
言葉にしきれない感情や思いを
ファッションを通して表現したい

『装苑』2026年6月号 掲載
2023年に第97回装苑賞とNEW ENERGY特別賞をW受賞したデザイナーの上村英太郎さんが手がける、EITARO。クラシカルなレディスウエアをベースに、センシュアルで知的なムードを描く。



2026-’27年秋冬コレクションはRakuten Fashion Week TOKYOで発表
3月21日、Rakuten Fashion Week TOKYOにて秋冬コレクションを発表。テーマは「SEHANAGI」。蛹が殻を破り羽化する様子が花のように見えるというさまを表す「背花着」から着想を得た。経験や生き様が背中に宿り、見えない花として美しさを放つと捉え、人生をいくつもの線に見立てたバックコンシャスなコレクションを展開。布の彫刻ともいわれるフランスの伝統技法であるブティを用い、ジャケットやコートに立体的な線を描いている。
「ファッションデザイナーという仕事はどこか感覚的なものだと思っていましたが、あるデザイナーのテレビ番組の取材を見て、ロジカルなものづくりの方法を知り、衝撃を受けました。思想があり、それを服を通して形にする。プロセスの面白さに感銘を受け、僕も挑戦したいと思いました」


上村さんが実際に着ていた学生時代の学ランを再構築したセットアップ。ツイード生地が上質な雰囲気を演出する。また、ボタンは、カンコー学生服との協業で制作された。ジャケット¥132,000、スカートパンツ¥60,500
装苑賞受賞後、間もなく自身のブランドを設立。デビューとなる2026年春夏コレクションは、TRUNK(HOTEL) ONDENにてショー形式で発表した。「2026年春夏シーズンは『SANAGI(蛹)』をテーマに展開しました。僕自身、社会の一部になろうとする中で見えてきたのは、完璧ではない大人の姿。人は未熟なまま成長し続ける存在で、その“過程”そのものに美しさがあると考え、まさに蛹の状態こそが美しいと。人が最も成長の熱量を持つのは学生時代だと思い、学ランを再構築。例えば、実際に自分が着ていた学ランを青いツイード素材でレディスウエアに仕立てたものや、ベロア素材のトップなどを制作しました」

ベロアジャケットは首もとにフリルを配し、フェミニンな印象に。ジゴスリーブと前身頃のみを短くしたシルエットが、ヴィクトリアン調の女性らしいラインを引き立てる。¥132,000

学ランの詰衿ディテールをショールカラーに落とし込んだテーラードジャケット。程よくシェイプされたウエストラインが際立つ。¥121,000
2026ー’27年秋冬コレクションは、Rakuten Fashion Week TOKYOの公式スケジュールに初参加。世界を目指す上で、今後も継続していきたいという。「ブランドを設立する際に“叙情服”というコンセプトを掲げました。『叙情』は、英語でリリック(詞)の意味合いを持ち、詞には、人の思いがのり、それをメロディにのせて表現する歌のように、僕は服で感情を可視化したい。ただ、その感情をそのまま表に出すのではなく、裏側にある構造や論理まで掘り下げたいです。例えば“好き”という感情も、本質まで突き詰めれば、異なる伝え方でも根っこは同じはず。その本質を自分の中で探りながら、服として表現していきたいです」


ブランドプロフィール

上村英太郎●2001年生まれ、山口県出身。もともと医者を志していたバックグラウンドを持つ。’23年6月、第97回装苑賞とNEW ENERGY特別賞を受賞。’25年9月、東京・渋谷にあるTRUNK (HOTEL)で、ランウェイ形式にてコレクションデビュー。@eitaro.official
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー



文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official