日本と自分のクリエイションのあいだには、何か共通性があるのかもしれないと考えるようになりました
――メイナーさんは自身のルーツや暮らす国の文化をコレクションに落とし込む際、どんな点に着目してデザインに転換しているのでしょうか?
ヘド・メイナー:実は、私自身のカルチャーやルーツを、意識的に取り込もうとしたことはほとんどないんです。ただ、私の中には決まって好きなものや美意識があるようで、それはほとんど無意識的に現れています。具体的に言えば服に動きを出すことや、素材や形に特徴があると思います。それらの好みは私自身の出自から現れたものかもしれませんが、特別に意識はしていないんです。
――自然な形で現れるということですか?
ヘド・メイナー:たとえば、Hed Maynerのファーストコレクションを作る前から、私自身の教育の過程で日本の文化は知ってはいたし、好きだったんですけど、そこまで多くを知らなかったんです。でも、最初のコレクションが多くの日本のファンに届いて、多くの反響があったというところで、もしかしたら日本と自分のクリエイションのあいだには、何か共通性があるのかもしれないと考えるようになりました。けれども、それは意図的にやったり、何か具体的に思って構築してきたものではなく、もっと感覚的なものでした。
――THE NEW CANADIAN TUXEDO JACKETと名付けられたパンツとジャケットには、上下のデニムオンデニムスタイルで着たくなる魅力があります。このアイテムのインスピレーション源はなんでしょうか?
ヘド・メイナー:CANADIANというところに対して、すごくクラシックで上品なイメージがあり、それがインスピレーションになっています。コートとしてもジャケットとしても、いろんなシチュエーションで着てほしいと思い、TUXEDOという名前を付けました。
――今回のコラボコレクションで、メイナーさん自身がプライベートで使いたいアイテムを教えてください。
ヘド・メイナー:コレクション自体が一つのものとして機能している側面があるので、どれを着たいかとなると、もう全部着たいです(笑)。ただ、THE NOT-MISMATCHEDという名のセットアップが、このコラボレーションの始発点であり原点でもあったので、強いて言えばお気に入りです。けれど、すべてのコレクションが好きですし、どれか特別に一つというものではありません。
――Desigualとのコラボレーションは、ジェンダーレスな視点から考案されたということですが、現在のファッション界のジェンダーレスについてメイナーさんの感想を教えてください。また、その思いが今回のコラボレーションにも反映されているんでしょうか?
ヘド・メイナー:昨今のジェンダーレスの傾向に関しては、正直言うと商業的な側面をすごく強く感じています。私は、元々ジェンダーによって服の意図を変えるということはしませんし、したくありません。今回のコラボレーションのプロダクトを、1サイズで取り組んだのはその思いが反映されているからです。1サイズにし、型をフラットにすることで、どんな人にも着ていただける服になったのではないかと思います。服作りというのはもっとナチュラルであるべきだし、ジェンダーによって分かれるというようなアイディアは、私自身は持っていないのです。
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