


街はイルミネーションできらめき、ホリデーギフトがショーウィンドウを彩る、胸躍るような季節がやってきました。
クリスマスは、もうすぐそこ。
この連載では、クリスマスまでの日々を小さなワクワクで満たす記事を、ひとつずつお届けします。
アドベントカレンダーの扉をそっと開くようにのぞけば、
知らなかった物語や、遠い国の文化、とっておきのスポットに出会えるはず。
今回は、「起源と日本のクリスマス」のお話です。

12月になるとツリーを出して飾り付けをしたり、プレゼントを心待ちにしたり、気づけばクリスマスの雰囲気が私たちの日常をそっと包み込んでいます。でも、そもそもクリスマスって何のための日か、考えたことはありますか?
クリスマスは本来、キリスト教のイエス・キリストの誕生を祝い、礼拝を行う日。英語の「Christmas」は「Christ(キリスト)」と「Mass(ミサ・礼拝)」を合わせた言葉で、「キリストのミサ」を意味します。
12月25日と定められたのは、実際の誕生日を正確に知る記録がないため、ローマ帝国時代の冬至祭と結びつけて日付を設定したと考えられています。つまり、冬の暗さが最も深まる時期に、光と希望の象徴として祝う意味が込められているのです。

日本でのクリスマスの歴史はちょっとユニーク。
フランシスコ・ザビエルらのキリスト教布教に伴ってクリスマスが伝わり、1552年に山口で行われた「降誕祭(クリスマスミサ)」が、日本で確認される最初のクリスマス行事と言われています。しかし、江戸幕府がキリスト教を禁止したため、一般には広まらず、クリスマスも日本では長い間忘れられていました。
明治時代になり、キリスト教禁止令が廃止され、海外文化を積極的に受け入れ始めると、徐々に「西洋の華やかな年中行事」として認知されていきます。
戦後、アメリカ文化の影響で、サンタクロースやツリーといったイメージが広まると、デパート・おもちゃ業界・ケーキ会社などがクリスマス商戦を展開。本来の宗教的な意味合いが薄れ、家族やパートナーと過ごすイベントとして一気に浸透していきました。
日本では、独自の発展を遂げたクリスマスですが、本来は宗教的な意味と季節の文化的な楽しみが重なり合った、豊かな時間を味わう日。そんな歴史を知っておくと、いつものクリスマスも少し違った景色に見えてくるかもしれません。







