本郷 奏多×大沢 一菜、連続ドラマ「姪のメイ」インタビュー。前向きなメッセージを届ける作品の撮影エピソードと、ふたりに希望を与える存在について。

2023.09.14

合理性を重要視する現代的な若者が、両親を亡くした姪っ子を引き取り、福島県へ移住。現地で暮らす人々と明るく前へ進んでいく――というストーリーで、福島12市町村への移住をテーマにひと夏の出来事を描いたヒューマンドラマ、「姪のメイ」が9月7日に初回放送を迎え、テレビ東京系で放送中。本作で、叔父の小津を演じた本郷奏多さんと、姪のメイを演じた大沢一菜さんにインタビュー。作品を復興の手助けにしたいという前向きな思いと、新たな役柄に挑戦したお二人の楽しいエピソードを伺いました。

photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) /  styling :  daisuke kawachi (Kanata Hongo) , Kentaro Higaki (tsujimanagement, Kana Osawa)  / hair & make up : Koichi Takahashi (Nestation, Kanata Hongo) , Go Utsugi (PARKS, Kana Osawa) / interview & text : SO-EN

©「姪のメイ」製作委員会

『姪のメイ』
東京在住の会社員・小津(本郷奏多)は、両親を亡くした姪っ子のメイ(大沢一菜)を一時的に引き取り、夏休みの間だけ福島県楢葉町で期間限定の仮移住をすることに。そこで出会ったのは、東日本大震災からの復興を目指し、前向きに生きてきた住民たち。姪っ子や、福島で出会う人々との関わりを通し、小津の心境に変化が生まれる。暖かい人間模様と移住先で繰り広げられるクスッと笑えるヒューマンコメディードラマ。

監督:清水康彦 大内田龍馬 脚本:小川康弘 企画・プロデュース:青野華生子

出演:本郷奏多 大沢一菜 田中美奈子 川田広樹(ガレッジセール) 橋本淳 清水葉月 土居志央梨 岩田奏 ・ 真飛聖 竹原ピストル/関智一 須藤理彩

制作:テレビ東京 イースト・ファクトリー 製作著作:「姪のメイ」制作委員会

WEB:https://www.tv-tokyo.co.jp/meinomei/

X(旧Twitter):@tx_meinomei

2023年9月7日スタート 毎週木曜深夜24時30分~ 25時00分 テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送、BSテレ東 BSテレ東4K / 9月12日スタート 毎週火曜深夜24時~24時30分

福島テレビ / 10月7日スタート 毎週土曜夜6時30分~7時

 ※10月21日(土)は放送なし ※5話 11月11日 夜6時~6時30分 ※6話 11月11日 夜6時30分~7時

前向きなメッセージを届けられる作品にしたい。――本郷奏多

――今作「姪のメイ」で本郷さんが演じられた小津の役柄は、これまで漫画実写化の役などキャラクター性の強い役柄を演じられることが多かった本郷さんには珍しく、身近にいそうな人物像で新鮮でした。オファーを受けた際はどんな気持ちでしたか?

本郷奏多(以下、本郷):そうですね。久しぶりに実年齢くらいの役柄を演じられることが嬉しかったですし、ずっとお父さん役をしてみたいと言っていたので、それに準ずる叔父という立場で大沢さんとお芝居ができることが楽しみでした。

 僕は仙台出身で、親戚が12年前の震災で被災を経験しています。被災された方に対して前向きなメッセージを届けられる作品にしたいという意味でも、頑張ろうと思っていました。

©「姪のメイ」製作委員会

――大沢さんは、映画『こちらあみ子』、配信ドラマ「季節のない街」に続く3作目の出演作であり、地上波ドラマ初出演でしたね。台本を読んで感じたことはありましたか?

大沢一菜(以下、大沢):はじめて台本を読んだ時は、メイは悲しい気持ちを表情に出さない部分があって、前向きな子なんだなと思いました。あとは、真面目な時とふざける時の切り替えがしっかりとできる子という印象がありました。

――お互いの初対面の印象も伺っていいですか?

大沢:最初は少し怖い人かなって…。

本郷:まあまあ、聞こう(笑)。

大沢:でも、共演していくうちに、今はとても優しくて格好いい人なんだな!と思っています。

本郷:そう言ってもらえて、よかったです(笑)。一菜ちゃんは、人懐っこくて純粋で無邪気。すごく愛されて育ったんだなと思いますね。僕が同じ年頃の頃はもっと生意気でひねくれていたと思うので(笑)。一菜ちゃんにはこのまま真っ直ぐ育って欲しいです。

――叔父である小津と、姪のメイちゃんはドラマの中でも徐々に関係性を深めていきますが、その二人の関係性を作る上ではどんな工夫をされましたか?

本郷:撮影の間は毎日お昼を一緒に食べて、食べ終わったら近くの川に行って魚を捕まえに行っていました。僕はアウトドア派ではないのに、いつの間にかそれが毎日の楽しみになっていましたね。あとは、一日一個嘘を教えるということをやっていて、一菜ちゃんに嘘を教えることが最近の趣味に(笑)。さっきは「今年の8月からじゃんけんのルールが変わって、チョキがグーに勝つようになるんだよ」って教えました。ごめんね。あれは嘘。

大沢:嘘だったの?!

本郷:一菜ちゃんは分け隔てなくいろんな人に話しかけたり、遊ぼう!と声をかけてくれるんです。おかげで現場の空気が明るくなりました。現場の雰囲気作りってとても大事なことなので、彼女の明るくて自然体な姿を素晴らしく頼りにしていましたね。

――お二人が特に印象に残っているシーンはありますか?

本郷:一菜ちゃん、おもしろ!と思ったエピソードがあります。一緒に50mを走ったあとに僕が一言目を言うシーンで、久しぶりにダッシュをしたら、セリフが出てこなくてNGを出してしまったんです。ごめんね、もう一回だけお願いね、と声をかけたら「ま、ミスは誰にでもある」って言ってくれました(笑)。それがとてもかわいくって。現場が一気に和んだので、その場面はよく覚えています!

大沢:私(自分)は、小津とのある大切なシーンが記憶に残っています。小津の言葉や行動があやふやになっている様子が少し面白くもあり、印象的でした。

自分が生まれる前にこんなことが起きていたんだって言葉に表せない感情になりました。――大沢一菜

――作品には福島県の楢葉町をはじめ、富岡漁港や天神岬スポーツ公園など、浜通りの各地が登場しました。福島県ならではのエピソードや、お気に入りの場所はありますか?

大沢:メイと小津の住居となる古民家がお気に入りです。川が近くにあって。あとは、田中美奈子さんの福島弁が印象的でした。

本郷:古民家の裏の川に遊びに行ったことはもちろん、家の近くにいた大きなワンちゃんを「シロ」と名付けて可愛がったことも思い出です。あとはワイン農園やロボットテストフィールドなど、普段は行けない場所を訪れることができたことが良かった。福島県の広さを体感しました。

©「姪のメイ」製作委員会

――震災から12年が経ち、本作にもあるように避難区域になっていた「福島12市町村」への移住が進みはじめ、復興も新たなフェーズに入っています。実際に現地を訪れてみて、街の雰囲気をどう感じましたか。

本郷:福島県の避難地区ならではの光景には、かなり衝撃を受けました。津波や地震など、物理的なダメージは受けていないけれど、当時からそのままで不思議な雰囲気をもった建物が多くあるんです。出ている看板などはとても綺麗だし、よく知っているチェーン店もありますが、中は何年も人が立ち入っていない。それは衝撃的な光景で、心に刺さるものがありました。はっとさせられましたね。

大沢:海沿いの小学校に行ったのですが、中身がぐちゃぐちゃになっていたんです。体育館の床が抜けていたり、色々なものが倒れていたり。自分が生まれる前にこんなことが起きていたんだって言葉に表せない感情になりました。

本郷:そこは被災した姿をあえて残しているような場所だったのですが、確かにかなりショックを受けました。

――作中には「(ここは)田舎じゃなくて開拓地」というセリフがありましたね。これから育っていく場所なんだ、と実感したところはありますか?

本郷:おそらく畑だった場所がまだ壊れていたり、津波の爪痕が残っているところが多かったんです。ですが、実際に訪れてみて福島は本当に素敵な場所だと改めて感じました。ドラマを通じて、福島に行きたいなとか、戻りたいというきっかけになればいいなと思います。

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