
オダギリさん自身が、痛みや不自由を知っている上で自由を求めるような方
──確かに『オリバーな犬』からは、作り手の皆さんが楽しんでいる様子が伝わってきます。
池松:作ることが好きな人たちが集まっています。他では許されないようなものづくりを存分にやれること、ここでしか成し得ない個性の強い作品に携わることができること、そのことを皆が喜んでいると思います。オダギリジョーという人の個性と格にあるものに触れてきた、様々な俳優やスタッフがここに集まることはとても納得ができます。オダギリさんの哲学と美意識とこだわりが詰まった作品を皆で作り上げるプロセスは、本当に贅沢で愉快な時間でした。
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『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』より
──オダギリさんのビジョンを具現化するよりも、こういうのはどうでしょうと提案することを歓迎してくれる空気がありますよね。
池松:オダギリさん自身が俳優として指示を受けてやるというよりも、自分の考えや表現を提示して作品に献身していくタイプだと思うので、俳優がアイディアを持ち寄ることはとても喜んでくれると思います。違っていたらスパッと切り捨てていますが(笑)。
──となると、いたずらに「自由度が高い」というわけではないのですね。
池松:そうですね。自由の捉え方にもよりますが、闇雲な自由とは全く違うと思います。自由への動機がとても重要なことだと思いますが、オダギリさんご自身が、痛みや不自由を知っている上で自由を求めるような方なので、例えば自由をそのまま言葉の意味と捉える俳優さんが『オリバーな犬』に来たとしてうまくハマるかというと、そうではないような気がします。

『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』より
──しかし、悩み抜いて生まれたものが今作というギャップも面白いですね。
池松:実に面白いですよね。なぜこの作品に深津絵里さんがいてこんなにも神々しく在れるのだろうとか。海で歌い出すところなんて、“なんだこの変なのにもの凄く調和しているような妙なコラボレーションは?”と感動しました。そのほかの方々についても名シーン珍シーンのオンパレードです。オダギリさんの持つ独創性の幅と努力と求心力によって生み出すことのできたものだと思います。

『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』
脚本・監督・編集・出演:オダギリジョー
出演:池松壮亮、麻生久美子、本田翼、岡山天音、黒木華、鈴木慶一 永瀬正敏、佐藤浩市、嶋田久作、宇野祥平、香椎由宇 吉岡里帆、鹿賀丈史、森川葵、髙嶋政宏、菊地姫奈、平井まさあき(男性ブランコ) / 深津絵里
全国公開中。配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
© 2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会
Sosuke Ikematsu
1990年生まれ、福岡県出身。2003年『ラストサムライ』で映画デビュー以来、映画を主戦場に圧倒的な表現力で観客を魅了し、日本映画界には欠かせない存在に。これまで数々の受賞歴を持つ。近年の出演作に『ちょっと思い出しただけ』(’22年)、『シン・仮面ライダー』『せかいのおきく』『白鍵と黒鍵の間に』(すべて’23年)、『ぼくのお日さま』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『本心』(すべて’24年)、『フロントライン』(’25年)などがある。また、2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では豊臣秀吉役を演じることが発表されている。
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