毎日新聞社が主催する「毎日ファッション大賞」。今年度の表彰式が2022年9月20日に開催された。ファッションに携わる人々の優れた業績を称え、ファッション界のさらなる振興と文化の育成を目指すこの賞。
年間を通じ、ファッションという文化活動のなかでもっとも優れた成果をあげた人に与えられる大賞には「KENZO(ケンゾー)」のアーティスティックディレクターで「HUMAN MADE(ヒューマンメイド)」デザイナーのNIGOさんが選ばれた。
NIGOさんは、文化服装学院在学中からDJやライターとして活動、1993年にブランドをスタート。様々なブランドや企業にクリエイティブ・ディレクターとして携わり、ルイ・ヴィトンから2度のコレクション発表を行うなど、優れた業績を残した。
NIGOさんコメント
この度の毎日ファッション大賞受賞、身に余る光栄です。
ただただファッションが大好きだっただけの素人が手探りで服作りを始め、気づけば30年の時が経ちました。ある意味ファッション界とは別軸の、いわゆるストリートファッションと言われるジャンルで活動してきました。今まで評価を得たいと思ったことはありませんが、今回の受賞は、何か自分のしてきた事が、報われたような気持ちでいっぱいです。
隠居を考えていた時期に、盟友であったヴァージル・アブローに誘われ、ルイ・ヴィトンから2度のコレクションを発表させて頂いたり、LVMHからは偉大な先輩である髙田賢三さんのKENZOを任せられたりと、もう少しファッションの世界でお役に立てそうです。
パリに行ってKENZO、東京に戻ってHUMAN MADEと未だかつて無いハードな生活を送る日々が続き、体力的にも、時代についていく事も、なかなか大変になってきました。ファッションの世界が大きく変わりつつある中、いつまで続けられるか分かりませんが、これからも少しでも日本のファッション業界の力になれるよう、引き続き活動していきたいと思います。
新人賞・資生堂奨励賞はデザイナーの田中文江さんが受賞。田中さんは22年以上の企業デザイナーを経て、自身のブランド「THE Dallas(ザ・ダラス)」を設立。その後改名し、自身の名前を冠した「FUMIE=TANAKA(フミエタナカ)」では、ファッションを通し高揚感、幸福感を感じてもらいたいというコンセプトで始動。東コレでのコレクション発表や、2020年にはファッションアワードを受賞するなどの活躍を見せた。
表彰式では田中文江さんの22AWコレクションのプレゼンテーションも披露。
長らく業界に貢献した人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞には、スタイリストの北村道子さん、話題賞は「デニム de ミライ ~ Denim Project ~」、シンガー・ソングライターの松任谷由実(ユーミン)さんが選ばれた。
「デニム de ミライ ~ Denim Project ~」について詳しく
以下受賞者コメント
新人賞・資生堂奨励賞=田中文江さん
「24年間、デザイナーという夢に向かってやって来ました。これまでやってこられたのは、自分の努力だけでなく、多くの人のおかげです。まだ夢への途中ですが、これからも努力して服づくりに励んでいきます」
鯨岡阿美子賞=北村道子さん
「こんなに長く仕事をしているとは思わなかった。今回の受賞はごほうびをもらえたと感謝しています」
話題賞=デニム de ミライ ~ Denim Project ~(代表:三越伊勢丹リ・スタイル バイヤー神谷将太さん)
「デニムの再生を通してファッション業界全体にメッセージを発信することができました。サスティナブルやSDGsが当たり前の世の中になっても、ファッションの豊かさや高揚感を伝えられればと思います」
話題賞=松任谷由実(ユーミン)さん
「今までどんなことがあってもファッションは私を勇気づけてくれました。この先の私の夢は続けること。歌を作ること、パフォーマンスすることを続けていきます」
今回の受賞者の業績を敬し、今後も日本のファッション業界を盛り上げる取り組みと人物の登場に期待をしたい。
写真:「2022年(第40回)毎日ファッション大賞」表彰式/提供:毎日新聞社
毎日ファッション大賞
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