
「マンガ – ひとつの芸術 !」展より。
パリのギメ東洋美術館で「マンガ – ひとつの芸術 !(Manga. Tout un art !)」展がスタートし、話題を集めています。

『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎からフランスのマクロン大統領に贈呈されたサイン入り複製画と、18世紀の小鼓の展示。
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日本で独自に発展し、海を越えて人々を魅了し続けるマンガを“完全なる芸術”として学術的に紐解く本展。世界有数のアジア美術コレクションを誇る東洋美術館ならではの古美術品とともに、貴重なマンガの原画や関連作品が展示されています。


写真左:大岡春卜の戯画集『軽筆鳥羽車』(1874年)。庶民の滑稽な場面や動物などが軽妙なタッチで表現されている。右:月岡芳年の『水滸伝風・勇ましき日本の武者たち』(江戸時代)。50名の英雄を描いた版画シリーズ。中には、マンガ『ナルト』に登場する忍者のように、ガマの術を使う者もいる。
現代ファッションとの関係を探るセクションもあり、コシノジュンコ、ユイマナカザト、ルイ・ヴィトン、グッチ、ジュリアン デイヴィッドなどの作品を紹介。
「1970〜’80年代の日本で、SFやマンガの集会を中心に誕生したコスプレは、いまや世界的な現象となっている。かつては周縁的な趣味とみなされていたが、そのハイブリッドな美学と演劇性に魅了され、ついにはラグジュアリーファッションにも影響を与えるようになった」と解説しています。


ひときわ目を引いたコシノジュンコのドレス。左は、ロボットを想起させるメタリックなドレス『ポロポロ』(2016年)。右の『スパイク・ドレス』(2010年)は、アニメのキャラクターに出てきそう。


写真左:ニコラ・ジェスキエールによるルイ・ヴィトン 2026年春夏コレクションは、ゲームやアニメの世界が着想源に。『セーラームーン』のヒロインのようなティアラが話題となった。右:ジュリアン デイヴィッドは 2026年秋冬コレクションで、アニメ『UFOロボ グレンダイザー』のプリントを全面に取り入れたデザインを展開。
葛飾北斎の“グレートウエーブ”と、その浮世絵をモチーフにしたディオールのオートクチュールのドレスが並ぶコーナーもあり、見どころ満載です。



ジョン・ガリアーノが手がけたディオールのドレス(2007年春夏オートクチュールコレクション)。葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』の迫力ある波がハンドペイントで描かれ、水しぶきがパイエット刺繍で表現されている。
マンガ好きはもちろん、そうでない人でも楽めるように企画されたマンガ展。あなたのお気に入りのヒーロー・ヒロインにきっと出会えるはず!



1972年から1973年まで『週刊マーガレット』(集英社)で連載された池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』のコーナー。フランス革命の渦に翻弄される男装の麗人オスカルや王妃マリー・アントワネットらの人生を描いたフィクション作品。マリー・アントワネットが所有していた漆塗りの小箱(18世紀)も展示される。

昭和の時代、街角に自転車でやって来る紙芝居は、子どもたちに人気の娯楽だった。

世界的に大ヒットした『ドラゴンボール』のコーナー。作者の鳥山明はフランスでも高く評価され、芸術文化勲章を授与された。

ゴジラのフィギュア。円谷英二の特撮技術のもと、本多猪四郎監督によって制作された『ゴジラ』(1954年)は、“怪獣”というジャンルを切り開いた。

マンガが読める読書スペースも。

ギメ東洋美術館は、オリエンタル芸術に興味を持った実業家エミール・ギメによって19世紀に設立された。西洋古典様式の建築とアジア美術が交差する風景も、この美術館のおもしろさ。

Manga. Tout un art !(Manga. An art of its own !)
2026年3月9日まで。
ギメ東洋美術館
Musée Guimet
6 Place d’léna, 75116 Paris
公式サイト