Kis-My-Ft2のメンバーであり、ツアー衣装を手がける玉森裕太さん。幼い頃からファッションに寄り添い成長してきた玉森さんにとって、ファッションは彼自身を突き動かす衝動であり原動力である。そして、注がれる愛情は深くて熱い。
そんな玉森さんのファッションと衣装制作に対峙する姿を追ったドキュメンタリー番組「玉森裕太 MODE」が、Prime Videoで配信されている。そこには、玉森さんの率直な思いと真摯な姿がある。そこで、今回あらためて、玉森裕太さんに尋ねた衣装への思いと覚悟をここで届けたい。
photographs: Takashi Kamei
styling: Kei Shibata
hair & makeup: Yusuke Kasuya(ADDICT_CASE)
interview & text: SO-EN
「目標はただ一つ。
Kis-My-Ft2を
かっこよく見せたい!」
— Yuta Tamamori

スパンコールジャケット¥93,500、下に着たツイードジャケット¥132,000、中に着たチュールベスト¥66,000、リボンシャツ¥63,800、スウェットパンツ ¥48,400、ツイードジャケットの裾につけたヘッドピース(2個セット)¥31,900、レースグローブ ¥22,000 ヴィヴィアーノ
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できるはずなのに
と思っている自分がいた。
「デビューして最初の頃は、決まった衣装を着るのが当たり前でした。でも、活動を重ね、メンバーがライブの演出にも携わるようになる中で、ただ与えられたものを着るということに少しずつ違和感を覚え始めたんです。
作ってくださる方々が僕たちのためにいろんな思いを込めてくれているのは理解していましたが、どこかで熱を感じられない自分がいました。
人間だから好みもあるし、『もっとかっこよくできるはずなのに』『もっとモチベーションが上がるはずなのに』っていう思いがどんどん膨らんで、自分で作ってみたいと思ったのが始まりでした」

「もちろん、実際にやってみると難しいことのほうが圧倒的に多かったです。デザインを考えることはもちろん、ただ自分たちが着たい服を作るだけではダメで。
ツアーを通して何十公演に耐えうる耐久性が必要だし、メンバーがパフォーマンスしやすいよう軽さや動きやすさも考えなければいけない。おしゃれさと機能性の両立は本当に大変で、今でも課題ですね」
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っていうキラキラ衣装が
あまり好きではなかった。
「僕の中で、昔から『ザ・アイドル』というキラキラした衣装があまり好きではないというか、これって本当にかっこいいのかな、と自問自答する時期がありました。
洋服が大好きだからこそ、もっとファッションに寄せた衣装作りがしたい、という気持ちが強くなっていきました。だから、僕が衣装を手がけるようになってからは、少しずつ路線変更を試みました。いわゆるアイドルっぽいパターンを一つ一つ消していく作業から始めて、よりファッション性の高い方向へ。
僕にとって洋服の力は絶大で、着る人のテンションを上げ、気持ちを固めてくれるものだと信じています。そして、それを見た人が “一目ぼれ”するような、トータルバランスを作り上げたい。
洋服を通して、メンバーも、Kis-My-Ft2というグループも、より素敵に見せたいんです。ファンのみんなとメンバーが、僕が考えた衣装でテンションが上がってくれる瞬間に、一番『この仕事ができてよかったな』と思うんです」
巨大セットや高く伸びるクレーン、1曲で3000発の炎など華やかな演出で彩られたドームツアー。オープニング衣装は、ハイブランドをアレンジし、メンバーごとに異なる色をまとって。
2着目は、一着に約3000個のビジューが手縫いでつけられている玉森さん渾身の作。
3着目は、柔らかな素材で浮遊感のある白衣装。余韻のように揺れるひもがポイント。ラストは、安全ピンでアーティスティックに模様を描いた黒衣装で、大人の遊び心があふれている。
を生で見ると
濃い映画を見ているような
没入感がある。
「近年、ミラノやパリでファッションショーを直接見る機会に恵まれて、僕の中の感覚は大きく揺さぶられました。
例えば、ボッテガ・ヴェネタの新しいクリエイティブディレクターのルイーズ・トロッターが手がけたショーを見た時は、めちゃくちゃテンションが上がってしまって。『なんでこんな洋服が作れるんだろう』と、圧倒されました。
どのショーも、写真で見るのと、モデルが動いているのを見るのとではまったく違う! 生地の質感や動き方、その場の空気感。すべてが一体となって、まるで1本の濃い映画を見ているような没入感に包まれるんです。
ドルチェ&ガッバーナのアーカイブ展を訪れた時も、衝撃的でした。何十年も前に作られた服が、今見てもまったく色あせていない。
その技術、デザイン、そして作り手の果てしない情熱とこだわりが、服一枚一枚から伝わってくるようでした。言葉にするなら『命を感じる』とか『魂が宿っている』という感覚に近いかもしれません」
「気持ちがそこにある限り、
好きなものをとことん
追い求めたい」
「昨年は、素材を探すために韓国にも行きました。
生地を実際に触って、これを使いたいなと思っても、いざ作ろうとすると、装飾に向いてないとか耐久性が足りないとか、夏場のライブだと『暑すぎる』とか、いろんな壁にぶつかって。これまで衣装チームのみんなは、そこまで考えて作ってくれてたんだとあらためて勉強になりました」

「もちろん予算のような現実的な問題とも向き合わなければいけません。でも、生地に触れることで『この生地なら、こういう動きがかっこいいだろうな』とか、より深いところにリーチすることができたのかなとは思います。
海外に行くたびに刺激を受けて、新しい発見や感動があって、その熱量を衣装作りにどう還元できるかをいつも考えていますね」
メンバー 一人一人の
個性と魅力を衣装で
引き出したい。
「2025年の『MAGFACT』ツアーでは、演出をしている二階堂(高嗣)から『ファッションショーをやりたい』という提案があったんです。
それでライブの最後に、上着を羽織ることでファッションショーへ転換することに。実は、上着だけを着替える、いわゆる“0.5”のパターンを作るのが、僕は苦手。“1”として完成させたものに何かを足してしまって、よくなるんだろうかって思っちゃうんです。
でも、何回も話し合いながらなんとか着地できたのかな、と。デザイン画の段階ではよくても、実際にメンバーが着て6人並ぶと、『あ、ここをこうしたい』っていうところが出てきたりするけど、時間がなくて変更できないこともある……。だからこそ、毎回、プレッシャーと戦っているんです」
「衣装を考える時は、Kis-My-Ft2というグループとしての統一感はもちろんですが、メンバーの個性をどう引き出すかを常に意識しています。
千賀(健永)は、メンバーの中でも特にカラフルな洋服が似合う。ほかのメンバーでは使わないような、例えば、強烈な黄色でも着こなせるので、派手な色でアクセントをつける役割を担ってもらっています。
宮田(俊哉)は、本人の要望もあって、カチッとした王道のジャケットスタイルが多いですね。王子様のような、クラシックな雰囲気が彼の魅力に合っていると思います。
横尾(渉)さんは、身長もあってスタイルがいいので、丈の長い服を着てほしくなります。ほかのメンバーでは着こなせないロング丈のアイテムは、彼の専売特許です。
藤ヶ谷(太輔)さんはなんでも似合うけど、最近はスウェットパンツのようなラフなスタイルと、カチッとしたアイテムを組み合わせるのがすごく似合うなと感じています。
二階堂 は手足が長いので、それを生かした服を模索中ですが、ハーフパンツスタイルで、彼の〝やんちゃ感〟や元気な感じを表現できるかなと思っています。
じゃあ僕は……というと、実は自分のことが一番分からない(笑)けど、個人的な好みとしては、ショート丈のトップにゆるいボトムを合わせた、上が小さくて下が大きいシルエットが好きですね」
アリーナ公演は、ドームよりステージと客席が近いため、動きが感じられる衣装や繊細な装飾のある衣装を提案。オープニング衣装は、ヒートカットで模様が施されたセットアップ。カットされている模様が浮かないように、間にチュールをかまし、その一つ一つを縫いとめた。
2着目は、花の装飾で私服風だけど非日常なムードに。花が好きだという玉森さんらしい一着。
ラストは、Kis-My-Ft2のファッションショー。上着を羽織ってさらにモード感をアップさせた装いで花道を闊歩する姿はまさにランウェイさながら。
もっともっと
洋服に触れて、学んで、
ファッションを
探求したい。
「僕たちがデビューした頃と今とでは、アイドルの在り方も大きく変わりました。多様性の時代と言われるように、本当にいろんなアイドルが、いろんな形で活躍しています。僕ら自身も経験と年齢を重ねて変化している。
そういう中で僕たちKis-My-Ft2がどうあるべきか……、を考えると、時代に合わせて新しい形を柔軟に取り入れながら、進化し続けることなんじゃないかなと思っています。
その中で、僕の衣装作りでの目標は変わらず、『Kis-My-Ft2をよりかっこよく見せたい』であり、衣装からファンの方にも何かを感じ取ってもらいたい。その一心です。
個人的には、これからももっとたくさんの洋服に触れて、勉強して、ファッションそのものを楽しんでいきたい。そして、時代の流れに負けないよう必死にしがみついて、いつまでも好きなものを探求したい。この胸に〝熱〟がある限り」

「玉森裕太 MODE」
Prime Videoで世界配信中の玉森裕太さん初の単独ドキュメンタリー。2024年から’25年にかけて、世界のモードの中心であるパリ、ミラノでのコレクションを目の当たりにしたり、実際にコレクションピースをまとうことで得た気づきなどを存分に吸収。そして自身が手がけるKis-My-Ft2のツアー衣装制作の裏側に密着している。常に「何事も吸収!」とストイックであり続ける玉森さんの真摯な思いと姿勢が映し出されている。
Yuta Tamamori
1990年生まれ、東京都出身。2005年にKis-My-Ft2を結成しメンバーとなる。俳優としても活躍し、近年では「グランメゾン東京」(’19年)、「NICE FLIGHT!」(’22年)、「あのクズを殴ってやりたいんだ」(’24年)などのドラマなどに加え、映画『マイ・エレメント』(’23年)では日本版声優を務めるなど表現の幅を広げる。一方で、’24年6月にパリ・メンズコレクション(アミリ)、’25年2月にはミラノ・コレクション(ブルネロ クチネリ)に招かれ世界のモードシーンにも進出。
Instagram:@yuta_tamamori_kmf2








