞受賞者であり、映画の衣装制作などでも活躍するデザイナーの大下彩楓が手がけるAYAKA OSHITA。2026年春夏は内面の解放をテーマに、メタモルフォーゼ（Metamorphose）と題したコレクションを披露。引き裂かれたようなモチーフが特徴的なジャケットや、バックスタイルの羽を思わせるデザインが目を引くファーブルゾンなどを展開した。素材には尾州産地のウールを使用するなどのこだわりを見せており、ものづくりの伝統継承と持続可能性への視点を、モードな世界に昇華する持ち味を存分に発揮。
ノーネーム（N O N A M E）
メキシコを拠点に、アンダーグラウンドカルチャーから着想を得たコレクションを発信するジェンダーレスブランドのノーネームは、ブランド10周年を記念する特別なショーを開催。最新アイテムに加えてブランドのアイコンピースを再解釈したコレクションを発表し、構築的なシルエットのアウターや大胆なカットアウト、サブカルチャーに根ざしたモチーフを配したルックなどの象徴的なアイテムを披露した。それらを貫くのは反逆や幻想、自己構築のイメージ。記念のコレクションで強い存在感を示した。
タン ツォン チェン（TANG TSUNG CHIEN）
2022年にスタートした台湾発ブランドのタン・ツォン・チェン。ロエベのニットウェア部門で研鑽を積み、衣服の構造や素材への深い理解から発展する力強さと繊細さが共存したコレクションを展開する。今シーズンは「Soft Armors」をテーマに、ギャザーを寄せたサテンや重ねたレースを用いたことによる構築的でボリュームのあるシルエットを提案。余分な要素を削ぎ落として制作された、フォルムや質感が特徴的な鎧のようなアイテムには、繊細でフェミニンな素材やディテールを「強さ」として表現するオリジナリティが宿っていた。
サリム（S A L I M）
メキシコでサステナブルファッションの第一人者として知られ、未来志向で持続可能なものづくりと、エッジの効いた先鋭的なクリエイションを両立させて人気を集めるエリザベス・サリムによるファッションブランド。今シーズンはブランドが持つ反逆的な精神と、ベルリンのネオ・バウハウスの影響を映し出したという、モノトーンを軸とした骸骨や蜘蛛の足のようなデザインが印象的なルックを発表。華美なディテールとアンダーグラウンドな世界観を見事に共存させた。
チャリンイエ（CHARINYEH）
デザイナーが生まれ育った台湾の文化的な風景から着想を得た物語性を、彫刻的かつモダンなクリエーションで見せるチアリンイェ。今シーズンは伝統的な中医学にインスピレーションを受け、古代の東洋哲学と現代のウェルネスを融合した「The Healing Lineage（癒しの系譜）」と題したコレクションを発表した。パワーショルダーのカットソーやフリル付きトップの構築的なシルエットを、モノトーンや淡いブルーを基調とした五行思想に基づいたカラーパレットで展開。癒しの形としての服を提案し、注目を集めた。
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