【SS2023パリコレ・メンズ】待望の日本勢の活躍
vol.2 キディル

2022.06.29

6月21日から6日間の日程で開催された2023年春夏パリ・メンズ・ファッションウィーク。今期はコロナが収束する中、リアルなショーとプレゼンテーションが大幅に復帰し、公式カレンダーの84ブランドのうち、デジタル発表にとどまったのは6ブランドのみ。特に日本勢の活躍が目覚ましく、パリがファッションの国際都市として活気を取り戻したシーズンになった。

KIDILL
偏愛を込めたキディルのホラーなプレゼン

昨年1月にパリコレ公式参加となったキディルだが、コロナ禍で渡仏を断念。今回は満を持しての初のオフィシャル・プレゼンテーションとなった。

「ようやく世界的にコロナが収束して、このタイミングを逃したくありませんでした。今回はプレゼンでしたが、後々はランウェイに切りかえてやっていくと思います。挑戦したいですね。続けていくしかないです」とデザイナーの末安弘明。

SS2023のキディルのプレゼンテーションより。©B.P.B. Paris

コレクションに込めたのは、10代から20代にかけての最も多感な時期に惹かれたもの。その中にはパンクミュージックやアンダーグラウンドなカルチャーに加え、『吸血鬼ノスフェラトゥ』『カリガリ博士』『サスペリア』などの昔のホラームービーもあった。

「自分は何が好きだったのかを一度振り返ってみようと思いました。パンクミュージックが大好きで、オールドのホラームービーも好きだったんですよね。それを掘り起こして今の自分なりの方法で服を作ってみたい、とうのがあって。でもパンクは昔から脈々と受け継がれているので、その道から外れることはしたくなかった。ファスナーやタータンチェックなどのコードを押さえつつ新しさを与えたい、というのがありましたね。ヘアメークだったりキャスティングだったり、全体のムードで今のパンクを作っていきたいというのが、一番やりたいことかもしれないです」

デザイナーの末安さん。プレゼンの会場にて。©B.P.B. Paris

スケボーをする少年たちのプライベートビデオからもインスピレーションを得て、シューズにはフィレオ(PHILEO)とのコラボ・スニーカーを使用。アーティストたちが手がけたサイケ調モチーフや花のプリントもあり、古いシャンデリアの素材で作った血塗られたイメージのネックレスなど、強いインパクトを放つアクセサリーも。デザイナーの究極の偏愛が詰まったコレクションである。

Text : B.P.B. Paris