「舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯」で加州清光を演じる松田凌にインタビュー。3年の月日を経て、いよいよ座長の任に就く彼の覚悟。

“刀剣男士とは・刀剣乱舞とは・演劇というものは”の、ど真ん中を走りたい。

松田:舞台『刀剣乱舞』5周年の記念本で『刀剣男士として次にやりたいことは?』という質問に、僕は『座長』と答えました。自分が始めた物語を、ちゃんと完結させたくて。完結させるためには、座長をやることが必須だったんです。主役になりたいという意味ではなく、「舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-」で見た本田礼生(一期一振役)の座長としての姿が素晴らしかったから。そしておそらく舞台『刀剣乱舞』の座長をやることには物語があるんです。

自分は若い頃に、脚本・演出の末満健一さんの別作品で座長をやらせていただいたので、舞台『刀剣乱舞』に初めて出演した時にいろいろと思うことがありました。このような縁があるなら、やはり舞台『刀剣乱舞』で真ん中に立つことで、自らの心が枯れずに済むのではないかと。だからお話をいただいた時は「来たな」と思いましたし、そうなることをどこかで予想もしていました。今回は『心伝』というタイトルが掲げられていますが、まさしく心に問うた時に「これだ」と思いましたね。

松田:そうなんです。大和守安定は舞台『刀剣乱舞』にはまだ出ていなかったので、植田圭輔くんが出ると聞いて、嬉しかったですね。

松田:そう言っていただけると、僕も嬉しいです(笑)。松田 凌演じる加州清光が背中を預けられる存在として、全てにおいて調和が取れて、期待値の上がる人は植田圭輔くんだ、と。キャストが決まった瞬間、僕は喜びで拳を握りしめました(笑)。

松田:末満さんが「王道に立ち返る」とSNSで発信されていましたが、僕も末満さんとそのあたりに関して少しお話しさせていただきました。舞台『刀剣乱舞』として上演する上で、“刀剣男士とは・刀剣乱舞とは・演劇というものは”のど真ん中を走りたいと思っています。自分たちの走り方によっては、邪路に進むこともあると思うんですよ。もしそう進んだとしても、これは我々の王道なんだとお客様に提示したい。それができることが、今作の座組の一番の強さだと思います。

 “2.5次元”という言葉を、実は自分はあまり好きではなくて。というのも、いい言葉である一方で、自分たちの首を絞めている気もするんです。アンチテーゼを出しているわけではなく、一俳優が進む過程でこの作品と出会ったのだから、責任を持ってしっかりと上演したいと考えています。だからこそ願わくば、お客様には本当の意味で楽しんでいただきたいです。

先ほども出した表現ですが、僕は何年も前から「心を枯らしたくない」と思っていて。俳優という道を歩んでいて、心が枯れることが一番つらいんですよ。別にお金がなくてもいいし、愛が今なくてもいい。心が枯れていくことが、人生において一番よくないことだと思っています。そう考えていたら、今回『心伝』というタイトルをいただきました。お客様の“心”にちゃんと届けられる作品にしたいですね。舞台は総合芸術なので、今日お伝えした衣裳やメイク、さらには音響・照明・映像・舞台美術など様々なもの、そして僕はお芝居でしっかりと届けるように、0番(※主演の意)に立ちますので、楽しみにしていただけたらと思います。

松田:今はしませんが、高校の時にしていました。僕に芸術的感性や個性を与えてくれたのは、実は叔母なんです。今は全く違うカルチャーのファッションが好きですが、高校時代は叔母の影響が大きく、金髪のパーマヘアかつナポレオンジャケットを着て、いろんなアーティストの顔が描いてある総柄ボトムにダブルモンクの革靴を履き、黒のネイルをしていました。母に「商店街へ買い物に行くからついてきて」と言われ、その格好で行ったんですよね。反抗期だと普通は子供が「恥ずかしいからちょっと離れて」と言うのでしょうが、僕は反抗期がなくて、逆に母親からそう言われました(笑)。そういう独特な感性や、根拠のない若くてトガった自信が僕はすごく好きで。映画も音楽もファッションもアートも、人生を豊かにしてくれました。だからその頃のことも、後悔は全くしていないですね。

Ryo Matsuda●1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。高校2年の時に下北沢で観劇し、「自分も舞台に立ってみたい」と俳優になることを決意。2010年に上京、2011年にCM出演で芸能界でのキャリアをスタート。2012年、初出演舞台「ミュージカル『薄桜鬼』斎藤 一 篇」の斎藤一役で、初主演も務める。2013年、『仮面ライダー鎧武/ガイム』(テレビ朝日系)の城乃内秀保/仮面ライダーグリドン役で、ドラマ初レギュラー。その後、映像作品や舞台、またバラエティなどでも活躍。主演映画『追想ジャーニーⅡ』が公開待機中(2024年秋以降に公開予定)。


「舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯」
慶応4年7月。本丸への入電を受け、加州清光を隊長に、大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、長曽祢虎徹、孫六兼元の六振りは、戊辰戦争の戦地のひとつである甲州の躑躅ヶ崎に到着。政府から派遣された監査官と合流する。監査官曰く、ここは何者かによって行われた歴史改変により「放棄された世界」だという。監査官の紹介で、新政府側の軍勢である迅衝隊の総督と面会を果たした刀剣男士たち。史実では板垣退助が率いていたはずの部隊だが、総督として彼らの前に現れたのは別の男……元新選組にして御陵衛士の生き残りだった。

【出演】
加州清光:松田 凌
大和守安定:植田圭輔
和泉守兼定:田淵累生
堀川国広:小西詠斗
長曽祢虎徹:松田 岳
孫六兼元:砂川脩弥
監査官:内藤大希

近藤 勇:佐々木 崇
土方歳三:小早川俊輔
斎藤 一:池岡亮介
永倉新八:足立英昭
谷 三十郎:阿見201
山南敬助:栗原功平
沖田総司:早乙女友貴
ほか

【公演日程】
東京公演
2024年6月8日〜6月30日 
会場:THEATER MILANO-Za
大阪公演
2024年7月5日〜7月14日
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
福岡公演
2024年7月19日〜7月21日
会場:キャナルシティ劇場
6月9日と7月21日にライブ配信&7月21日18:00⼤千秋楽ライブビューイング決定!
WEB: https://stage-toukenranbu.jp/

松田さん着用:
コート ¥89,100 DAIRIKU(info@dairiku-cinema.com)、マルチデニムジャケット¥88,000、マルチデニムパンツ ¥66,000、中に着ているタイダイシャツ¥88,000、ギャザーTシャツ ¥22,000 すべてテンダーパーソン(info@tenderperson.com)、ベルト ¥88,000 SUGARHILL(林デザイン事務所 TEL 090-4737-1805)、ネックレス ¥38,500 アツシナカシマ(ザ・PR TEL 03-6803-8313)、イヤーカフ¥24,200、左手のダブルリング ¥63,800、リング ¥48,400、右手のリング ¥33,000 すべてガルニ(ガルニトウキョウ TEL 03-3770-4554)、靴 スタイリスト私物

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