MITSURU OKAZAKI(ミツル オカザキ)は狂気とエレガンスの紙一重を表現。Rakuten Fashion Week Tokyo 2025 S/S レポート

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「ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)」が2025年春夏コレクションを発表。会場は明治神宮前の地下スタジオ「PLAT」。無機質なスタジオに椅子が並び、ゲストが続々と集まる。このミニマルな空間は、見る人の視線を洋服に集中させたいというデザイナー、岡﨑満さんの意図だろうか。

ショーは、落雷の音からスタートした。今シーズンのテーマは「狂気」で、イングランド出身の伝説的ロックバンド、ピンク・フロイドのアルバム『狂気』の日本盤のジャケットの帯に見られる、血のようなフォントが着想源。また、先月まで開催されていたパリ五輪で懸命に戦う選手の姿に、情熱を上回る狂気的な力を感じたことで心が揺さぶられ「狂気とは何か」を突き詰めていったという。

コレクションでは、「そんな狂気」を赤色や血しぶき、無数のボタンで表現。インパクトの強いデザイン要素が服を纏う人に勇気を与え、何かの後押しになるようにという想いを込めている。ファーストルックには全身赤いルックで赤い風船を持ったモデルが登場し、狂気に満ちた様子を体現した。

カラーパレットの中心はモノトーンで、赤や薄いブルーがアクセントに。「ミツル オカザキ」らしさはヨウジデザイン研究所やパターン縫製会社での経験を生かしたテーラードのテクニックや、ワイドシルエットに現れた。

シーズンを表すディテールは楕円形のカットアウト。グレーのスウェットやジャケット、ブルーのストライプシャツの胸や背中、袖などに落とし込んだ。エレガントを突き詰めると狂気的になるということを発見した岡﨑さんは、あえて綺麗に穴を開けることで狂気を上品に表したかったという。

ファーストルックに登場した、肩から袖口までをユニークな四角いシルエットで覆う赤いシャツや、平和の象徴である鳩を刺繍したシャツとトレンチコート、鋭角的な線状のミシンステッチを施したジャケットも目を引いた。多くのルックにあしらわれた無数のボタンは、開閉によって狂気と正気の二面性を表すという意図があり、着用時にはシルエットの変化を楽しめそうだ。

ショーのBGMとなっていた嵐の音が止み、鳥のさえずりが響く中で登場したラストルックは、ファーストルックと同じ特徴的なデザインのシャツをスタイリングした、オールホワイトのルック。モデルが手に持つ風船も白に変わっている。これは、狂気から正気に戻ったことをを表した演出だという。

静かに、しかし大胆な表現を試みるミツル オカザキのものづくりにも、情熱を超える狂気が宿っていることを感じさせたコレクションとなった。

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