伊藤万理華インタビュー
書籍「LIKEA」と展覧会三部作の最終章へ向けて思うこと

2022.12.02

まりっかこと伊藤万理華さんによる展覧会『MARIKA ITO LIKE A EXIHIBITION LIKEA』が12月2日(金)より渋谷PARCO「GALLERY X BY PARCO」にて開催される。この展覧会の礎になるのが、彼女自身が10組のクリエイターとともにゼロから創り上げた書籍『LIKEA』だ。2017年に乃木坂46を卒業し、俳優として活躍する彼女は、その一方でファッションはもちろん、アートやカルチャーを愛してやまない。自身も絵を描いたり写真を撮ったり、デザインをしたりとクリエイティブな感性を育んできた。2017年の「伊藤万理華の脳内博覧会」、2020年の「伊藤万理華EXHIBITION”HOMESICK”」に続く、伊藤万理華×パルコ展覧会3部作の最終章『MARIKA ITO LIKE A EXIHIBITION LIKEA』の開催と書籍『LIKEA』の発売を前に目を輝かせて語る、彼女の思いとは?

“自分の一番古い記憶の中で、一番好きだったものは何だったのか”を振り返る機会

―書籍『LIKEA』の出版と3回目となる展覧会『MARIKA ITO LIKE A EXHIBITION LIKEA』、おめでとうございます。過去の展覧会を踏まえ、今回の制作にあたってどんな思いで取り組みましたか?

最初の展覧会は、乃木坂46を卒業するタイミングで、私がまだ外に出していなかったお気に入りのものを何の制限も制御も無く、自由に出し切った展示でした。2回目は、コンプレックスを克服したくて。装苑さんにも協力していただいて、人とコミュニケーションを取るために、ドレスを作ってもらったり、家族を軸にしたもので展示をしました。今回は過去のいろいろなことを踏まえたうえで、“自分の一番古い記憶の中で、一番好きだったものは何だったのか”を振り返る機会。

 今年デビュー10周年を迎えて、今までの自分の行動を強制的に振り返らなきゃいけない時期だと思っています。今年の5月に乃木坂の10周年のライブがあって、あの場所に呼ばれたことが凄く嬉しかったんです。そこに自分が出るとは全く想像していなかったので、グループにいた時の活動を凄く誇りに思っています。装苑さんにもその頃からお世話になっていたし、その時に繋がった人が、今でも映画でご一緒できたりすることも。そういう繋がりがあって今の自分があるから、過去を振り返らざるを得ないんです。

撮影の様子

ーこの本を読んでくれた人に伝えたいことは?

「自分の古い記憶の中で一番好きだったもの」は何だったのかを振り返る機会になったらいいなって思います。私は、自分を振り返って色々内観してほじくり返した時、かつてのネガティブな時期に好きだったものが、今の自分の基盤になって繋がっていることに気づきました。それさえも誇りに思って自信にしていいんだと。服とか本とか、好きなものをたくさん集めていて、いろいろなものが家にあリます。そのすべてはゼロから自分が見つけたものではなくて、他人に勧められて興味を持ったものなので“本当に自分が好きかな?”と考えた時期がありました。でも、心掴まれてときめいたことには変わりないので、その気持ちを大切にしたいなって思って。言葉にするのが難しいのですが、今回はそれがいっぱい詰まっています。

―好きなことを再認識して人に見せることができるというのは、過去の展覧会の存在と、それぞれの間の時間を経たからこそ?

私はかなり人見知りで、なかなか心を開くことが難しい性格です。それでもやっぱり好きなものはずっと変わらずにあります。10年前から凄く好きで憧れている場所(=表現の場)があって、その場所に立ったり、服を着たり。グループ時代にショートフィルムで演技をしたことがあるんですけど、その時に初めて自然に自分を解放できました。たぶんその時に、これが一生私がやっていきたいことなんだっていうことに気づき、それは今でも変わりません。振り返ってみても、ずっと変わってないなと、ちゃんとそれを積み上げてきたから、自然と自信になっていたのかもしれないなって思います。

ーご自身の中にある好きなものや好きなことへ情熱や思考をアウトプットする方法を模索し続けた10年だったのでしょうか?

まさにそうです。グループにはいろんなタイプの女の子がいたから、自分の武器だと思うところをどれだけ出してもこの子の方が凄い、と思ってしまって自分の存在意義とか自分らしさがどこにあるのか分からなくなってしまって。絵を描くことやダンスが好き、ということはファンの方が見つけてくれたことなんです。例えば、ブログを見て「凄く個性的に写真撮ってるね」とか「私服載せてるの良いね」って言ってくれたことで気づいたんです。だから、今ここに出てるものは“気づかせてくれたもの”でもあります。10年間、応援してくれた人がいるおかげで、自分の良さや、自分では気づかなかったところを、まわりの人が認めてくれて。つい最近の作品でもそうですが、自分が映画に出た時、何がいいか分からなかった自分の演技に対し、これがいいんだよと教えてもらいました。それは自分一人じゃ絶対に気づけない。だから私は人と関わることが自信にも繋がるんだって思いました。

 本のメインページには沢山の人が出ていますが、私は作っていく過程でどんな人が関わっていて、どんな会話をしていて、どんな空間で撮っているかということを把握した上で、写真が出来上がるのを見てきました。そうそう、そういう過程が好きなんです。

NEXT:涙が出るほど熱を込めた制作エピソード、ファッションへの情熱とは?

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