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文化服装学院を卒業し、
アートやカルチャーの世界で活躍すること

2024.04.01

2023年、創立100周年を迎えた文化服装学院。文化の100歳をお祝いした好評連載の9回目。今回は、文化服装学院でファッションを学んだ後、ファッションではなくアートやカルチャーの分野で頭角を現す4名のクリエイターにフォーカス。

photographs: Norifumi Fukuda (B.P.B.)

現代美術作家
加賀美 健(Ken Kagami)


1974年生まれ、東京都出身。文化服装学院スタイリスト科(現・ファッション流通科スタイリストコース)卒業。社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、メディアを横断して発表している。
Instagram:@kenkagami

好きなことを見つけて、続けられたら勝ち

 くすっと笑ってしまうユーモラスな作品で知られる加賀美健さんは、文化服装学院スタイリスト科(現・ファッション流通科スタイリストコース)出身。人気アーティストである加賀美さんのこれまでの歩みとは?

「中学生の頃に見たドラマ『抱きしめたい!』に、スタイリスト役の人が出てきたんです。それが衝撃で、『この職業はなんだ?』と思ったのが始まり。スタイリストを目指して文化に入りました。そして『鎌倉恋愛委員会』という番組に出ていた本木雅弘さんのスタイリングがかっこよかったので調べたら馬場圭介さんに行き当たり、2年生の後半に馬場さんの事務所へ手紙を出して弟子にしてもらいました。当時はネットもSNSもなかったので、業界通の同級生に馬場さんの事務所を教えてもらって。僕は文化に友達を作りにいったような感覚があるけど、持つべきものはやっぱり友達だなと思います」

加賀美さんのウィットに富んだ一言やイラストを軸にしたアパレルレーベル“C”のパーカ。人気の“加賀美フォント”での「既読スルー」がインパクト大。¥12,000 C(STRANGE STORE)

「6年間、馬場さんのアシスタントをしましたが、3年目くらいでこれは自分の肌には合わない仕事かもな……と。すべて自分の好きなようにできる仕事はアートだと思って、作品をタカ・イシイギャラリーの石井孝之さんに見ていただき、運よくギャラリーに所属することができました(現在はミサコ&ローゼン所属)。ただ、アートの道もさらに大変。最初、当時のギャラリースタッフの方に『アーティストの1年は10年です』と言われたんです。それくらい芽が出るのは時間がかかるし、長いスパンでやる仕事ですよと。今思えば、1年は10年どころではなく20年でした(笑)。アルバイトをしている時期もありましたけど、自分が好きでやっていることだから、つらいとかはなかったです」

2022年にスタートした、加賀美さんがクリエイティブディレクターを務めるブランドの「請求書在中」クッション。¥16,500 SEPARATE BATH & TOILET

「今はSNSがあるので3か月くらいで結果が欲しくなるかもしれないですが、好きなことをじっくり楽しんでやるのもいいと思います。一気に流行るものは終わるのも早いですから。好きなことが仕事になるといいなという希望を頭のどこかに置きつつ、別で仕事をしながら20年くらい続ければ、僕の経験上、ものになる時がくるかもしれません」

「STRANGE STORE」
存在自体が加賀美さんの作品になっているショップ。
場所:東京都渋谷区鶯谷町12-3-301
月〜金曜15時〜18時(土・日曜・祝日12時〜18時) 
不定休

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