華やかな宮廷生活、バロックから新古典主義まで

ミウッチャ・プラダによるプラダ 2011年春夏のドレス。18世紀前半のロカイユ様式を参照したデザインで、ボーダー柄の上にマスカロン(装飾的な顔のモチーフ)とサルが配され、アカンサスの葉やアラベスク模様が取り囲んでいる。

ドリス ヴァン ノッテン 2017年春夏のコート。17世紀後半のフランドルのタペストリーに描かれた『水の中から救われるモーセ』がモチーフとなり、タペストリーの風合いも表現されている。

トム ブラウン 2020年春夏のスーツ。クラシックの再構築、ジェンダーレス、異なるジャンルのミックスといったデザイナーの手法が表れた作品。優美なトリアノン風装飾様式の空間にも溶け込んでいる。

カール・ラガーフェルドによるシャネル 2019年春夏オートクチュールのアンサンブル。ジャケットは、18世紀のチェストに着想を得た装飾モチーフを「ルサージュ」が刺繍。オーストリッチフェザーのスカートと合わせて。

クリストバル・バレンシアガのトワル(1960年代)。スペイン出身のバレンシアガは、17世紀の画家エル・グレコやベラスケスに通じる審美眼を持ち、造形への情熱は彫刻家のようでもあったという。綿密な線が引かれたトワルは、そのプロポーションへのこだわりを物語っている。

デムナによるバレンシアガ 2021-’22秋冬オートクチュールのパンツスーツ。シャープなシルエットは、クリストバル・バレンシアガの精神を受け継ぎ、彼の時代のファッションリーダーたちが愛した18世風インテリアに呼応する。

メゾン マルジェラ 2014-’15 秋冬アーティザナルの作品。ボディスーツは、18世紀の高級絹織物ランパス(宮廷の家具や衣装に好んで使われた文様織の生地)を再利用して作られた。花束やリボンのモチーフが、当時の室内装飾と共鳴する。

ジョナサン・アンダーソンによるロエベ 2024-’25年秋冬のチュニックドレス。このシーズンはアンティーク愛好家の趣味がテーマとなり、ドレスには愛嬌あるパグがキャビアビーズで刺繍された。隣には、1733年頃のマイセン製『ボローニャの犬』が展示され、ヨーロッパの装飾芸術におけるペット表現の系譜を映し出している。