
テキスタイルから広がる
言葉だけでは表現しきれない
人間像・世界観を構築

『装苑』2025年1月号 掲載
ニットを中心に淡くカラフルでニュートラルな世界観を展開するフルス。2024-’25年秋冬コレクションでは、デザイナーの児玉耀さんが30代前半を迎えて感じた、少年から大人へ変わっていくギャップや成長を表現している。
「いつもより深みのある色のトーンでまとめ、ミリタリーのセットアップやスラックスなど、よりメンズらしいニュアンスをのせ、ファーストシーズンから創造してきた少年性にエレガントな要素をプラスしました」

デザイナーが描くニュートラルな男性像から生まれたコットンサテンのワークシャツジャケット¥49,500、パンツ¥46,200 アーミーのいかつさを丸みのあるフラップのギャザーやフロントボタンのデザインで柔らかに。ニット帽¥29,700、バッグ¥44,000
ぬいぐるみの経年変化による
ツルツルとふわふわの表面感を表現

ストレートヤーンとブークレヤーンをチョイス。ブークレヤーンはガーター編みで立体感を出し、表情に違いを。全パネル違う柄のインターシャ編みになっており、破れを補修するターニングの技法をあえてデザインに落とし込んだハンドニット¥137,500

幼い頃に大好きだった自動車のモチーフをコード刺繍に。硫化染めを行いブリーチ加工で着古したふうに。スウェットトップ¥42,900、インナーニット¥36,300、パンツ¥59,400、ニット帽¥29,700


左 ウール生地に絵を描くように羊毛を置き、全体をニードルパンチで打ちつけた後に、縮絨を施し、ふんわりとした表情の生地に仕上げたシャツ¥57,200、パンツ¥52,800
右 ブランドの定番アイテム、ハーフジップにはフェアアイル柄のジャカードを施した。衿もとはハンドメイドのクロシェ編みで仕上げ、身頃とコントラストを表現。¥95,700


上 ジャストサイズのウエストに大きめのスラックスをとめることで、ゆったりとしたユニークなシルエットに。おじいさんがダボダボのパンツをはきこなす姿から着想。¥59,400
コレクション制作の向き合い方において、服を作るだけでなくスタイリングも重要だという。
「ニットは自由で余白が多いぶん、発想の起点になり、かつニュートラルな人物像ができ上がることが魅力的です。日々感じたことを、まずはニットに落とし込み、そこから派生したモチーフでテキスタイルや加工と発想を広げ、服を作っていきます。でき上がった服をどう見せるかを考え、自分で選び、まとうこと、その行為が“ファッション”であり、人間像を構築していく面白いポイントだと思っています。フルスでスタイリングを行うことは、“ファッション=人間像”を作るためのピースであり、今後も大切にしていきたいクリエイションです」


サーマルレギンスを伸ばし、ウエストまでデザイン。ビスチェ風にも、折り返してアクセントにも使える。シャツ¥46,200、レギンス(黒・白)各¥35,200、パンツ¥59,400、ニット帽¥29,700
デザイナープロフィール

Hikaru Kodama 児玉 耀○立教大学在学中、ここのがっこうにてファッションデザインを学ぶ。卒業後、セントラル・セント・マーチンズに入学し、ニットウエアのデザインを学ぶ。在学中、トム ブラウン、ポーツ 1961のデザインチームでインターンを経験。卒業後、国内ブランドでデザイナーとして務め、2022SSに自身のブランド、フルスをスタート。Instagram @f_l_u_s_s
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー



文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official