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国際ファッションコンクール
ITSの作品が公開!
新しい時代を作るボーダレスな洋服とは

2025.06.11

アドリア海に面したイタリアの港町、トリエステ。ここでは毎年、世界中から若いファッションデザイナーたちが集まる国際コンクール「ITS(International Talent Support)」が開催されている。

その歴史は2002年に遡り、これまでグッチのデムナ・ヴァザリアやシャネルのマチュー・ブレイジーなど、ファッション界を牽引するアーティスティックディレクターたちを輩出してきた。

2022年には、長年の構想だったファッションの複合施設「ITS アルカデミー(ITS Arcademy)」を開設。ここは、過去の応募者のポートフォリオ約15,000冊と、ファイナリストの作品1,000点以上が保管されるアーカイブであり、それらのコレクションを公開するファッションミュージアムでもあるのだ。

服とは?を問いかける
「ファッションランド – 境界を越える服」展

現在、ミュージアムでは二つの展覧会が開催されている。その一つは「ファッションランド – 境界を越える服(Fashionlands – Clothes Beyond Borders)」展。

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ファッション史家オリヴィエ・サイヤールと哲学者エマニュエル・コーチャによる実験的で詩的なキュレーションのもと、常識や既成概念を超え、ファイナリストたちの自由な発想から生まれたファッションの世界を見せてくれるのである。

では、ボーダー(境界)を超える服を観て行こう。

会場の壁に並ぶ写真も興味深い。フォトグラファーのガブリエレ・ロザーティによるもので「白いシャツ」「黒スーツ」「Tシャツ」といった、誰もがよく知る普通の衣服のポートレートだ。

「どこまでも自由で、すべてを超える服」と「何も変わらない服」。
この対比は、私たちに「服って何だろう?」と、自然に問いかけてくる。国境や文化、価値観、“普通”という無意識のルールを、ちょっと立ち止まって考えてみたくなる。

服とは?— 難しく考えることはない。答えは、展覧会にあったオスカー・ワイルドの言葉が教えてくれるから。

「ファッションはあなたが着ているもの。センスが無いのは他人が着ているもの。(Fashion is what you wear. What is out of fashion is what other people wear.)」オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)

価値観は常に主観的なものだから、他人の目や常識に振り回されず、自分の美意識を信じて生きることが一番なのだと。

ITS 2025ファイナリストたちの「ボーダーレス」展

もう一つの展覧会は、ITS2025のファイナリスト10人の作品を紹介する「ボーダーレス(Borderless)」展。

今年からITSは、ファイナリストに選出された10人全員を等しく称えることにした。10人には、それぞれ1万ユーロ(約165万円)が贈られ、制作費用やトリエステまでの交通費などに充てることができたのだ。

また、トリエステでの10日間のクリエイティブ・レジデンシー(創作支援のための滞在プログラム)に参加する権利も与えられた。プログラムでは、豊富な経験や知識を持ち、新人の指導を行う業界のメンターたちからセミナーやワークショップを受けて、様々なことを学んだ。

何よりも主催者が大切にしたことは、彼らが共に生活をして、共に作り、共に成長して行くこと。

コンテストの概念を超えて、柔軟に変化を遂げていくITS。来年は、誰がどんなクリエイションで私たちをワクワクさせてくれるのだろう。

ITS Arcademy – Museum of Art in Fashion
オフィシャルサイト:https://itsweb.org/its-arcademy/
Photos and Text:B.P.B. Paris

関連記事:
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