現代ファッション写真の巨匠、パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)の大規模展覧会「Doubts(疑念)」が、スペインのア・コルーニャにあるMOP財団(マルタ・オルテガ・ペレス財団)で始まりました。

Sara Grace, Paris 2018 Paolo Roversi
パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)の作品は、数々のファッションマガジンをはじめ、ヨウジヤマモトやコム デ ギャルソンなど、アバンギャルドなブランドの広告ビジュアルでも広く知られています。
自らを職人と称するロヴェルシは40年以上にわたり、独自のスタイルを貫いてきました。創作の拠点であるスタジオは、彼にとっては単なる撮影の場ではなく、自身の世界観と人とのつながりが交差する特別な空間だといいます。

Audrey, Paris 1998 Paolo Roversi
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彼は、今ではアナログとなったポラロイドを多用します。それは、デジタルで何度でも撮り直せる時代であっても、光、影、ボケが生み出す表現に魅了されてきたからです。
「私の作品のあらゆる進化は、偶然から生まれました・・・・アクシデントが起こるたびに、それはいつも喜びであり、天からの贈り物なのです」とロヴェルシ。

Natalia, Paris 2003 Paolo Roversi
展覧会のタイトルがなぜ「Doubts(疑念)」なのか。
普通は、自信や確信こそが作品を支えると考えがちです、しかし、彼にとって「疑念」とは創造性への扉を開くものであり、逆に「確信」は、その扉を閉ざしてしまうものだからです。それが、彼がアクシデントを好む理由なのです。完璧なものを最初から確信していたら、偶然や失敗が入り込む余地はありません。ロヴェルシにとって「疑念」とは、不確かさの中に宿る可能性そのものなのです。

Audrey, Paris 1998 Paolo Roversi
代表作に加え、未公開の写真も展示される空間は、複数の連続する部屋で構成され、「Theatre(劇場)」「Appearances(外観)」「Shadows(影)」「Doubts(疑念)」「People(人々)」「Presence(存在)」「Grace(優雅さ)」「Beauty(美)」「Fading(消えゆく)」という、それぞれ異なるテーマが表現されます。

Fading falcon, Paris 2020 Paolo Roversi
そこには、彼が長年見つめ続けてきた、偶然がもたらす美の世界が広がっているのです。

Fading Paolo, Paris 1984 Paolo Roversi
Paolo Roversi「Doubts」
MOP財団、2026年9月20日まで
オフィシャルサイト:https://themopfoundation.org/en
All photographs courtesy of MAP.
Text:Chieko Hama(濱 千恵子)