M A S Uのデザイナー
後藤愼平がパリ進出で感じたこと。

世界で活躍するファッションデザイナーの輩出促進を掲げる「FASHION PRIZE OF TOKYO」の第6回受賞ブランド「M A S U(エムエーエスユー)」が、パリ進出第二弾となるショーを開催した。

2025年春夏パリ・メンズファッションウィークの2日目、会場となったのは買い物客で賑わうオスマン通りの一角。コレクションは「灰色がかった物語(grayish tale)」と題され、アイビーを中心としたトラッドスタイルが軸となったが、デザイナーの後藤愼平は歴史あるこれらのスタイルに敬意を払いつつ、独自の目線で軽やかに再解釈している。

「トラッドはスタイルが定まっていて、日本では “ちゃんとした人”が着る服というイメージがあります。僕がまったく着てこなかったファッションで、触ってはいけないもの、と思っていました。でも本当にそうなのか、と疑問を持ったことから始まったんです。“灰色の姿勢”というのが僕のなかにあって、白黒はっきりさせる必要があるのか、もっと中間のグレーな部分にこそ、おもしろいものがあるんじゃないかと。そういう意味でこのタイトルにしました」

「まず一度クラシックなものをリサーチして、それを裏切っていくことをやっていったんです。トラッドなものを壊すというのをよりわかり易くするために、あえてベーシックな生地も使っています」

提案されたのは、紺のブレザー、マリンボーダー、アーガイルなど、トラッドの要素を残しつつ、スモッキングやプリーツなど、意外性のあるディテールを盛り込んだシルエット。先シーズンから続くVERDYとのコラボレーションによる“MASU BOYS CLUB”のロゴやポップなエンブレム、蔦(アイビー)のイラストがアクセントに効いている。

日本にトラッドを浸透させた「VAN JAC(ヴァンヂャケット)」創業者である石津謙介の肖像画をプリントに用い、ペーパーバッグ風クラッチ、ケーキの箱形バッグ、バレリーナ風シューズなど、アクセサリーも遊び心満載だ。

ショーのフィナーレにはデザイナーが自転車に乗って登場。そのままモデルたちを引き連れ、街に繰り出す演出で会場を沸かせた。

「僕は笑いながら泣く、みたいな感覚が好きなんですが、やっぱりショーを観てくれた人たちには、最後に笑ってほしい。ファッションを難しいものにしたくないんです」そう語るデザイナーがパリで感じた手応えは?

「前回の展示会に来てくれたバイヤーさんたちはコンサバな印象で、意外でしたね。M A S Uの日本のお客さんは、男でも抵抗なくシースルーもキラキラした服も着ますが、こちらはそうではない感じです。メンズかウィメンズかという質問もあって、日本のほうがファッションに関しては自由というか…。こうあるべきだっていうのが、たくさんあるクラシックな国だなって思います。でも僕にとってはこれがスタンダードなんで、日本以外の国でもスタンダードにできれば僕の勝ちだなって思ってやっています」

Courtesy of M A S U
Text:B.P.B. Paris

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