アジアの気鋭ブランドを中心にトレンドアイテムを取り揃えるセレクトショップ「CHICKS(チックス)」。ディレクター兼バイヤーを務めるのは、文化服装学院リテールプランニングコース出身の大久保美南さん。大久保さんは、授業内のカリキュラムのひとつであるRE・TENTをきっかけにCHICKSを始動し、卒業後もECサイトとアポイントメント制にて運営を継続。2024年3月、24歳という若さで東京・新宿に「CHICKS」の実店舗をオープンした。大久保さんに、店舗をもつまでの道のりや自身のショップのこだわりについて伺いました。
photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B.)
お話を伺ったのは
大久保美南さん
1999年生まれ、岩手県出身。2020年、文化服装学院ファッション流通科リテールプランニングコース卒業。買い付け、接客、ECサイト・SNS運営を自ら行う。Instagramで発信するスタイリング写真も人気。
大久保さんが自身のショップをオープンするまでの道のり「やりたいことがあるなら、やってみることが大事」。
――ファッションに興味を持ったきっかけを教えてください。
幼い頃からアイドルが大好きで、アイドルの衣装やスタイリングに関わることが夢でした。それで、小学生くらいのころから文化服装学院に行きたい!と思っていたんです。文化に入学すると、学内には幅広いジャンルのスタイルの子がいて、学校ではもちろん、学外でも新しいカルチャーに触れてたくさんの刺激を受けました。最初はスタイリストになりたいと思って入学しましたが、だんだんと好んで見るものに変化が出てきて、2年次の進学コース選択の際は、チームでオリジナルブランドの運営を行いリテールの基礎を学ぶことができるリテールプランニングコースに進みました。
――RE・TENTのショップを卒業後も継続できる人は多くありませんが、卒業後も継続しようと思った理由はなんでしょうか?
授業内のカリキュラムで立ち上げたとはいえ、「CHICKS」というショップにとても愛着を持っていたからです。卒業後も、「CHICKS」は私が続けなくては!と決めていたので、しばらくは自分一人で運営しました。会社に入るきっかけがあり、そこでサポートを受けながらショップを継続して、今年、実店舗のオープンに至りました。
在学時に一緒にグループワークを行なっていたメンバーと名づけた「CHICKS」は、スラングで「かわいい」という意味。文化祭をCHICKSの名前で頑張っていたので、そのまま引き継いでいます。
――店舗を構えることを目標に、ECサイトの運営をしていたのでしょうか?
もちろん目標のひとつとして、店舗を構えたいという気持ちはありました!でも、特別、店舗を出すことだけにこだわっていたわけではなく、ECのみでもその利点を活かして、他のお店とは違うことができるのではないか?と探っていましたね。いま、店舗を持つことができ、CHICKSならではの発信をできる場ができたことは、とても嬉しいです。
――在学時と卒業後すぐの頃は古着のみを販売されていましたよね。今は気鋭のブランドもセレクトされていますが、その理由やきっかけはありますか?
はい。学生時代と最初の頃は古着のみの取り扱いでした。当時はECでの販売がメインだったので、撮影や出品準備など、一つのアイテムに時間をかけても、売れてしまうとその素材が使えなくなってしまったりして。もっとこだわりたいけれど、一点ものをECで販売することに対する難しさを感じていたんです。会社に入ったことで魅力的なブランドに触れる機会が増え、アジアのブランドを中心に仕入れることにシフトしていきました。
――取り扱うアイテムやブランドの基準は?
お客さまに、心からおすすめできるものでなければいけないと思っているので、第一に自分がほしいと思うものを入れています。さらに、ブランドのデザイナーさんやディレクターさんとコミュニケーションを取る機会も増えているので、人との繋がりやご縁も大切にしたいと感じています。少しずつ積み重ねていくことで、まだ多くの人に知られていない素敵なブランドを伝えていきたい、CHICKSにしかできないことを頑張りたいという思いです!
CHICKS インスタグラムより
――インスタグラムの投稿も魅力的です。投稿はどんなことに力を入れていますか?
私はもともと、他の人が気にならないような細部も気になってしまうような性格で。CHICKSのインスタグラムに掲載する写真では、撮影やスタイリングの、そうした細かいこだわりが世界観を伝えるのに役立っているように思います。これからは、撮影した写真にバランスをみて加工も加えていきたいと考えているので、デジタルの画像編集技術を磨いていきたいです。細かい作業が好きなので、もっと時間を割きたいと思っていることのひとつですね!
――今、実店舗をオープンしてみていかがですか?
ECサイトでの運営からお客様の顔が見える環境に変化して、色々な方が来店されるのでお客さまからとても刺激を受けています。何より、自分が一から作ってきたお店に足を運んで見に来てもらえることがとても嬉しくて、改めてお客さんと直接コミュニケーションを取れることって楽しいな、面白いなと思いますね。お店の中は決して広くはないですが、自由に見て、気軽に試着をして楽しんでほしいです!
――自分のお店を持ちたい!という夢を持つ人にアドバイスをいただけますか?
やりたいことがあるなら、やってみること。そして継続することが一番大事だと、自分にもよく言いきかせています。挑戦することで良いことも悪いことも見えてきますし、失敗してもそこから学びを得られるのではと思います。
――今後の展望も教えてください!
次の目標としては、まずお店の増築です!そうしてスタッフを雇用して、取り扱いブランドも増やしたいですね。やりたいことがたくさんあります!頭で考えてもやってみないと分からないから、手探りでも一度挑戦してみて、その上で試行錯誤するという繰り返しで頑張っています。
ショップのコンセプトは「ジブリみ」と「シルバニアのおうち」!
――内装のこだわりは?
内装はほとんど全てがDIY。手を動かしながらアイデアを出し合い、1ヶ月間くらいで仕上げました。準備が間に合わず、オープン当日までペンキでドアの色を塗っていましたが(笑)。はじめて空間づくりに挑戦したのですが、どういう場所にしたいかと考えた時、一番に思い浮かんだのはまるで森の中にいるような空間にしたい!ということでした。なので、お店の色々な場所に昆虫や動物の置物があります。
いちばんのお気に入りは、窓。窓枠も自分でデザインして作っていて、年輪のようなかたちにくり抜いた発泡スチロールになっています。壁は発泡ウレタンという、吹きかけるとモコモコ盛り上がるスプレーのうえから漆喰を塗っています。壁に葉っぱをたくさん生やしているのがポイントで、もっともっと付け足して森感を強くしたい!と思っているんです。
CHICKSのおすすめアイテムをピックアップ!
シャローム
MESSY FLOWER BAG ¥10,450
2020年に設立された韓国発のブランドSHALOM(シャローム)。スクールガール感と、フェミニンな要素をミックスしたレトロでポップな色使いのアパレルアイテムをはじめ、雑貨も販売。
アンス ドッツローヴナー
ファッションスクールにてデザインを学んだHanano Momoseが手がける東京発のブランド「Ans Dotsloevner(アンス ドッツローヴナー)」。ロマンティックな雰囲気と、立体感のあるシルエットが特徴。
ハッピーナインティナイン
NY発のバーチャルファッションブランド「Happy99(ハッピーナインティナイン)」。3Dモデリングプログラムでデザインを手がけ、90年代の懐かしさと、近未来的なビデオゲームのビジュアルが融合したテイストのアイテムが揃う。
INFORMATION
CHICKS
場所:〒160-0022
東京都新宿区新宿6丁目3−6
日野荘 1F
時間:13:00〜21:00
水・木・日定休
WEB:https://www.chicksweb.com/
Instagram:@chicks0o.o0zzz