
「世の中のきらきらしたものを集めて歯車を回している」同世代のタッグで生まれたもの
―― 今作で森さんと黒川さんがミチルとトアそのものという感じで、本当に役にぴったりだと感じました。監督がお二人を起用された理由や、俳優や被写体としての魅力を教えていただけますか。
増田:森ちゃんと想矢くんにお願いしたいなと思ったのは、お二人のお芝居や写真に写っている姿を勝手に見ている中で、「一緒に旅がしたいな」と感じたからです。
この『青い鳥』という作品自体「これこそ青い鳥だ」と決めるものではないので、ゴールありきの姿勢ではなく、「みんなで一緒に青い鳥を探しに行かないと作品が良くならない」と思いました。「じゃあ一緒に旅したい人は誰だろう」と考えた時に浮かんだのが、森ちゃんと想矢くんだったんです。そうしたら一緒に(旅を)できることになって、本当にうれしい。
―― お二人の俳優としての魅力はいかがですか。
増田:ありすぎるのですが……。森ちゃんは、一緒にお仕事をしていても、私が観客として作品を見ていても、心に気づいたら入り込んでいる瞬間がとてつもなく多い。気づいたら心奥に入り込んできて、いつの間にか泣いてしまう、みたいなところが森ちゃんのすごさであり、私が森ちゃんを好きなところです。
トアとミチルが二人で岬の端っこに座ってしゃべるシーンがあるんですけど、そのミチルのセリフ、自分で書いたのに森ちゃんのお芝居でモニター越しに泣いてしまって……。それくらい心に入ってくる。想矢くんは、トアよりトアというか。
黒川:え!本当ですか。
増田:うん、そうだったよ。想矢くんはずっと空を綺麗だと思っている方な気がしていて。さらにそのきれいだと思ったものを一つ一つ教えてくれるんです。道に落ちていたフキノトウを拾って見せてくれたり、森に行けば鳥が飛んでいるのを教えてくれたり。
私が見落としているような美しい景色を想矢くんは見ていて、それを教えてくれる。そのおかげで、私にもトアが見えてきたというか。トアは言葉数が少ない代わりに、言葉にならない「心の余白」みたいなものが、広がったり狭くなったりする役だと思うんです。それを持ってくれているのがモニター越しに伝わってきましたし、伝えたことを丁寧に受け取って考えてくださって。素晴らしいなと思いました。

左から、森さん、増田監督、黒川さん。
―― 森さんから見て、同い年の増田監督はどんな方ですか?
森:ピュアさもロマンも、胸の中にいっぱいある人だなと思います。それがめっちゃ原動力になっているのかなって。世の中のきらきらしたものをいっぱい集めて、歯車を回しているような感じ。
そんな監督を見て「あーかわいいな」とも、「かっこいいな」とも思います。私もそういう人でありたいし、そうあり続けることは難しいはず。でも、これからミチルはこんなふうに生きていくのかなと思うと、演じているのがすごく楽しかったです。
―― 黒川さんにとってはどんな監督でしたか?
黒川:たくさん一緒に悩んでくれる監督で、僕にとってはすごくかっこよかったです。そういう考え方もあるのか……と、初めて知るようなこともありました。
増田:ありがとうございます(照)。


―― 撮影は北海道を旅するように行われたと思いますが、いま振り返ってみて、どんな旅でしたか?
森:本当に濃い旅で楽しかったなって、写真を見返して思います。撮影期間に泊まらせていただいた旅館の食堂の方々が、アップの前日に「次の日は何食べたい?」って聞いてくださって。私たちが「海の幸を食べたい」みたいに言ったら、「最後の晩餐!?」ぐらい、魚、カキ、お肉もすべてが並んでいるようなご馳走を用意してくださったんです。寒い中の撮影でしたが、地元の方々や美しい景色に助けられて、幸せに終えられた旅でした。あったかかったです。
黒川:本当にみんな優しかった。家族とか友達とか、スタッフとか、そういう関係性を超えてみんなで一緒に撮れた気がしました。そのことが僕にとってはすごく大きな経験でした。
湖にちょっと入るシーンがあったんですけど、すごく寒かったんです。でも、その湖は掘ると温泉が湧くんですよ。
―― ええ!
黒川:「湖から温水が出るなんてうそでしょ!?」と僕も思いました。でも本当で、僕の立ち位置になる場所を音響さんが掘ってくださり、あったかい水を出して足が冷たくならないようにしてくれました。その優しさとか、北海道の自然のすごさを感じられたことが記憶に残っています。
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それぞれの幸せの形を見つけて。
―― 最後に、これから映画をご覧になる方へ、見どころやメッセージをお願いします。
増田:幸せの青い鳥は、一人一人違うもの。少し変な言い方かもしれませんが、「自分らしく見てもらえたらうれしいな」と思っています。こう見てほしいというのはあまりなくて、「あの青空だ」でも、「この気持ちだ」でも、「この言葉だ」でも、何か一つでも届けば嬉しいという、祈りのようなものを込めて作りました。
森:誰かと一緒に旅をして同じ目的地に向かっていても、「旅する理由」って、それぞれ実は少し違うような気がします。そんなふうに、同じ映画館の席に座っていても、いろんな幸せの形、青い鳥のイメージが皆さんそれぞれの中に広がればうれしいです。
北海道のきれいな景色含め、「美しいものを見たな」って、増田監督みたいにきらきらした心に着地して帰ってもらえるような映画だなと私は思っているので、ぜひ楽しんでもらいたいです。
黒川:僕にとっての見どころは、やっぱり北海道の自然。「幸せってなんだろう」と考えることもあったけど、撮影をしていた時も、映画を見ても、自然からいただけるものがすごく大きかったんです。
あとこの映画には、僕たちの考えていたことや悩んでいたこと、楽しかったことも、いろいろ残っているなって。そんな旅の時間や、増田監督の素敵な思い・願いを見ていただきたいです。

Nana Mori
2001年生まれ、大分県出身。’19年7月に公開された映画『天気の子』のヒロイン、天野陽菜役に抜擢され注目を浴びる。以降、豊かな表現力が評価され、数多くの注目作に出演。’25年は映画『1ST KISS ファーストキス』『国宝』『フロントライン』『秒速5センチメートル』、NHK夜ドラ「ひらやすみ」に出演。待機作に映画『炎上』( 4 月10日公開)。
森さん着用:
ドレス ¥165,000 KAKAN / イヤカフ ¥135,300 AHKAH
Soya Kurokawa
2009年生まれ、埼玉県出身。5歳より芸能活動を開始。’23年に初出演した映画『怪物』の演技が高く評価され、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞、第66回ブルーリボン賞新人賞などを受賞。’25年は『国宝』で主人公・喜久雄の少年時代を瑞々しく演じ、大きな注目を浴びる。近年の出演作に、映画『この夏の星を見る』など。
黒川さん着用:
カーディガン¥48,400、シャツ ¥51,700 ORIMI(Sakas PR) / パンツ ¥35,200 LAD MUSICIAN(LAD MUSICIAN SHINJUKU)
Sara Masuda
2001年生まれ、東京都出身。16歳で写真家として活動を開始し、作品発表のほか、企業広告、雑誌、映画スチール、CDジャケットなど幅広い分野で活躍。映像作家としても活動し、ミュージックビデオの監督やカメラマンとして映像制作に携わり、多彩な表現の場を広げている。’24年に監督した初の短編映画『カフネの祈り』では、SHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA 2024のジャパンカテゴリーでオーディエンスアワードを受賞。
『GEMNIBUS vol.2』『 青い鳥』

日本映画界を牽引し続ける東宝が展開する才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」。『GEMNIBUS』は、その取り組みの一つとして、複数の新鋭監督による短編作品を一本の映画として編み上げるオムニバス映画企画。連日満席を呼んだ’24年の第一弾に続く第二弾が公開される。本作『青い鳥』を含め、個性豊かな 6 作品がラインナップする。
『青い鳥』は、写真家のミチルと、心に傷を抱える少年トアの初めての旅の物語。北海道を舞台にした美しい映像の中、本当の幸福の意味を問う。
監督・脚本・撮影:増田彩来
出演:森七菜、黒川想矢/井浦新
3 月 6 日(金)より、東京の「TOHOシネマズ 日比谷」にて 1 週間限定上映。東宝配給。
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お問合せ先
KAKAN: kakan@kakanars.com
AHKAH: www.ahkah.com
Sakas PR: TEL 03-6447-2762
LAD MUSICIAN SHINJUKU: TEL 03-6457-7957
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