
韓国、和と洋の要素が混じり合う
自身のアイデンティティを込めて

『装苑』2026年3月号 掲載
「漫画の影響で、11歳頃に日本語を学び始めるほど、日本のカルチャーに惹かれていました。中学2年の時、初めて目にしたコム デ ギャルソンのショーに強い衝撃を受け、ファッションに興味を持つように。村上春樹などの文学にも触れ、日本への留学を決めました」
生地への繊細なこだわりが息づき、上品でクラシカルな印象のオロヒー。手がけるのは、韓国出身で多摩美術大学を卒業したパク・ソンヒさん。学びとキャリアを重ねる中で、もともと関心のあった素材やパターンといった服の本質へ、より意識を向けるように。ブランドでも核として捉えている。


今回のキーポイントである作家、キム・ファンギの作品をオマージュしたオリジナルテキスタイルのワンピース。たて糸に滑らかなシルク、よこ糸に柔らかい綿を採用しソフトな着心地に。¥ 115,000

コレクションを構築する際、思いや発想を文章に起こす作業を行うというパクさん。2026年春夏コレクションの文章とムードボード。
「テーラードは、服の基盤だと思っています。計算されたパターンや仕立て、生地へのこだわりなど、服の本質が詰まっているからです。だからこそブランドでは、西洋のテーラードを軸に、自身のルーツである韓国の要素を重ね、日本の“技術”と“素材”を取り入れています。この三つが交わることで生まれる表現を大切にしています」



クラシックなテーラードジャケットをベースに、肩パッドやゆき綿などを取り除き、夏でも羽織れるよう軽やかに。後ろ身頃にはヴィンテージライクなコットンのアイレットレースをあしらい、前身頃とは異なる表情を加えた。生地は日本の尾州産。ジャケット¥97,000
2026年春夏コレクションのテーマは「Sacred Heart Blues」。着想源は、韓国の伝統的な建築や街並みが残る付岩洞(プアムドン)。今と昔が交錯する街を歩き、感じた情緒を、アーティスト、キム・ファンギさんの作品「SACRED HEART」に重ねながらデザインに落とし込んだ。ファンギさんのハートのモチーフをオマージュして制作したオリジナルテキスタイルのワンピースやパンツは象徴的。また、日本の尾州のリネンを使用したジャケットや細番手のコットンギャバジンなど、生地に対するこだわりも光る。

細番手のコットンギャバジンに特別加工を施し、ドライタッチでこしのある素材を使用したハリントンジャケット。1990年代から2020年代初頭にかけて韓国の中産階級や上流階級で流行したヨーロッパ式アンティーク家具(椅子)から着想。木彫装飾やスタッズの打ち込み装飾を施した。ジャケット¥65,000

現代のチマチョゴリ用に改良されたポリエステル100%素材を使用したキャミソールトップ。上品さを保ちながら、しわになりにくく、イージーケアが可能。チョガッポ(韓国のパッチワーク風呂敷、ポジャギの一種)の角についた結びひもから着想を得たディテールも印象的。トップ¥42,000
「私自身、メンズアイテムのシルエットが好きで、ハリントンジャケットなどを取り入れながら、ヴィクトリア時代のヴィンテージへの嗜好も重ねています。レースの装飾やウエストを絞ったラインを加えることで、ブランドが描くクールな女性像になっていると思います。今後はヨーロッパ進出を視野に入れながら、いつかメンズラインにも挑戦できたら嬉しいです」
ブランドプロフィール

パク・ソンヒ●韓国・釜山出身。1990年代の日本の前衛的ファッションブランドに影響を受け、日本に留学を決意。多摩美術大学でテキスタイルデザインを専攻。卒業後、複数のコレクションブランドにて経験を積む。日本を拠点に、かねてより温めていた自身のブランド、オロヒーを2025-’26AWシーズンに立ち上げる。 @ohrohee
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー



文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official