映画『スパゲティコード・ラブ』特集2:俳優・清水尋也インタビュー
どんな役も演じ抜く、不変の姿勢としなやかな信念

振り返れば「この一年は特別だったな」と思います。

――映像美の面ですと、中島哲也監督、山戸結希監督、内山拓也監督といった映像派の方々とも多く組んでこられましたが、これは意識的なものなのでしょうか。

 確かに、多いですね。ひとえに出会いに恵まれたのだと思います。毎回違うタイプの監督さんとやらせていただけてありがたいですし、今回の丸山監督は撮影中にモニターをチェックしていても、自分がいつもとは違う映り方をしていると感じました。そして、完成した映像を観たら「こんな風にまとまるんだ」「前後がこういうつながりで、この画になったんだ」という驚きがあって面白かったです。自分は映像に携わるのが好きだなと改めて思いました。

――今回は群像劇だから、ご自身が演じているときと出来上がったものを観たときでは印象が異なるでしょうね。

 そうなんです。もちろん脚本はすべて読んでいましたが、自分以外のシーンの画やつながりがどうなっているのか、撮影中は全然わからなかったので、出来上がった映画を本当に新鮮な気持ちで観ました。

――『スパゲティコード・ラブ』で、2021年公開の映画は締めくくりかと思います。『映画大好きポンポさん』(平尾隆之監督)で声優に初挑戦、『東京リベンジャーズ』の大ヒット、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」のご出演など、思い出深い一年になったのではないでしょうか。

 そうですね。自分を含め、きっとほかの出演者みんなも『東京リベンジャーズ』がここまでヒットするとは思っていなかったでしょうから、本当にありがたいなと思います。それこそ『東京リベンジャーズ』は、主演の北村匠海くんが僕の2~3歳上で、周りがみんな上の世代だったんです。いまをときめく最前線の先輩たちと共にメインキャストとして作品に携わらせていただけて、すごく光栄でした。ここでチャンスをもらえたのだから、次は自分たちの世代が引っ張れるように頑張ろう、と気が引き締まりましたね。

 朝ドラや声優のお仕事なども、幸福なめぐりあわせが重なった1年だったと思います。全部無駄にしたくなかったですが、自分としては「この一年で何か変えてやろう」と意気込んでいたわけではなくて。いつも通りやるべきことをやって、全力でいいものを作ろうとしていただけですが、振り返れば「この一年は特別だったな」と思います。

 ありがたいことに知ってくださる方も増え、街中で声をかけていただくことも多くなったので、来年は期待に応えられるように、なお一層頑張っていきたいです。

――来年は『さがす』(2022年1月21日公開、片山慎三監督)に始まり、デビュー10周年イヤーですね。

 事務所に入ったのが12歳で、ドラマデビューが「高校入試」(2012年)。来年の夏くらいに、ちょうど10年が経ちます。早かったですね。

 良くも悪くも仕事という感覚があまりなくこの世界に飛び込んで、お仕事が決まっては、楽しんで現場に行く日々でした。その「楽しいからやっている」という感覚がずっと続いていて、いつの間にか10年が経っていました。

――非常に理想的な10年だったのですね。

 ただ、最近“老い”を感じるんですよ(笑)。「まだ早い」って言われるのですが、僕の中では一回目が来た感覚があります(笑)。

――精神的にも、年齢を重ねたからこそできる役というのもきっとありますよね。

 そうですね。ここ数年でガラッと変わったというか、学生役があまりなくなった気がします。

――ああ、確かに。『ホットギミック ガールミーツボーイ』(2019年、山戸結希監督)くらいが最後かもしれないですね。『東京リベンジャーズ』のハンマ(半間修二)は年齢的には高校生だけど、ちょっと特殊だし……(笑)。

 あれはもはやヤンキーですからね(笑)。ちゃんとした学生という意味では、おっしゃる通り『ホットギミック ガールミーツボーイ』くらいまでだったような気がします。そこを境に、いただける役の年齢がぐっと上がりましたね。

 元々、実年齢は若いけど見た目は年上にも見えるので、中途半端ではあったと思うんです。「高校生にも見えなくはないけどちょっとな……。でも上の役をやらせると、周りと比べて若く見えちゃう」という時期が結構長くあって。それをようやく越えて、24~25歳くらいの役をやってもハマるようになってきました。

――「アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜」では、完全に社会人の役でしたね。

 はい。いまや、制服を着ると「ダメでしょ」と悪いことをしているような気分になっちゃう(笑)。

 身体が細くて髪も長かったので、「ミステリアスな感じ」と言ってもらえることもありましたが、これから24~25歳にかけては、身体をもうちょっと大きくしたいなと思っているんですよ。

――ワークアウトをしたり?

 そうですね。まだ実践はできていないのですが、とにかく太れない体質なので、やるとなったら本腰を入れて、食生活から変えていかないといけない(笑)。

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